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東大で非正規の無期転換開始――「既得権正社員クラブ」を拒否した労組が非正規と共闘、非常勤講師2800人 と有期職員8000人を救った
佐々木彈・東京大学教職員組合前委員長。首都圏非常勤講師組合と共闘し、非常勤講師の直接雇用化と5年で無期転換権を実現させた。安定雇用の二大原則である直接雇用と無期転換権を確立させた意義は大きい。

 「あなたは教員ではない」。職歴証明書の発行を求めた東京大学付属校の非常勤講師がこう言われた。実は、東大の非常勤講師約2800名は、2017年の時点で13年間も偽装請負状態となっていた。日雇いに対する謝金として給料が処理されていたのである。就業規則もなかった。他方、全学約8000名を数える有期雇用の(講師以外の)職員には、さすがに雇用契約はあった。しかし東大は、彼らの5年雇止めを強行しようとした。改正労働契約法により、契約期間が通算5年を超えれば無期契約を申し込める権利が生じる。それを阻止するためだった。東大教職員組合は、「既得権正社員クラブ」にはならず、首都圏非常勤講師組合と共闘体制を組み、17年12月には、有期雇用職員の5年雇止めを撤回させ、非常勤講師の直接雇用も約束させた。今年4月1日からは無期転換を認める体制が発足したことで、実際に無期転換者も出始めたという。

【Digest】
◇「既得権正社員クラブ」にならなかった東大教職員組合
◇早稲田と東大が5年雇止め撤回の意味
◇「あなた教職員じゃありません」と言われた非常勤講師
◇東京大学は1日も法律を守っていなかった
◇労使協定、三六協定、就業規則も全部違法無効だった!
◇背後に厚労省と文科省のケンカが・・・
◇国立大学に経済制裁を
◇一難去ってまた一難 5年問題から10年問題へ
◇公募で職員を振るい落とす雇止め戦術
◇幹部は天下りの指定席、平社員には競争を押し付け
◇偽装プロジェクトという悪あがき

◇「既得権正社員クラブ」にならなかった東大教職員組合
 5年雇止めを断念させられた経営側は、2018年度に入り、今度は任期法という法律を盾に、10年経たないと非常勤講師は無期転換できないと主張したが、両職組共闘により、それも阻止。今年4月1日から、無期転換を認める新体制が発足した。(※実際に無期契約に転換した人も出始めたというが、東大広報課によると、その詳しい人数は「現在、調査中」とのことなので、追って報告したい)

 実は、労働契約法による「無期転換権」の制度は、まだ十分に認知されていない。2017年の連合の調査でも、「無期労働契約への転換(第18条)」を知らない有期契約労働者は68%、「不合理な労働条件の禁止(第20条)」を知らない有期契約労働者は83%もいる。

 大学においても、制度の詳細を知る人は多数とは言えず、まして有期雇用職員や非常勤講師の組合加入率は低い。そのせいもあり、東大教職員組合も、共闘した首都圏大学非常勤講師も、実績人数を把握できていない。

 とはいえ、東京大学の非常勤講師が偽装請負状態から直接雇用に変わり、契約5年超えで無期転換の制度が確立された事実は重い。しかも、正規労組が非正規労組と共闘して結果を出したことは、“事件”と評してよいくらい異例だ。

 非正規教職員の不利な状況を大逆転できた大きな理由は、東大教職員組合が、「既得権擁護の正社員クラブ」にならず、非正規教職員を守る活動をメインイシューにしたことだ。

 勝利に至る交渉内容を、東大教職員組合の佐々木彈前委員長(経済学)に聞いた。委員長就任直前の2017年6月の定期賃金団交の席では、こんなやりとりがあったという。

「子の看護休暇と親の介護休暇の一部有給扱いを、パートタイムの人にも認めてほしいと要求したのです。すると、前理事がこう言いました。

 『短時間の方は単純な補助業務を担っていただくだけなので、フルタイム職員と同一待遇は必要ないと心得ております。注文したお品が届かなかった日は、お代は払わないでしょ?』

 パートタイム職員の出勤を、モノの配達に喩えたのです。

 その言葉の裏には、(みなさんフルタイムの組合でしょ? 短時間の人のことはメインイシューではないですよね。そんなこと、あまり一生懸命交渉しなくてもいいんじゃないですか)という意味合いがおそらく含まれていたのだと思います。

