中川秀直、高市早苗、山本一太…新聞業界からカネを貰い癒着する「新聞族議員」たち
日販協政治連盟から中川秀直氏に対する献金の一部(2006年度、政治資金収支報告書より)。中川氏は、日本経済新聞社の出身。かねてより新聞業界と親密な関係だ。→中川秀直氏のWebサイト。 |
麻生内閣の下で、まもなく衆議院議員選挙が告示される見通しが高まってきた。地に墜ちた自民党のイメージを払拭して、新内閣の支持率が高いうちに選挙に踏み切ろうという戦略のようだ。
国政選挙の水面下では、常に政治献金が動く。特定の議員候補や特定の政党に資金を提供することで、献金者は政治家が自分に優位な政策を実現するように仕向ける。ずばり言えば、政策の買収。献金先と献金元のこのような癒着は、民主主義の理念と矛盾するが、「必要悪」として黙認されてきた。
このような政治風土にあぐらをかいている業界や組織は多いが、新聞業界もその例外ではない。政治献金によって、再販制度など業界が恩恵を被ってきた既得権を維持してきた事実がある。関係者もそれを認めており、たとえば日販協(日本新聞販売協会)の政治団体である日販協政治連盟の寺内誠一理事長(当時)は、2003年度の総会で、次のような露骨な発言をしている。
寺内理事長の「政治献金は民主主義の保険料」発言は、『日販協月報』(2003年4月1日)でも報じられた。関係者に「恥ずかしい」という感情はないようだ。 |
「新聞販売業界が荒波を漂っている中で、我々の権益を守るためにも国会議員との協力・協調関係を持ちながら業界を支えていただくことは避けて通れない。今後起きるであろうさまざまな問題に対応するとき、政治資金規正法に則った適正な政治献金は日本の民主主義を守る保険料であると考える」
政治献金が民主主義の保険料だと言うのである。10月に告示が予測される今回の総選挙を前に、新聞業界でも政治献金が動き始めていると推測されるが、残念ながら政治資金収支報告書は翌年まで公表されない。そこで新聞業界における政治献金の実態を掴むために、昨年(07年)と06年の政治資金収支報告書のうち、日販協政治連盟が総務省に提出したものをもとに、献金を受けた議員と金額を示した献金リストを作成した。
◇断然トップは中川秀直氏結論から先に言えば、自民党の新聞族議員のほかに、民主党議員と公明党にも政治献金が流れていることが分かった。献金額のランキングで首位は、中川秀直議員である。額は220万円。2位は高市早苗議員の30万円である。
《06年、07年のランキング》1位 | 中川秀直 | 220万円 |
2位 | 高市早苗 | 30万円 |
3位 | 清和政策研究会 | 26万円 |
《2006年の政治資金収支報告書》
2月27日 20万円 秀政会(中川秀直)
2月27日 10万円 中川秀直君を囲む会
3月24日 6万円 丹羽雄哉氏講演会
4月24日 20万円 中川秀直シンポジウム事務局
5月19日 10万円 清和政策研究会
5月29日 6万円 清和政策研究会
6月19日 6万円 町村信孝君を囲む会
7月27日 20万円 秀政会(中川秀直)
9月27日 20万円 秀政会(中川秀直)
11月27日 20万円 秀政会(中川秀直)
《2007年の政治資金収支報告書》
2月13日 6万円 漆原良夫君を囲む激励の会
2月27日 20万円 秀政会モーニングセミナー
4月6日 10万円 中川秀直君を囲む会IN関西
4月19日 10万円 清和政策研究会
5月8日 20万円 中川秀直シンポジウム
7月18日 20万円 高市早苗さんをみんなで激励する会事務局
7月27日 20万円 秀政会モーニングセミナー
9月14日 20万円 秀政会モーニングセミナー
11月16日 6万円 丹羽雄哉君激励の集い
12月7日 20万円 秀政会ナイトセミナー
12月14日 10万円 高市早苗さんをみんなで激励する会事務局
◇公明党議員も新聞族に
また、2007年は参議院議員選挙を前に、「寄附」として次の議員や政党に、各5万円が献金されている。ただし、山本一太議員に対しては、例外的に15万円。さらにこれらの議員の大半を、日販協政治連盟として推薦している。
山崎力(自民・青森)金田勝年(自民・秋田)
山本一太(自民・群馬)
保坂三蔵(自民・東京)
鈴木政二(自民・愛知)
谷川秀善(自民・大阪)
鴻池祥肇(自民・兵庫)
世耕弘成(自民・和歌山)
林芳正(自民・山口)
北岡俊二(自民・徳島)
関谷勝嗣(自民・愛媛)
古川俊治(自民・埼玉)
山根りゅうじ(民主・埼玉)
こうだ邦子(民主・埼玉)
羽田雄一郎(民主・長野)
公明党東京都本部
公明党神奈川県本部
公明党愛知県本部
公明党埼玉県本部
公明党大阪府本部
なお、公明党については、受取人が正確に特定できない。と、いうのも献金先の住所が都府県本部になっていて、候補者個人の住所などが明記されていないからだ。
ちなみに日販協政治連盟の献金先に該当する公明党の各都府県本部が管轄する選挙区(東京、神奈川、愛知、埼玉、大阪)から立候補した公明党議員たちも、日販協政治連盟の推薦を受けた。具体的には次の面々だ。
山口なつお(東京)松あきら(神奈川)
山本保(愛知)
高野ひろし(埼玉)
白浜一良(大阪)
献金先に参議院議員が多いのは、07年に参議院議員選挙が行われたからである。
政治献金と引き替えに新聞業界が守ろうとしている既得権や権益にはどのようなものがあるのか、以下、説明しておこう
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日販協の2008年度の事業計画。特殊指定問題や税制問題も盛り込まれている。『日販協月報』(2008年8月1日)より。
初期の自民党新聞販売懇話会のメンバーリスト。小泉純一郎氏ら後に総理になる人物が続々と名を連ねている。新聞関係者と懇意になろうという意図があったのかも知れない。最近の実態は、よく分からない。
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2008年記事
日本新聞販売協会政治連盟
構造改革推進論者が多いな
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読者コメント
中川秀直、高市早苗などは自民党で特に統一教会の合同結婚式で祝電を送る議員で自民議員の中でも特に金銭的援助を受けているでしょう。
新聞は取らなくて、必要な時だけ買うことにしています。こういうことが出ると、自分の社には甘いんだなぁと思います。
新聞社は、買ってもらえる新聞を作ることが寛容と思います。
押し売りは、現代では訪問販売法違反です。
マスコミの目がうるさい為、賄賂は献金からパーティ代へと姿を変えたのではないでしょうか?
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