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[ESG]包材のPFAS、最悪はマクドとケンタ、モスもポテトでは使用、無知なロッテリア…ミスドは不使用で安心

情報提供
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筆者の調査で、左側のモスのポテトの包材にはPFASを使用中であることが判明した。包材について現在、5社のハンバーガーで安心して食べられるのはモスバーガー(右)だけである。
「永遠の化学物質」とも呼ばれ、体内に長期蓄積する有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)。がんや肝臓・甲状腺の疾患など様々な有害影響が報告され、米国では自主規制で販売中止が決定。EUでは4700種以上の規制強化が10月に発表された。ファストフードでは、消費者の利用頻度に応じて血中PFAS濃度が1.45倍~2倍に増える疫学調査があり、これは容器の撥水撥油加工に使われるPFASが溶け出し摂取されるためと考えられる。国内大手5社を調査したところ、ミスドが不使用とする一方、モスはバーガ―で不使用だがポテトは使用、マクドとKFCは使用、ロッテリアは「情報を確認できない」ことがわかった。近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)が注目されるが、自社商品で社会や環境に有害な物質を使用し、消費者が聞いても答えない企業は失格だ。
Digest
  • 水道水だけではないPFASばく露源
  • フライドポテトの袋からどの程度溶出するか
  • ファストフード利用が多いほど血中濃度が上がる
  • PFASによる新型コロナ感染重症化を懸念
  • バイデン氏も有機フッ素規制強化を公約へ
  • PFOA禁止による代替撥油剤でも危険性判明
  • アメリカでは代替品も販売自粛へ
  • 米ファストフード3店の商品21品中7品からPFAS検出
  • EUではすべてのPFASを規制へ
  • 日本の大手ファストフードチェーンへの聞き取り結果
  • 当初は回答拒否したマクド・ミスド・ロッテリア
  • マクドナルド最初は不使用との回答もその後使用を認める
  • KFC「短鎖型のPFASは使用しています」
  • モス「ハンバーガーには不使用だが、ポテトの袋には使用」
  • ミスド「パラフィン紙を使用のため有機フッ素は不使用」
  • 最後までノーコメントのロッテリア
  • 有機フッ素加工とその他の加工の見分け方
(各種データや一覧表をPDF添付)

水道水だけではないPFASばく露源

 有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)は、体内に長期蓄積し、がんや肝臓・甲状腺の疾患、血中コレステロール上昇による心疾患リスクの上昇を招く。妊娠中のばく露では子どもの出生時低体重(成長後の生活習慣病の原因)や免疫力低下による感染症罹患率の上昇、脳の発達への影響など、様々な有害性が報告され、世界中で規制の強化が進行中である。

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日本のファストフードチェーン5社の包材に関するESG評価と、その根拠詳細

前回、有機フッ素化合物(PFAS)による地下水、水道水汚染の記事を書いた。この水道汚染は、4700種類以上あるPFASの内、すでに禁止された2物質PFOSとPFOAによるもので、過去の遺物によって続いている汚染だといえる。

ただPFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物(PFAS)はまだ規制されないまま。それらのPFASは今でも我々の身近に使用されている。それらを含む製品の使用による直接的なばく露も進行中である。

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PFASのばく露経路。環境経由の水汚染などに加えて、使用製品からの直接ばく露もある

PFASは、水も油もはじき、熱にも強いという性質から、さまざまな身近な製品に利用されてきた。

典型的なものは、フライパンのこびりつき防止のいわゆる「テフロン加工」だが、それ以外にもファストフードのハンバーガーやポテトフライなどの包装容器の撥水撥油加工にも使用されている。

米食品・医薬品局(FDA)によれば、フライパン加工などでは、高温で焼き付けてあるためPFASの溶出がほぼなく、高温で空焚きした場合にガスとして発生する程度だという。

しかし包装容器への使用は、低温で加工されているため、食品への移行が起こりやすいと指摘されており、現に食品への移行テストでも、温度や時間などの条件で違いはあるものの溶出されることが確認されている

フライドポテトの袋からどの程度溶出するか

どれくらいの量が溶出するのか

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ファストフードの利用頻度が増えると血中のPFOA濃度が上がる。論文データもとに筆者作成

PFOAの代替物質も危険だったという例

米でのファストフード大手3店の商品検査結果

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