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「東進は、結果にコミットしない“ライザップ劣化版”なんです」――広告宣伝に年50億円もかけるが“トレーナー”は素人の学生バイトな 《東進ぼったくーる》

情報提供
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月例報告や担任指導は実際には行われていない(ナガセ公式サイトより)
「東進は、教育のライザップ・劣化版です。ぜんぜん指導できていないから。それでも親から見たら、デキの悪い子が机に向かって勉強してるだけで嬉しいので、結果にコミットしなくても、つまり受験に失敗してもクレームにならない。本来は、社員が指導する時間をとれればよいのですが、現状は学生バイトの気合・根性・熱血指導で持ちこたえていて、社員はひたすら生徒募集の営業に追われています」――ナガセに新卒入社した女性社員は、学生時代から10年弱にわたって東進を見てきた結論をそう語り、自身の子供を直営校で学ばせたいとは思わない、という。
Digest
  • “東進ボッタクール”の仕組み
  • ライザップ以上、売上比11%の広告宣伝費
  • 子どもにやりたいと言わせ、親に反論させない
  • 新人の練習台になる顧客――「生徒本位ではない」
  • 約束したサービスが提供されていない
  • 「ぜんぜん指導してないじゃないか」という親クレーム
  • 「学生バイトの担任化」で素人が3者面談に出てくる
  • 社員がコミットさせられるのは営業数字ばかり
  • 第一志望合格率は、せいぜい3割
  • 高1高2未踏市場に撒くエサ「精華大留学」「ワークショップ」
  • 募集が不振だと「下位校もどんどん入れろ」の号令

“東進ボッタクール”の仕組み

東進の生徒は、「映像授業をツマミ食い的に使って自主的に受験勉強に利用できる上位進学校の生徒」(※既報の通り、もともと鉄緑会など別の塾や自習で実力をつけている人も多くナガセで実力がついたわけではない)と、それ以外の、高額な受講料を定価で払う普通の生徒に分かれる。

前者は、東進が『Sランク』と認定している全国51高校(左記リスト参照、全国5,130校は末尾掲載)に通うトップ成績者を中心に、通常校舎から切り分けられた『東大特進』などに多く在籍し、受講料無料の『特待生』が多いため、ナガセとしては赤字体質だ。

その代わり、広告宣伝に氏名を利用してよいとする許諾を得ており(※『東大特進コース』のパンフに載っている)、デキる生徒としては《新聞の合格者一覧に氏名を載せられても不名誉な話でもないし、過去問講座などをタダ同然で受講できて自習室も使い放題だからいいか》という取引関係が成立している。

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Sランク高校一覧。全国5,130校のうちの1%だけ。東進はS~Fの7段階に分類している(全国高校5,130校の分類一覧は末尾参照)

これらデキる生徒からは受講料をほとんどとれない。その分を負担しているのは、実質的に割高となる、後者の「普通の生徒」たち(A、Bランクの計1千校弱がボリュームゾーン)、ということになる。

これが、ネット上で「東進ぼったく~る」などと揶揄される、無駄に高い授業料の、基本的な背景だ。

合格者数をカネで買っているようなもので、さらにその原資を事実上、相対的にデキない生徒たちに負担させるという、二重に理不尽な構図になっている。

この、「普通の生徒」たちの支払い料金が多少高かろうが、大学受験で現役合格できるのなら、まだよい。普通の生徒たちを、受験で合格に導くだけの学力向上ノウハウを、果たして東進は持っているのか――、これが本稿のテーマだ。

一般的に、「映像授業の質・量」×「ペースメーカー役・わかるまで教える指導」=受験の成功。才能以外の要素は、この2つである。実際にはどうなのか。社員と担任助手の話を総合すると、ポイントは以下3点だ。

①講師流出で劣化する東進の授業、新規講師は「誰それ?」

今の親世代は、自分が受験生時代に映像授業を受けていないから、判断基準がなく、騙されやすいのだという。

一流講師の映像授業はこれまで、ほとんど東進の独占だった。全社研修会でも永瀬社長は『スタディサプリなんか、三流講師の集まりだから』などと、よくディスっている。だが急速に他社が追い付き始め、逆に東進からは有名講師が続々と流出している。

