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警官が無実の市民をデッチ上げ逮捕した築地事件で国賠訴訟一審「被害者に240万円支払え」と超意外な勝訴判決(双方控訴)――警察に勝利した5つの理由
現場を指差す目撃者。当時、一部始終を見ており「暴行はなかった」と断言する。細い柳の木あたりで“築地事件”は起きた。数十人以上の目撃者の面前で展開されたデッチ上げ逮捕だった。

 築地市場前で、車の所有者と警官が口論となり、激高した警官が「暴行された」と虚偽の緊急通報をした結果、交通違反も暴行もしていない無実の市民が逮捕され、19日間、築地署に勾留された不当逮捕・勾留事件。被害者の寿司店経営・二本松進氏が東京都(警視庁)と国(検察・裁判所)を訴えた裁判の判決が3月18日にあり、東京地裁の松村徹裁判長は、被告・東京都に240万円の支払いを命じる判決を言い渡した。警官の証言に信用性がなく、二本松氏は暴行していないと認められたのが最大のポイント。だが検察と裁判所の違法行為は認定されなかったため、二本松氏は3月31日、東京高裁に控訴。同日、東京都も控訴した。個人が権力を相手に起こす国家賠償請求訴訟、とりわけ警察相手の裁判では、警察寄りの判決が出るのが常で、事実がどうあれ、ほぼ勝つ見込みがない。その極めて高い壁を、どうやって乗り越えたのか。「築地事件」の判決内容詳細とともに、原告側弁護士へのインタビューをもとに勝因を探ると、裁判官忌避の申立てによる緊迫をはじめ、5つの要因が浮かび上がった。(末尾で判決全文ダウンロード可)

【Digest】
◇警察相手に勝った裁判
◇車を発車させようとしたら仁王立ちの警官が
◇「暴行を受けて負傷した」と警官が狂言
◇築地市場暴行事件のストーリー(作・警察)
◇警官2名の供述・陳述・証言はボロボロ
◇勝利をもたらした5つの要因 
◇残された課題、築地署と国の責任

◇警察相手に勝った裁判
 〈被告東京都は、原告二本松進に対し、240万円およびこれに対する平成19年10月30日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。〉

 3月18日、東京地裁709号法廷で、判決主文が読み上げられた。事件発生の07年10月から足かけ9年、訴訟提起から7年の闘いの末に得た原告・二本松進氏の勝利の瞬間である。

 二本松氏は「私が暴力を一切ふるっていないという一番大切なことが認められたのは嬉しい。でも、東京都(警視庁)の責任を一部認めても、検察や裁判所など国の責任は一切不問に付している」と言う。

 とはいえ、暴行を受けたと主張する警察官の供述・陳述・証言・証拠資料は「看過することのできない変遷または齟齬があったり」して認められず、警察官の違法行為が認められた判決はきわめて稀だ。市民が警察を訴えた場合、警察勝利の判決を出す裁判官が圧倒的多数だからである。

 四半世紀以上にわたって警察の不祥事・不正を追及してきたジャーナリストの寺澤有氏は傍聴席でこの判決を聞き、「49年間の人生で一番のおどろき」とまで述べているくらいだ。

 駐停車を巡って車の所有者(運転者は妻)の二本松氏と警官が揉め、感情的になった警官が「二本松氏に暴行を受けた」と虚偽の緊急通報をした。駆けつけた築地署員は二本松氏を逮捕して19日間勾留し、「女性警官の胸を何度も突き、車のドアで女性警官の手を強打して傷害を負わせた」などと虚偽の自白をするよう、二本松氏に迫った。

 二本松氏は、事件の関係者全員の責任を追及した。まず、現場の取り締まり警官2名、取り調べて様々な調書類を作成した築地署員4名。ここまでが、東京都(警視庁)に対する違法行為の追及と賠償請求だ。

 さらに、これを追認する形で勾留請求と勾留延長をした検事、それを認めた裁判官らの違法行為の認定は、国に対する責任追及と賠償請求になる。

 “暴行事件”がなかったと認定されたことで、警官2人の事件ねつ造が認められたため、東京都の一部敗訴ということになる。しかし、二本松氏が逮捕された後、つまり築地警察署→検察→裁判所の違法行為は認められなかった。現場の警官だけが断罪され、それ以外の部分には火の粉がかからず、「国は安泰」という結果になったわけだ。

 原告側、被告側の双方が、3月31日付で控訴したため、東京高裁で引き続き争うことになる。

判決主文。警察官に対する暴行と公務執行妨害は、まったくのデッチ上げだった。駐停車をめぐるやり取りで二本松氏に暴行されたと虚偽の通報をして逮捕させたのは違法であると認められた。
◇車を発車させようとしたら仁王立ちの警官が
 07年10月11日の朝8時頃、東京都新宿区で寿司店を経営する二本松進氏(当時59歳)は、買い忘れた枝豆を追加で購入し、妻が運転席で待つ仕入れ用の乗用車に戻ってきた。

