平成17年2月末の支給明細書。文書交通滞在費は10日と月末に各50万円を支給。歳費は10日に一括支給。
|
国会議員に毎月、定額で支払われている100万円もの「文書通信交通滞在費」。これは使途の明示も証拠も何ひとついらない機密費のようなもので「第2の給与」といわれる。働かない人ほど余るおかしな仕組みで、「50万円で十分」との議員秘書の証言もある。「国民と痛みを分かち合う」として1割カットだった給与も今年4月からは元に戻されており、これらのお手盛りぶりが納税者の不信をかっている。
国会議員には、月額137万5千円の歳費とは別に、文書通信交通滞在費として月100万円が、非課税で支給されている。同費は使途を明示する必要がないため、実質的には、非課税で便利な国会議員の第2の給料と化している。
100万円という数字の根拠は曖昧で、文書、通信、交通、滞在の4項目の試算について衆院議員課は「個別にいくらかかるかは算出していない。財務省との予算折衝でもそのような話は出てこない。あくまで4つセットで100万円」という。
かかった分の費用ではなく、一律で100万円。交通費だけ見ても、公用車(もちろん税金で運営)に乗る議員は、タクシーに比べ、その分、費用はかからない。ハガキや電話、FAXなどの文書・通信費も、活動する議員ほど費用がかかり、逆に、活動しない議員は金が余る。したがって、議員の仕事を抑制する効果がある。
|
平成17年3月10日の国会議員の支給明細書。「国民と痛みを分かち合う」として1割カットになっていた歳費は、この翌月から137万5千円に戻している
|
|
また、ここでいう滞在費とは、移動先のホテル代ではなく東京の事務所にかかる経費を指すことになっている。「100万円は、あくまで国会での活動にかかる国政活動費であって、地元選挙区での選挙活動にかかる費用は含まない」と議員課は説明する。
したがって、定められた使途以外に使うと違法ということになるが、議員課は「国会議員は倫理上そのようなことはしない、との信用を前提としている。だから、使途を調べるということは無い」という。
◇使途を明らかにしない=プライベートに使ってよい
しかし実態は、「議員が自由に使える金なので、機密費みたいなもの」とある野党議員の秘書は話す。
文書通信交通滞在費を事務所活動費の収入に計上した平成16年度収支報告書をHPで公開した民主党の津村啓介議員は、「使途を明らかにしないということは、プライベートにその金を使っていてもよいということになる」と言う。
|
津村議員の平成16年度収支報告書では、事務所活動費の収入に文書通信交通滞在費を入れることによって、私的な流用がないことを明確にしている。支出が実際に100万円かかっているかは、把握していないという。
|
|
また、ある与党国会議員の秘書は、「東京の事務所にかかる経費などに月100万円というが、実際は月50万円もあれば済む」と証言する。
衆参合わせ約700名の国会議員に対し月50万円少なくて済むということは、月3億5千万円、年間42億円もの税金が浮く計算になる。
こうした国会の運営は全て議院運営委員会で決定される。つまり、国会議員自らが決めている。「国民と痛みを分かち合う」として始まった国会議員の歳費の一割カットを今年から元に戻したのも、同委員会での決定によるものだ。
国民には、医療費の負担増や定率減税の廃止、所得控除の見直し、消費税の二桁アップの方向性など、重たい負担を強いておきながら、国会議員自らは痛みを避け、使途を明らかにせずに月100万円を非課税で受け取ってもいる、というのでは、国民は到底納得しないだろう。
■文書通信交通費の歴史
国会議員自らのお手盛りで決められ、税金もかからない極めて都合の良いお金であることから、金額はうなぎのぼりであがってきた。
昭和22年、通信費月額125円から開始。
昭和23年1,000円
昭和27年10,000円
昭和37年50,000円
昭和38年名称変更して通信交通費として月額100,000円
昭和41年150,000円
昭和49年新設、文書通信交通費として月額350,000円
昭和51年550,000円
昭和53年650,000円
昭和63年750,000円
平成5年、新設の文書通信交通滞在費として、ついに1,000,000円の大台に。
■文書通信交通滞在費の根拠法
| 国会法 第三十八条 議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなる等のため、別に定めるところにより手当てを受ける。 歳費法 第九条 各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。 2 前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。 |
この文書通信交通滞在費の定義は極めて曖昧で、どうとでも解釈できる。「滞在費が東京の事務所費用を指す」との衆院議員課の説明も、明文化されたものはないため、地元選挙区での事務所経費なども含むと考えている国会議員も多い。民主党の津村啓介議員は「もっと定義を明確にすべき」と語る。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