「東進のコンテンツは、実は質がバラバラ。その低いほうと比べると、むしろ、学力低めの層をターゲットにしている『トライイット』のほうが、質が高かったりもします」(元社員)

東進が競合とみている『河合塾マナビス』も、「並行してマナビスを受けている生徒に話を聞くと『東進と同じです』と言いますし、コンテンツは似たり寄ったり、とみてよいでしょう」(担任助手)

最新コンテンツという点では、毎年、授業内容が更新される『代ゼミサテライン』のほうが強い。有名講師が競合に流出すると、東進の授業は古い時点で止まり、より最新の情報で行われる移籍先の授業よりも、確実に質は劣る。

「2017年に入ってから、現代文・宗先生の写真をパンフやチラシから撤去するよう指示が出て、東進から去りました(Z会に移籍)。宗さんの現代文は、林さんと2大人気で、林さんが東大、宗さんが早慶以下をカバーしていました」(元社員)

東進生の大多数は東大を受験しないのだから、宗先生が離脱したダメージは極めて大きい。

2016年には、『講師が被害者』となった形で、知られているだけで8人が東進を辞め、『学研プライム』や『代ゼミ』に移籍した。

「特に化学は、圧倒的に鎌田&橋詰でしたから、東進の生徒は、とる講座がなくなってしまったんです。日本史の野島さんは辞めた後も人気ですし、地理の村瀬さんや英語の福崎さんが抜けたのも、むちゃくちゃデカい。

逆に新しく入ってくる人は、『誰それ?』みたいな人ばかり。2015年に代ゼミから来た西きょうじ先生を最後に、それ以降、有名講師は東進に参加していません。林さんの『今でしょ』が流行した頃(2013年)がピークで、既に講師陣の質は頭打ち。ビッグネームは、もう入ってこないのでは」(同)

コンテンツ自体は残っており、「辞めた講師の講座は、いつまで使い続けていいのだろう?」などと、社内でも話題になっているという。パンフでは、《授業リスト一覧には載っているが、講師の顔写真は載っていない》という状況だ。

「代ゼミサテラインは毎年、内容が更新されますが、東進は、講義の内容が古い。2002年とか2007年の講座が、いまだに現役」(同)。東進の授業を見ていたら直近の受験動向から遅れるばかり。一流講師の旧コンテンツは年々、質が劣化する。

最新の、最高の一流講座を受けたければ、東進以外に行くしかないわけだ。

②志望校と映像授業とのアンマッチ

授業の内容についていえば、受験対策は科目別・大学別に専門分化され、オールマイティーな講師や講座など存在しない。

自分の志望校にとっての最適な授業が、コンテンツとして利用できなければいけない。だが、有名講師だからといって、東大からMARCHまで最適な授業を生み出せるわけではない。

「たとえば、『今でしょ』の林先生は、東大の国語では有名ですが、それだけ。東大以外の大学を目指している人には、最適な授業ではありません。東進の校舎に在籍する人(直営で高3が約1万人強)の大多数は東大を目指していないのですから、林さんの知名度に影響を受けて東進の門を叩くのは、間違っています。

自分に合っているかが重要で、その点では、より講座数が多い『スタディサプリ』『トライイット』など別のコンテンツのほうが、費用が圧倒的に安いうえに効果が高いと思います。

東大志望者にとっても、日本史の野島先生や地理の村瀬先生が抜けたのは痛い。新しいコンテンツは見られませんから、年を経るごとに質が落ちていきます」(担任助手)

③指導者と生徒とのアンマッチ

「『映像授業を見さえすれば受かる、映像授業だから分かりやすい』は勘違いで、実際に成績が伸びるのは、映像を見ているときではなくて、自学自習のとき。僕は問題の解き方など中身についても教えるほうですが、指導の仕方は人(バイト)によって全く異なります」(担任助手)