 これはまずいぞ、と私は思いました。正規教職員と非正規教職員が分断されるな、と。そもそも労働組合が既得権正社員クラブ化になっていることが、労働組合退潮の大きな原因と考えられますからね。

 それで、分断されないよう頑張りました」

 東大教職員組合は、文字どおり、教員と職員の両方が加入する労働組合である。そのため、「教員」と「職員」が抱える問題はそれぞれ違うのだが、今回のインタビューでは、鮮やかな成果を上げた教員(非常勤講師)に関する交渉について主に聞き、最後に非正規職員に関する女性差別的な「東大ルール」を紹介する。

◇早稲田と東大が5年雇止め撤回の意味
 第一のテーマ、非常勤講師に関する問題の中心は、謝金による日雇い・偽装請負をやめさせ、労働者としての就業実態に適した雇用契約を適用させたことだ。

 2013年4月施行の改正労働契約法18条により、有期雇用労働者が契約を繰り返し通算5年を超えれば、労働者は無期契約を申し込める権利を得た。特段の理由がないかぎり、使用者はその要求を拒めない。

 そこで大学の経営側が考えたのは、契約年数を5年上限にする就業規則をつくり、その内容に沿った労働契約を結ぶこと、だった。

 企業だけでなく大学でも5年雇止めの就業規則を強行するところが出て大問題になった。とくに早稲田大学では早稲田ユニオン(首都圏大学非常勤講師組合分会)が結成され、大々的な反対行動を繰り返し、全国の大学が注目していた。

 その結果は、首都圏大学非常勤講師組合早稲田分会(早稲田ユニオン)の120%の勝利に終わった。大学の5年問題における関ケ原の戦いで勝利したような状況で、それ以降、多数の大学が次々に5年上限を撤回していった。

 そうしたなかで、大学の総本山ともいえる東京大学の行方が、注目されていた。言ってみれば、「大坂夏の陣」のような戦いだ。もし東大の経営側が法律を守って無期雇用転換を実現すれば、非常勤教職員の無期雇用化の流れは、決定的になるのではないか、と大学関係者らは指摘していた。

無期契約への転換を定めた法律と、東大ルールは違うんだとばかりに独自のルールを勝手に定めていた。
 結論を言えば、東京大学における非常勤講師の処遇には、そもそも、5年雇止め以前の問題が存在していた。つまり、まずは、違法な「日雇い」をやめ、労働者としての地位を与え、しかるべく処遇せよ、という基本的な問題であった。

 そのためには、まず就業規則を整備する必要が生じたが、ここに伏兵がいた。というのは、就業規則を制定・改定するに際しては、労働者代表の意見書を添えて労基署へ届け出なければならなかった。労働者代表とは、労組の組織率が過半であれば、その労組代表者、それ以外の場合は、全労働者から民主的に選挙された「過半数代表」を指す。

 ところが東大では、そもそも非常勤講師たちを労働者として認識しておらず、過半数代表選からも実効排除していた。つまり、「選挙違反」を犯していた。

 したがって、厳密に言うと、学内全ての就業規則は違法・無効状態であり、大学には即日倒壊の危機が潜在していたのだった。もしこの選挙違反問題を解決しないまま、新たに非常勤講師就業規則をつくろうとしても、同じ問題が残ったまま、降りかかってきてしまう。

 そこで、過半数代表選からやり直す時間が必要となり、実際の就業規則制定は2018年8月、それを年度頭初からさかのぼって適用、とすることで妥結した。

 こうして出来上がった就業規則を見ると、経営側は、大学教員の任期法という別の法律を持ち出して、10年経たなければ無期転換できない、と言い出した.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



改革の第一弾は「クーリング制度」撤回から始まった。制度撤回を伝える東大教職員組合のニュースレター。
労働者が無期契約に変わるのを阻止するために5年で雇止め―ルは通用しないと示した厚生労働省の方針。
10年経たないと無期契約を申し込めないとする主張を撤回した東京大学の文書。
今年4月から施行された新たな非常勤講師の就業規則。当初5年で雇止めにされそうになったものを撤回させた。次に「任期法」を理由に10年経たないと無期転換させないと大学側は主張したが、組合側は押し返し、文字通り労働契約法どおり、契約年数が5年を超えれば希望者は無期雇用されることになった。

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記者コメント
大学非常勤講師の雇用問題をマイニュースジャパンで連載し単行本化 『ブラック大学 早稲田』(林克明著 同時代社)

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