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「東進生の9割は他で勉強したほうが受かります」第一志望合格率1割の惨状、費用高いだけで指導力ナシ――担任助手が語る東進ハイスクールの教育実態

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「東進ハイスクール担任助手」の名札を手に現場の実情を証言するCさん。「東進を選ぶ人は、特に親が何も考えていない人が多いです」
 東大特進コースに授業料タダで在籍させ、東大だけでなく国立早慶全般の合格者数も“無料”分で水増ししている東進グループ運営のナガセ。2017年も東大現役753人などと、前年比増の数字をPRする。だが、たとえば授業料タダで形式的に在籍する灘や開成の生徒は早慶にも4~5個は受かるので、数字上は合格者数が早慶でのべ5千人以上に膨らむものの、実質的な名義貸しで授業料も払わない幽霊在籍者が多く含まれ、取材に対してナガセは一切、内訳を開示しない。そこで独自に東進ハイスクールの現場を取材すると、第一志望合格者はせいぜい1割で、9割がたの生徒は、高い授業料を払って、そのお金が、大半を特待生が占める東大特進コースの運営資金に回される一方、指導力不足から通常校舎ではぜんぜん受からない、という歪んだ構造が見えてきた。受験生時代から4年にわたって東進に通い、現在は有名大の1つに在学中の、東進ハイスクール担任助手Cさんに実態を聞いた。
Digest
  • すべて虚飾まみれなビジネスモデル
  • 実態は「当たり外れが大きすぎる個別指導塾」
  • 「マナビス」「スタディサプリ」「Try IT」で十分
  • 伸びるのは、自学自習のとき――映像授業だけじゃ受からない
  • 映像授業を知らない親世代――何も考えてない人ほど東進を選ぶ
  • 「東進は縮小するか、潰れると思う」
  • 「9割は、もっと他へ行ったほうが伸びる」
  • 取材拒否のナガセ

たとえば、「東進生」が10人いたとする。1人は東大特進コースの開成君、残りは東進ハイスクールと東進衛星予備校(FC)に在籍する人たち。開成君は普段は駿台予備校で実力を伸ばし、特進コースはタダだから冷やかしで芸能人・林修の授業だけ申し込み、1回だけ物見遊山で出席、東大早慶含め5つ全て受かった。残りの、ちゃんと授業料を年70万円払った9人も5つずつ受けたが全敗。この場合、東進生の合格実績は、生徒10人に対して東大1、早慶4と表示されるが、実際に受かったのは形式的に在籍した“幽霊”の開成君だけで、彼も東進の授業で実力を伸ばしたわけではない――。極端に言えば、これまでの取材で見えてきたのは、こんな姿だ。

正確なところは、質問状に対して、ナガセが取材拒否で内訳を開示しないため、わからない。そこで真実に迫るため、もっとも現場の本当の姿を知る複数の担任助手(学生スタッフ)の取材を行ったところ、やはりそれに近い実態が見えてきた。

東進の「本当の実績」については、前回、「予備校選びで、東進はやめたほうがいいです」でAさんの証言を報告している。Aさんが勤務する東進ハイスクール校舎(小規模校)の第一志望合格実績(2016年春)は、現役生全体の1割未満、むしろ5%に近いものだった。具体的な人数や合格した大学・学部名まで全て聞いているが、特定されるため書けない。その合格実績たるや惨憺たるものだった。

その後も、続々と実情を伝える声は届いている。今回は、全国の「東進ハイスクール」直営94校のなかでも合格実績がトップグループに入るという東進ハイスクール校舎(中規模校)で3年間にわたって生徒の指導にあたっている現役の担任助手Cさんに、じっくり話を聞いた。つまり、これが東進の(東大特進を除く)通常校舎の実力を理解する上で、上限に近い、ということだ。

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Cさんの担任助手としての給与支給明細書

「昨年、各自の志望校と合格実績はエクセルでまとめ、本部に送りました。東大合格者は、ゼロ。第一志望合格率でいうと、受かった生徒の実数は1ケタ(10人未満)で、比率でいうと、現役の受験生全体に対して約1割。

ただこれも、『第一志望群』という考え方で、たとえば早稲田の政経学部が第一志望だったら、文学部でも早稲田に受かれば第一志望群合格とみなす社内ルールなので、本当の学部単位の第一志望となると、もっと低い。これでも、全国で最も合格実績のよい校舎のグループに入っています。つまり、ほかの大半の校舎は、もっと受かりません」(Cさん)

やはり、実数でいえば、せいぜい1割、うまくいって1割強、というのが実態なのだ。「受かる人は1人で3つ4つ受かりますから、のべ出願数に対する合格数の比率でいうと、もう少し高くなります」(Cさん)。これは数字のマジック。重要なのは、のべ数ではなく絶対数、それも第一志望合格者の頭数のほうである。滑り止めにいくら受かっても嬉しいものではない。年間で70万円~100万円も払って9割超の人が志望大学に行けないのなら、あまりに費用対効果が悪い。

すべて虚飾まみれなビジネスモデル

なぜこの程度の実績で予備校事業が成り立っているのかというと、ナガセが、莫大な広告宣伝費(2016年3月期で46億5千万円=社員の給料総額の2.7倍にもなる)を使って、あたかも実績があるように見せかけて集客しているからだ。

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都合よく毎年少しずつ増えている時点で、嘘を疑うリテラシーが必要だ

「東大特進コース」は、特待生ばかりなので、ほとんど売上にはつながらない。完全赤字の、いわゆるコストセンターである。ここに、模試の成績がそこそこよかったり、有名進学校で校内順位が高く受かりそうな生徒をかき集め、「授業料タダでライブ授業などを受けられる代わりに氏名を新聞広告で使う」といった条件で在籍させる。すると、4つも5つも受かるため、東大合格753人、早慶にいたっては数千人、といった巨大な数字が出来上がる。

それを、あたかも東進ハイスクールや東進衛星予備校といった通常校舎で高い授業料を払って勉強した人が受かったかのように「優良誤認」させる広告を打つことで集客し、全国に約1000校舎もある東進ハイスクールと東進衛星予備校の定員を埋め、荒稼ぎしている。こちらがプロフィットセンターだ。

どこでどれだけ受かったのかについてはナガセに質問しているが、決して内訳を明かさない。開示したらカラクリがばれて、生徒が集まらなくなるほど、ボロボロな実態がある

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みずほ銀行出身の取締役が2人もいるナガセの異様な組織体制

上から「マナビス」「TryIT」「スタディサプリ」。いずれもIT技術による個別最適指導をうたっており、東進のグループ指導が非効率で時代遅れとなりつつあることがわかる。

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northlight2017/07/15 20:13

昔から変わってないなあ

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mazmot2017/04/12 14:05

だいたいあってる

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mshkh2017/04/01 16:37

この記事も鵜呑みにはできないけど,予備校の合格実績とか専門学校の就職実績とか嘘ばっかりだよな.景品表示法の不当表示?とかに引っかからないのかな

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 2020/01/19 09:37
講師逮捕2020/01/14 20:01会員
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