 Baa 優良企業予備軍
(仕事3.0、生活4.7、対価3.2)
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ドコモの営業担当社員は、担当エリア内のショップを管理し、販売の現場で、日次で数字を追いかけている。「そんなに楽観視して、いいのかな、と思います。消費者の価格志向はすごいんです。4~5年前まではある程度、価格がついていても売れましたが、今は下げないと売れない。新規でも機種変更でも、ゼロ円キャンペーンを打つと3倍は売れますから」(営業)。
【Digest】
◇トップは楽観論、現場は価格志向に危機感
◇英仏・韓国の1.5~2倍
◇事務連を実行するのが支店
◇新人研修で6ヶ月間、ショップで働く
◇支店は個人向けが中心
◇ショップの粗利は1台で9千円
◇詳細な個人情報を徹底活用
◇メーカーとの共同開発に特徴
◇4年目の夏に全員が異動
◇「社内公募の異動者は、見たことがない」
◇自宅で仕事はできない
◇豪勢な夕食代まで出ていた!
◇ずっと「エキ3」の人もいる
◇政治的配慮も入る評価
◇切られるとしても上から、という安心感
◇「NTT出身者は、いないほうがいい」
◇主査が現場モチベーションのキーマン
◇360度評価を毎年、実施
◇若手強制参加の社内駅伝大会も
◇「これ以上、残業しないで」
◇有休を捨ててはいけない
◇ドコモ支店の一日
◇トップは楽観論、現場は価格志向に危機感
現場が楽観視していないのは、もちろんソフトバンクが買収したボーダフォンの新規参入のことだ。「毎月の社内向け広報誌で社長や取締役が発言しているのを見ても、『ソフトバンクは1兆円以上の借金をして買ったのだから、まずは借り入れを返してからシェアアップのプランに手をつけるはずだ』という楽観的な説明ばかりなんです」(同)。
11月の番号ポータビリティー解禁と、それに合わせたソフトバンクの参入を控え、ドコモは喫緊の対応を迫られる時期にある。通常、トップは社員に対して危機感を持たせるものだが、半年を切った今でも「(ソフトバンクは)それなりの考えがあって買ったのだから」という一部現場の思いとは異なり、社内は相変わらずノンビリしているという。
「価格を安くしたときの反応、上がり方はすごいので、毎月のプランが安くなったら、もっと反応はいいはずです」(同)。実際、ドコモ自身、2005年11月に基本使用料が「ファミリー割引」と組合せて最大半額になる「新いちねん割引」を開始して以来、解約率は低下した。2006年3月期は、契約者数に占める解約者の割合を示す「解約率」が0.77%と0.24ポイント低下し、過去最低水準まで低下している。
◇英仏・韓国の1.5~2倍
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左:04年9月24日朝日新聞 「ユーザーの声は、圏外ですか。」
右:04年9月6日朝日新聞 「いま声をあげなければ、この国の携帯電話料金はずっと高いままかもしれません。」 |
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現場が恐れる低価格攻勢は、ほぼ規定路線と言ってよい。孫正義は、2004年9月、2回にわたる全面意見広告を全国紙に掲載。そこでは、各国の携帯電話料金のデータをグラフで示したうえで、こう述べた。
「皆さまは、日本の携帯電話の利用料金が、アメリカ、イギリス、フランスなどの主要国の中でも特に高いことをご存知でしょうか。日本で一人あたりが携帯電話会社に支払っている料金は、アメリカに比べますと月額で約1000円から約2300円程度、英仏や韓国と比べますと約1.5~2倍も高いのです」
そして、かつて「ヤフーBB」の参入で、一気に約5分の1に引き下げ、世界一安い価格にしたADSL接続サービスも例にあげつつ、「私たちソフトバンクグループには、このとりわけ高い日本の携帯電話の利用料金を大幅に安く、しかも楽しいものにする自信があります」と言い切った文章を紙面に残している。そして、消費者に、総務省に対してパブリックコメントのメールを送るよう、けしかけた。
実際にボーダフォンの買収で参入が決まり、念願叶った今、これで価格競争を仕掛けなければ、孫は大嘘つきになる。ここまで大々的に表明している手前、価格を下げなければ、消費者からも相手にされない可能性が高い。ボーダフォン自体の業績がいかに悪かろうと、客観的に見て、やるしかない、という状況である。
◇事務連を実行するのが支店
現場がいくら危機感を持とうが、中央集権的なドコモの組織では、現場の裁量権は小さい。
基本的に、本社で考えた施策を、支店が全国一律で展開していくのが、営業面での仕事の流れだ。本社の販売部などから、「事務連」と呼ばれる通達のようなものが、毎日20件.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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