情報公開請求で入手した、「平成11年6月29日生体電磁環境研究推進委員会(第7回)議事録(案)」より抜粋
|
携帯電話の電磁波による脳への影響の研究では、国際的な26の研究のうち、11が影響あり、15が影響なしと議論が分かれている。だがドコモ・KDDIらが広告主の主要マスコミは報じられないため、あまり知られていない。国内では総務省の委員会が海外の有力な「影響アリ」研究を検証するが、今回の情報公開請求で、たった1匹のマウスで安全性を評価し、報告書ではデータを偽造した疑いが強いことが分かった。検証を逃れるためか論文としても発表せず、これではシロの結論ありきの「やっつけ仕事」と言われても仕方がない。
【Digest】
◇論文化されていない、検証不能な研究報告
◇1匹だけのデータで判断「マスコミは結論重視」
◇実験者の名川教授にインタビュー
◇頭が42℃にもなって暴れてフラフラに
◇業界代表が、委員の1/4
◇密室会議、発言者も匿名、議事録も抜粋のみ
◇携帯電話で脳の神経細胞が死滅、11の研究が「影響アリ」
◇冥王星問題と決定的に違うケータイ安全性問題
◇論文化されていない、検証不能な研究報告 総務省は1997年より、「国民の不安を解消し安全で安心な電波利用社会を構築するため」、
生体電磁環境研究推進委員会というものを定期的に開催している。問題の報告書は、1999年9月2日に公表された「
熱作用を及ぼさない電波の強さでは脳(血液-脳関門)に障害を与えず」というもの。
|
当該実験におけるラットの実験環境(総務省ホームページより)
|
|
携帯電話の電磁波によって、脳の血管にあるバリア(血液-脳関門)が働かなくなり、血液中の有害物質が脳の中に浸透してしまう、という海外の有力な研究結果を、検証したものだ。脳に有害物質が浸透するとすれば、携帯電話を使うたびに脳が徐々に破壊されていくという可能性がでてくる。非常に重要な研究である。
ただ報告書の内容は、旧郵政省のホームページに掲載されただけで、実験方法や結果の詳細なデータは掲載されていない。電磁波の健康への影響について本を執筆中の著者は、その研究の詳細を知りたかったので、8月3日、総務省へ電話をしてみた。
--1999年9月にホームページにでている研究結果の、詳しい内容が知りたいのですが、もっと詳しい報告書はありますか?
電波環境課ミヤヤマさん「これは、これだけじゃないかな」
--論文になっていないのでしょうか?
「論文になっていると思います。総務省で発表するものは、論文になって査読されて、研究として認められたものしか出していないので。論文化されていると思いますけれど、確かに書いてありませんね。少し調べさせてください。担当のものから連絡させます」
その後、7日に担当の並木さんから連絡があり、論文の出所を教えてもらった。しかしその論文を取り寄せてみたところ、これは前年度の98年度の研究報告を論文化したもので、肝心の99年度の研究結果については、書かれていなかった。
そこで、9日に総務省に電話したところ、並木さんは休暇中で、再度、ミヤヤマさんがでた。
--並木さんから教えてもらった論文を購入して読みましたが、99年度の研究結果の詳細は載っていないのですけども。
ミヤヤマさん「あ、そうですか。また調べさせていただけますでしょうか?ちょっと時間をいただいて、調べて植田さんへご連絡するようにします」
その後2週間たったが一向に返事がない。
◇1匹だけのデータで判断「マスコミは結論重視」
なぜ99年度の報告書にこだわるかというと、この報告書に関しては詳細なデータが公開されていないだけでなく、委員会の議事録にもおかしな点が指摘されているからだ。1999年6月29日開かれた第7回委員会で、この報告書案の内容が論議されている。
研究を行なったのは、委員会のメンバーでもある東京大学大学院医学系研究科教授の名川弘一氏たちだ。議事録は匿名となっているが、以下のような質疑応答がされている。
質問「データは1匹についてのものか」
答え「何匹かについて実施したが、動物が暴れて管が抜けるなどが起き、評価に耐えうるものが一匹であったということ」
他にも「体温の初期値にばらつきがあり、誤解をまねかないために生データは外に出す必要は無いと思う」とか「マスコミは数字にはあまり関心は持たず結論部分を重視する」といった発言が残されている。
実はこの議事録は、非公開文書だったものを著者が情報公開請求を行なって入手したものだ。ただ開示された議事録は、各委員の発言をきちんと残したものではなく、議論の多くは省略されており、実際にどのような内容が議論されたのか検証できない、といういいかげんなものだ。
だが、この議事録だけで判断すると、たった1匹だけのデータで結論をだし、都合の良い部分だけでまとめて都合の悪い部分は公表しないという、いい加減な報告書だという疑いが出てくる。
もしこれが事実だとすれば、当然、論文になんかできないだろう。しかし論文にもならない中途半端な研究が、総務省(旧郵政省)のホームページで公表されて、携帯電話の安全性の証拠として使われているとしたら大問題だ。
そこで、再度25日に総務省に連絡をした。今度は並木さんがでた。
--指摘された論文には、報告書の内容は書いていないという点は確認できましたか?