東進で生徒を指導するのは、素人の大学生バイト(担任助手)だ。「各大学生個人の持論」に基づいて、勉強法や個別問題の解き方など、あらゆる指導が行われる。そこに共通のメソッドやノウハウはなく、当たりハズレが大きい。これは、社員もバイトも、全員が口を揃える、疑いのない事実である。

「担任助手とのマッチングが重要。たとえば、日東駒専に在籍している大学生バイトが、早慶を目指す人の指導をできるのか?ということです」(担任助手)。同様に、文系出身のナガセ社員は、理系の生徒から質問を受けても適切な指導ができず、バイト任せになる。

東進の8割の校舎は社員1~2人体制なので、全員のマッチングは不可能。社員は毎月1回、担任として生徒に『合格指導面談』をすることになっているが、私大文系出身の社員が、国立理系の生徒も担当する、といった超アンマッチな組合せが、小規模校舎では確実に発生する。社員が校舎長1人しかいないのだから、どうしようもない。

これでは、受かるものも受からなくなる。カネ儲け主義優先なので、それでも口車に乗せて、アンマッチな生徒も入会させてしまう。生徒本位では全くない仕組みだ。

「たとえば『家庭教師のトライ』なら、早慶を目指す人には早慶専門の人が必ずつく仕組みになっていますから、東進よりも確実にマッチングされます」(担任助手)

永瀬社長がバカにするスタディサプリも、東進の5分の1の価格(年12万円弱)で、現役大学生が質問や相談に対応する仕組みを導入した。全員が「東大・京大・一橋・東工大・早慶」の現役大学生と、ボリュームゾーンがMARCHの東進よりも、はるかにハイレベルだ。

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東進の5分の1の価格(年12万円弱)で、東進の担任助手と同様の機能を持つ『担当コーチ』制を導入したスタディサプリ。

「スタディサプリが、ウチでいう担任助手みたいな制度(担当コーチ制)を低価格で導入したので、競争は激しくなると思います」(女性社員)。もはや東進は、ただ無駄に高いだけでマッチングも悪い、時代遅れでダメな予備校、となりつつある。

東進の仕組みでは、当たりハズレが大きすぎてギャンブル性が強い。東進が第一に考えているのは自社のカネ儲けで、生徒の合格ではないからだ。この点でも、ぼったくられないよう、気を付けたい。

ライザップ以上、売上比11%の広告宣伝費

以上3点から分かるのは、同じ高い料金を払っていても、《受かるも落ちるも運次第》な、脆い現状である。それでも東進に客が集まるのは、莫大な広告宣伝費で、知名度の高いスター講師陣をフル活用し、社員にひたすら営業をかけさせているからだ。

年間50億円超にもなる広告宣伝費は、売上の11%にも上り、これはライザップグループの9%よりも高い(122億円/1362億円、2018年3月期)。給料及び手当の3.3倍にもなる。

【ナガセ2018年3月期連結決算】
 売上459億円
 広告宣伝費50億9千万円
 給料及び手当15億4千万円
 経常利益46億9千万円
 従業員1,205人(本体456人)

CMで講師の知名度を上げ、実態以上にスター講師のブランド力を築き、親も安心感を持ってしまう。

「スター講師に依存しすぎ。実際には林さんの東大現代文講座なんて、とらない人がほとんどなのに、親が分かってない。親と接してて思うのですが、東進を選んでしまうのは、『教育について何も考えてない人』『自分が勉強してこなかった人』が多い

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上:2017年、下:2015年の全社研修会資料より

全社研修で共有したハイスクール本部のランキング項目(2017年度)

上:中学生と高校生の通塾率推移。東進は高1高2の未通塾生市場を狙う。下:「大学入試の先にある社会」を示し、高1高2から通わせようとしている。

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現役講師を逮捕2020/01/14 19:58会員
元衛星社員2018/08/08 13:11
 2018/08/06 12:44
 2018/08/05 04:28
2018/08/04 23:49
 2018/08/04 22:59
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