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セブ英会話学校、激増の背景に「集客さえできれば」高収益確定な構造――『サウスピーク』経営者2人に聞く
『サウスピーク』オリジナル校の校舎(#333 Don Mariano Cui Street, Capitol Site, Cebu City

 2010年時点では片手で数えるほどしかなかったセブの日系英会話学校(非オンライン)が、円安の逆風にもかかわらず、現在は25校ほどにまで激増、さらに年3校は新規オープン、既存校も軒並み校舎を増設中、という大盛況ぶりだ。さながらゴールドラッシュ、雨後の竹の子である。だが英会話学校といえば「受講料前払いで解約できない」「講師の給料が未払い」等のトラブルから倒産した『NOVA』が記憶に新しく、胡散くささも漂う。そこで、今年5月に新校舎を増設するなど成長著しい『サウスピーク』を訪ねたところ、かなりの健全経営で、この事業が高収益体質であることがよく分かった。「このビジネスは、集客さえ低コストでできれば、十分な利益が出ます」――共同経営する2人に、起業に至るストーリーと、その「儲けの構造」について、じっくり聞いた。

【Digest】
◇追い込まれた人の“虎の穴”
◇「ノースキル文系プラン」で海外就職へ
◇「レジェンド」という指標
◇学校設立に至る、紆余曲折
◇「自分が受けたかった理想の英語教育」を実現
◇粗利6割の高収益ビジネス
◇留学エージェントは3~5割を持っていく
◇まじめにやるだけで差別化できる
◇大手が参入しない理由
◇2人の、2つの強み

◇追い込まれた人の“虎の穴”
 セブ市旧市街の中心部「フェンテオスメナ・サークル」から5分ほど歩いたところに、『サウスピーク』という英会話学校がある(定員65名)。夕方、玄関で、ジョギングや買い物から帰ってきた生徒4~5人に、ランダムに話を聞いた。

 香港在住で次の仕事に就く前に発音矯正などを目的にリピーターで来ている者、税理士試験に受かって就活前に「友人並みに話せるようになりたい」とやってきた者……それぞれ背景は違うが、リゾート地セブの土地柄にそぐわず、すがすがしいほどに学ぶ気満々で、一様に、サバサバした表情なのだ。塾や学校など集団行動が大嫌いでストレスになる私は、少々、面喰った。

マンツーマンのレッスン室(6階)
 古い雑居ビル風の6F建て一棟が、丸ごと校舎。ざっくり言うと、上層階にレッスンルームがあり、中層階に寮。低層階に食堂や自習室。食事、掃除、洗濯サービスも提供されるため、1日中、建物から出ることなく勉強だけに集中できる。2段ベッドがある3~6人部屋の寮など、一通り見学させてもらうと、要は、老朽化したユースホステル内に英会話講師が続々と出入りして英語の勉強だけに集中できる研修施設、という印象なのだった。

 「この建物内に何週間も、って環境は、ちょっとキツいなぁ」。そう感想を漏らすと、学校責任者の丸山要平代表(31歳)がきっぱり言った。

 「それは、渡邉さんが追い込まれていないからですよ。ここは、追い込まれた人が、本気で英語を勉強するところなんです」

 なるほど。確かに僕は、全然追い込まれていない。TOEICの点数を上げる必要がない。人は追い込まれると、環境要因など超越するのだろう。

 僕は周りに人がいると集中できないし熟睡できないので、オープンスペースの自習室や3人部屋、ちょっと暑くて汗ばむレッスンルームなどは、無理だと思った。ようは、「最高の環境でお膳立てしてくれたら暇な時間にやってみてもいいかな」程度の甘い心構えなのだから、すぐに退学に至るパターンである。

 複数の英会話学校に出入りする、ある日本人が、こう評していたのが、的確だと思った。

 「サウスピークは、『勉強しない人は来ないで下さい』という珍しい学校です。その空気に合わない人はスカイプの事前面談で落とすし、退学もある。相当、変わってます。他の学校は『お客様商売』で、楽しいことを売りにして、1日4~5時間勉強して残りはフリータイム。1日10~12時間も勉強を迫られるのはサウスピークくらいでしょう。ただ、あの設備は、韓国系学校のクオリティー。日本資本であそこまで施設に気を使ってないのは、あそこだけです。30代以上の社会人だと、キツいですね」

