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品川美容外科 プチ整形で副作用の説明せず「しこり」発症し150万円支払い示談、患者は慰謝料等5191万円求め提訴

情報提供
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T医師(現在は同院を退社、画像はT医師のブログより)。副作用の説明を一切せず治療を続けた結果、副作用被害が生じた等として、原告の女性A氏(現50代後半)に、品川美容外科と合わせて5191万円を求める訴えを起こされた。
 品川美容外科に通院していたA氏(現50代後半、女性)は、皮膚に張りをもたらす「グロースファクター注入」の副作用で目の下に大きなしこりができ、手術することに。A氏はフェイスラインを引き上げる手術も兼ねることにしたが、T医師(女性)は肝心のしこり除去について、担当する別の医師に伝えず、除去されなかったという。その後も副作用を発症したA氏は2013年12月、T医師と同病院を相手取り、慰謝料や休業損害など計5191万円を求め東京地裁に提訴した。被告側は、T医師がこれら副作用のリスクを一切説明しなかったことは認めつつも、A氏にしこりはなかったと反論したが、提訴の1年以上前にA氏に150万円を支払い一旦示談した形跡があり、非を認めていたことをうかがわせる。プチ整形の類といえども副作用や手術の失敗は当然あり得る。裁判資料に基づき、全国で続出する美容医療事故の一端をお伝えする。
Digest
  • 副作用の説明をしない医師
  • 病院側が非を認め150万円を支払う
  • 病院と医師を相手取り5191万円を求め提訴、被告の主張
  • 続出する美容医療事故

副作用の説明をしない医師

訴状や準備書面などの裁判資料によると原告の訴えは以下の通り。都内で美容業を営む原告のA氏(女性、現50代後半)は、08年秋以降、美容目的で品川美容外科の品川院に通院し、1~2か月に1回程度、「ヒアルロン酸注入」「ボトックス注入」などを受けるようになった。

 「ヒアルロン酸注入」とは、ヒアルロン酸(天然ムコ多糖類)の生体と同一の成分を有するものを、注射器により皮下に注入することで、膨らみを出させ、しわ、タルミなどの見た目を改善させる療法。副作用は、肉芽腫病変等である。(肉芽腫とは「慢性的な炎症に基づいて生じる腫瘤(しこり)」を指す(参考:日本形成外科学会HPより))

 「ボトックス注入」とは、ボツリヌス・トキシン(たんぱく質の一種でボツリヌス菌が産生する毒素で、神経に作用して一定期間、麻痺させる効果がある)を皮下に注入することで、顔のしわなどを伸ばす療法。副作用は、一時的な神経麻痺によりシワ以外の作用にも神経麻痺が生じることである。

その後、約2年半にわたり、特に問題なく治療を続けたが、11年9月10日、こんなことがあった。3か月前から担当となった医師T氏(女性、年齢推定30代、現在は品川美容外科を退職)により、A氏は「グロースファクター注入」を受けることになった。

 「グロースファクター注入」とは、グロースファクター(塩基性線維芽細胞)を注射器で患部に注入することになり、繊維芽組織の形成を促進させ、皮膚に張りを持たせる療法。副作用は、施術後の内出血と腫れ、過剰肉芽組織の形成である。

T医師は、副作用について一切説明しないまま、A氏の両目の下約1~2cmの範囲に注射をした。

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ヒアルロン酸注入、グロースファクター注入の説明(品川美容外科HPより)

数日後、A氏の左目の下の、グロースファクター注入した箇所の皮下に、ボツボツと白っぽいしこりが複数生じ始めた。グロースファクターの副作用「過剰肉芽組織の形成」に該当する現象である。

しこりは、皮膚から透けてみえ、日に日に大きくなっていた。中でも目じりより少し目頭寄りのしこりは最も大きく、中央部が陥没してドーナッツ状になった。この大きなしこりにより、化粧の際、ファンデーションが凹みにたまってしまい、その部分が白く浮き上がって見える状態となった。

9月28日、A氏は、品川院を受診。この際にT医師は、皮膚科トップのY医師(男性)と共に、しこりの対処方法は、「患部に注射を打つ」「患部を押す」「しこりを手術によって切除する」の3つあるといい、中でも手術は傷が小さいので良い、と繰り返し勧めたという。

10月19日、A氏は再度、T医師の診察を受け、手術による摘出を繰り返し勧められたため、手術することに決めたという。

この時、T医師は、「今日は、日ごろ、私もお願いしている目の整形手術の腕の良いR医師(男性)もいるので、是非、R医師による手術を受けてみたらどうですか」「単にしこりを摘出する手術も、整容目的の手術も、切開し腫れが引くためのダウンタイムが必要であるという点では同じなので、同時に整容目的の手術も行いましょう。グロースファクター注入はサービスしますから」と説明。

しこりの摘出手術と同時に、両目の上まぶたを引き上げる手術と、フェイスラインを引き上げるリフトアップ手術を受けるよう、繰り返し勧めたという。

それを聞いたA氏は、たしかに、しこりを摘出する手術を受けると、しばらくは腫れや内出血により人前には出られない。それならば、他の手術を一緒に受けても同じである、と判断して承諾した。

こうして手術することになった。手術内容は、以下の通り。

「1 こめかみ両耳の上1~2cmを切開し、糸を入れ、フェイスラインを引き上げる」。

「2 両目の上まぶたを引き上げる」。

「3 両目の下を切開してしこりを摘出し、グロースファクター注入する」の3つ。

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A氏の通った品川院(同HPより)

病院側が非を認め150万円を支払う

問題は、この通りには行われなかったことだ。具体的には、

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美容医療サービスの苦情の事例(国民生活センターHPより)

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