「すいません、まだ確認中なんです」
--この研究報告は委員会の議事録でも気になる発言があるんですが、読まれました?
「どの議事録ですか?」
--第7回のものです。(以上の問題発言を指摘)。これは本当だとすると、ホントにこの実験はきちんと行なわれたものなのか疑惑が出てきますよね。
「なるほど、そういうとらえ方もできますね」
--細かい条件やデータが公表されているのであれば、こちらでも評価できるんですが、そこが曖昧になっていて、議事録には疑わしい発言がのこっている。疑惑をもたれても仕方が無いんじゃないでしょうか?
「はい、確かに議事録を読む限りですね・・・。ちょっと確認してみますので・・・」
--私が疑惑を抱いたのは、むちゃな解釈ではないですよね。
「ちょっと私からは、なんともいえないんですけれども」
--まあ、そういう議事録もあったものだから、きちんと確認する必要があると思ったんです。こういう研究というのは論文になった段階ではじめて評価されるものですからね。
「論文にはなっていると思うんですが・・・」
--論文になるという意味は、きちんと第三者の研究者の評価を受けて認められたということですよね。
「こちらでは、そのように査読されたものだと伺っているんですけど」
--だったら、きちんとデータが掲載されていないとおかしいですよね。
「なぜ無いのか、ちょっと分からないんですが」
--並木さんは、その論文を読まれましたか?
「はい、私も読ませていただきましたが、98年の研究と99年の研究をまとめたものが論文になっていると思うんですが」
--いや、でも99年の研究については書いてないから聞いているんですよ。
「99年の研究は、98年の研究に引き続いて、ドイツのフリッツ博士という方の研究を再試験して、○か×かを確認しただけですから」
--だから重要なんですよ。この研究はフリッツ氏という他の研究を批判しているんですよ。だったら、その結果を相手が読めるようにきちんと論文として公表しないと、相手は反論できないじゃないですか」
「そういう考え方もありますね」
--もしね、総務省のホームページに99年の報告書が載っていないのであれば、つじつまは合うんですよ。98年の報告書については、確かに論文に掲載されています。でも総務省では、年度を変えてもう一度実験を行ないましたと、そしてフリッツ氏の実験は間違いでしたと結論付けているんだけど、その他人を批判した研究自体が本当に正しいのか検証されていないということになるでしょ。
「検証ですか?」
--だって、あなたが指摘する論文には載っていないし、委員会の議事録では、評価したのは1匹だなんて書いてあるんだから。
「なるほど、はい、そうですね・・・。でもこの99年の研究が単独で論文になっているかは、聞いていないんですけど」
--総務省では、単独の研究として報告書を公表しているわけでしょう。だったら、きちんと検証に耐えるデータがでていないのはおかしいでしょう?
「なるほど、はい」
--そういうことなんですよ。私の疑問点は理解してもらえましたか?
「はい、わかりました」
--では速やかにこの点について確認してください。
「すぐに回答できるかどうかは、まだ分からないんですよ、申し訳ないんですけど」
◇実験者の名川教授にインタビュー
並木さんという担当者は、まだ若い人のようで98年、99年の段階では担当ではなかったので、この問題での直接の責任は彼にはない。しかし現在の著者の質問への対応によっては責任が生じるので、ぜひしっかり調べて、納得のいく返事を期待したいと思っている。
ただ、総務省の返事を待っているだけでは、いつになったら真実が解明されるか分からないので、実際に研究を行なった名川弘一教授に聞いてみることにした。
--議事録に掲載されている「データは一匹のものか?」とありますが。
「それはポジティブコントロール(報告書の中の「条件3:熱作用の影響がある場合の検討」に当たる 筆者注)のことを言っているんですよ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
市民団体が出した質問書1ページ目
|
|
|
市民団体が出した質問書2ページ目
|
|