 さながら、「ここで勉強しなければ後はない」と追い込まれた人が、悲壮感を浮かべ、必勝を決意して門を叩く、英語塾の“虎の穴”なのである。“駆け込み寺”ではないのがポイントだ。駆け込んでも、やる気がなければ、助けてはくれない。

 聞けば聞くほど、ターゲットは明確である。10代学生~アラサ―、男性中心で、野宿も厭わないバックパッカー系なら女性でもOK、短期で英語力を向上させ、TOEICの点数をあげ、より高い条件で就職・転職したい人よ来たれ、である。迷う必要がないくらい、わかりやすく差別化され、捨てると決めたものは捨てて明確に差別化している。

 なお、ここがメインの「オリジナル校」で、別途、5月半ばに、少し料金が高めな「プレミアム校」(定員50人)をオープンしたらしい。合わせて110人超の規模となり、現地でも大手の部類に入っている。

◇「ノースキル文系プラン」で海外就職へ
「本気留学」をうたい、セブ特有のユルさはない。
 サウスピークは、しばしば「スパルタ系」と称される。パンフも「〇本気留学 ×楽しい留学」を表紙でデカデカとうたい、楽しさを求めてやってくる人を、徹底排除している。

 「ウチは、『楽しかった』じゃないところを目指してます。『投資』だと思ってほしい。3か月で60万円かけてTOEIC200点あげて、それ以上に年収の高い仕事に転職して回収してください、ということです。楽しさを求めるなら『ワーキングホリデー』で働けばよいですが、ワーホリは就職活動ではマイナスに評価されます」(丸山)

 レッスンで使用する教材は、生徒が日本から、指定された市販のものを買ってくる仕組み。教えるのはこの参考書であり、レッスン前の自学自習が義務づけられる。フィリピン人講師は、毎日4時間、反転授業やコーチングを行う帆走者、といった位置づけだ。残り6~8時間が自習。学校側は、やる気がある人に、最適な環境を提供する。

 生徒は、社会人が7割、残りが学生。なかでも面白いのが、学生向けの「ノースキル文系プラン」だ。いわゆる大学名で就職活動してもうまくいかない地方の私大在籍者などで、かつ、特段、売りになる資格やスキルも持たない就活に不安がある学生が、サウスピークで半年間、英語を学び、さらに半年間、海外の企業でインターンをして、英語と実務経験を武器に、就活に臨むというもの。

 「いま休学して、4人います。うちは、留学した結果どうなるか、留学の『後』にフォーカスしたいので、結果を出していきたい。就活で失敗しそうな人が、TOEIC800点とって海外就職へ、というパターンも作りたい」(丸山)。結果はこれからだが、楽しみである。

◇「レジェンド」という指標
 英会話学校は沢山あるが、成果を比較する指標がないのが悩みだ。サウスピークでは、留学した結果TOEIC200点上がった、などに該当する「サウスピークレジェンド」を1000人輩出することをミッションと定め、校舎1Fに認定者のプレートが飾られている。数えると、62名だった。

 生徒は平均すれば約2か月滞在とのことなので、常時60人として、リピーターを無視すると、60×12/2=360人、というのが年間の生徒実数だ。1年目は半数として、180人。計540人。540分の62=11%がレジェンド発生率だ。

 生徒目線では、量より質、すなわち、1千人積み上がるよりも、この発生比率が高いことのほうが重要なので、1つの指標となるだろう。このレジェンドたちが、実名でウェブに開示されていれば、そこそこ外部から検証可能な状態と言え、一気に説得力が高まる。