 糖尿病を患った関係ですでに5年以上運転していなかったため、妻の運転で仕入れにきていた。乗車しやすいように「もう少し前に行って」と運転する妻に促したところ、右前方に、巡回中の高橋真知子巡査が立ちはだかっていた。

 「すいません、出ますんでそこ退いてもらえますか」と二本松氏が言っても高橋巡査は退かない。もういちど同じことを言うと、駐車場所を指さして「法定(駐停車)禁止エリアだ」と叫んだ。

 朝の築地市場前なので、周囲には仕入れや集配の車が多く、運転者が車から離れて放置してある車がたくさんある。それはいつものことだ。

 高橋巡査が突然言った「法定禁止エリア」をめぐって、二本松氏とやり取りが始まった。「いつでも発車できるように運転手が乗っていてもダメなの?」「法定禁止エリアだ」「前後の放置車をそのままにしておいて、今にも発車しようとしている車を取り締まるなんて理不尽じゃない」

 高橋巡査は、運転手がいない放置自動車について「仕入れの車なので違反にならない」という意味のことを言ったので、二本松夫妻は自家用車の後部座席やトランクを開けて仕入れであることを示した。

 すると今度は、「でもこの車は貨物車じゃなく乗用車だからダメ」と趣旨が変わってきた。

◇「暴行を受けて負傷した」と警官が狂言
 そうこうするともう一人の警官、渡邉すみ子巡査部長がやってきて、「標識を見に行きましょう」と、二本松氏と巡査部長は数十メートル後方の標識を見に行った。そこには「5-12 貨物の集配中の貨物車を除く」と補助標識があった。

 警官2人は、仕入れのためでも乗用車はダメと譲らない。それに対し二本松氏が主張したのは、およそ以下のようなことだ。

 「貨物の集配中というのは専門の運送業者の集配のみを言うのであって、長時間仕入れするのとは異なる。その集配を仕入れと拡大解釈していい協定なら、貨物車であっても仕入れ車と読み替えてもいいはずだし、この車も仕入れにきているのだから放置も許されるということだよね?」

 二本松氏の主張は正論だし、そもそも仕入れ中もずっと運転席で奥さんが運転できる状況で待機しているのだから、交通法規を犯していない。

現行犯人逮捕手続書。主として高橋巡査の申告にしたがって記載されたが、ここに書かれてあることは、今回の判決で全面的に否定された。つまり、無実の市民を逮捕したことを正当化する、ねつ造のストーリーが、これである。
 渡邉巡査部長が二本松氏にやりこめられているのを見た高橋巡査は、車を指さし「ダメ!ダメ!」と運転席付近まできて「これは乗用車!」「謝りもしないで!」「今日は絶対行かせない!」と怒鳴ったため二本松氏の妻は車から降りて「さっきこういうふう(頭を下げて)に謝りましたよ」と主張した。

 しかし高橋巡査は「謝ってない!」「何も言ってない!」と怒鳴るばかり。突然トーンを落として顔を妻に近づけ「逮捕するよ」と一言。

 驚いた妻は、「逮捕? 誰を脅すんですか? 謝らなかったから? 逮捕するんですって!とふくれあがる野次馬に聞こえるように言った。高橋巡査としては、引っ込みが付かなくなってしまったようなのだ。

 そのあと車の周囲で、半開きの車のドア越しに高橋巡査と二本松氏が言い争いをしたり、運転者ではない二本松氏に切符ケースを突きつけて追い込むようなことになっていた。

 このようなやり取りの最中に突然「暴行を受けています」と高橋巡査は虚偽の緊急通報をし、駆けつけた築地署員に二本松氏は逮捕されてしまったのである。これが、原告の二本松夫妻、中立の目撃者4人の話などを総合した、当日の出来事だ。

◇ 築地市場暴行事件のストーリー(作・警察)
 ところが、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



判決文22ページ~23ページ。高橋巡査が車とドアの間に立ち、二本松氏が外側からドアを押したために高橋巡査が右手首を負傷したという警察側の主張についての裁判所の見解が、ここに表れている。無理に無理を重ねてストーリーを作成していたことがわかる。実際は、ドアの内側にいたのは二本松氏。
(上)再現写真撮影報告書(平成19年10月11日)。(下)再現実施結果報告書(平成25年9月20日)。高橋巡査が暴行を受けたと主張する部位は、供述ごと、証拠ごとに変遷していった。

≪特に⑥(注:上の写真)では、高橋警察官が両腕を下げた状態で左胸付近を直接打たれる状況を再現していたが、⑩(注:下の写真)に至って、高橋警察官が切符かばんを胸の前に抱え上げており、原告二本松進の肘が胸に直接ではなく切符かばんに当たっている状況が再現され・・≫(判決文より)

当日はドアを押される暴行で左手首を痛めたと警官は逮捕直前まで訴えていたが、のちに右手首負傷となった。そもそもドアの内側に高橋巡査は立っていないしドアで手首を強打されたこともない。判決では、二本松氏の車の「ドアの枠の内側にはゴムパッキンがあり、これが強くたった場合に全治約10日間を要する右手関節打撲の傷害を生じうるのかについて疑問がないではないし・・」とされている。

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