 それぞれの学校は、PRのために、行ってよかったという体験談を載せる。ただ、学校に合わずに去って行った者も必ずいるし、成果が上がらなかった者もいる。選ぶ側から見て重要なのは、確率のほうだ。成功体験談は、宝くじかもしれないし、謝礼を貰って創作したかもしれないし、実在しているかすらあやしい。

 僕は、100人の体験談よりも、検証可能な形で開示される、何らかの指標のほうが重要だと思っている。他の学校も、こうした指標を定め、学校側と生徒で目標にブレがないようにしたうえで、どのくらいの確率で目標を達成する生徒がいるのか、わかるようにして貰いたいものだ。

◇学校設立に至る、紆余曲折
丸山要平(31歳)。2010年、筑波大学国際関係学部卒後、セブに渡って、オンライン英会話学校「ラングリッチ」を仲間3人で起業。2013年1月、柴田とサウスピークを創業。
 サウスピークは、筑波大学国際関係学部卒業の丸山要平(31歳)と、立命館アジア太平洋大学国際経営学部卒業の柴田浩幸(35歳)という、バリバリ“国際系”な2人が共同経営する、いわば「私塾」だ。2人とも大学入学前に2年以上ダブって試験勉強の苦労を実体験している点も、生徒目線では好感が持てる。

 運営は、ハード面が丸山、ソフト面が柴田、といった役割分担で、カリキュラム的には、柴田が「かつて自分がアメリカに渡る前に受けたかった英語教育」を体現する形になっている。私塾だけに、思い切った学習法を実践でき、小回りも利く。

 現在の学校運営には、セブのオンライン英会話学校「ラングリッチ」での経験や反省が大きく寄与しているという。2人は、そこで運営側として出会い、数人の仲間とともに、2013年1月、サウスピークを設立した。

 丸山の経歴は、かなり無茶苦茶で面白い。筑波大学国際関係学部には、5年いた。その前には、関西の専門学校に3か月、予備校に2年。つまり3ダブで大学に入り、さらに1年休学し、ストレートより4年遅れて2010年に学部を卒業している。

 国際関係学部とあって外国人学生もいたが、大学3年次のあと1年休学してニュージーランド(NZ)に2か月半ほど滞在した経験が、今につながっている。

 「NZで、英語の発音が通じないことがあった。たとえば日本の感覚で『チケット』と言っても、通じない。フィリピンに英会話学校があって、韓国系の経営で、大卒の講師がついて、月12万円で3食ついて寝る場所もあることを知って、1日3時間のレッスンを6週間、受けました。それで、確かにコミュニケーションをとれるようになったんです。さらに2か月ほど、フィリピンの田舎に住みました」

 なにやら、ワイルドである。「夏は、バイトで、富士山の小屋で働きました。厳しい環境でも働けるし、そういう働き方は好きなんです」。あのサウスピークの、ワイルドで追い詰められた環境と共通点はあるな、と納得した。

 NZ、フィリピン滞在を経て、2009年、筑波大に復学し、シューカツ。NZでラム肉とワインの日々を送っていたこともあり、社員100人ほどのワインの専門商社から内定を得た。

 その当時、WEBで見たら、オンライン英会話事業が流行り始めており、自身のフィリピンでの学習経験もあり、可能性を感じた。そこで、中学時代の地元の友人にWEBエンジニアがいたので、サイトを作って貰い、直前で内定を辞退。卒業してすぐ、オンライン英会話学校の経営に乗り出した。

 それが、セブの英会話学校『ラングリッチ』である.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



柴田浩幸(35歳)。2005年、立命館アジア太平洋大学(APU)国際経営学部卒後、ヒロセ電機に入社し営業職を4年経験。2009年、NYの語学学校に通った後、米国の法律事務所でインターン。翌2010年9月、『20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ』発売。ウェブ制作会社を経て、「ラングリッチ」に入社し、丸山と出会う。2013年1月、2人でサウスピークを創業。いきなり高収益をあげ、サラリーマンエグジットを果たす。
東京の集客会社「ハタチエイゴ」(代表取締役・柴田)のPL。2年目で既に利益を計上して結構な額を納税しており、余裕がうかがえる。生徒としても安心。

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