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近未来通信 元社員が語る詐欺の現場(1) 支店長年収3千5百万、新人営業1千万の仕掛け

情報提供
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プロモビデオで説明する石井優社長
 私は近未来通信のサーバー営業部という部署で、約1年間、勤務していました。実際に投資家に対して中継局オーナーになるよう出資金を募る営業を、最前線でやっていました。会社を辞めたのは先月11月半ば、社員全員が解雇された日。つまり、最後まで内部を見てきた一人です。被害者や、社員である私のことも騙し続けた会社に怒りをおぼえ、図らずも片棒を担いでしまった反省もあり、告発に踏み切ることにしました。
Digest
  • 初年度でも1千万円の年収
  • 東京本社で研修
  • 支店長クラス、年収3千5百万円近くになる仕掛け
  • 残業もほとんどなし
  • 贅沢三昧の幹部たち
  • 社長「いま、海外にいっていると言え」
  • 「こんなインチキ広告出しやがって」
  • 厳重警戒、金庫のような経理の扉

私は入社して以来、この会社がまっとうな会社なのか、段々と疑問を抱くようになりました。投資家への配当金は年利で約30%にも上り、こんなうまい話が本当にあるのか?と思いましたし、提供しているはずのIP電話サービスのユーザーとは、一度も接することがなかったからです。

ですから、いつか、そういう日もくるかもしれないという不安はあったのですが、新聞で報道されたときは、背筋が凍りつくような思いでした。その後、新聞で盛んに報道されるようになってから、会社がまともに反論すらできない様子をみて、結局、「詐欺だな」と実感しました。

被害者の多くは、年金をもらって生活している人たちです。将来、年金が支給されなくなるのではないか、との不安から、退職金などの貯金をつぎ込んで近未来通信に投資した。私が営業してきた人達のお金は、もう返って来ないでしょう。私は見ていられなくなりました。しかし会社は、そうした年金生活者達を尻目に、往生際わるく、最後の最後まで被害を拡大させていきました。

≪説明会で使われるビデオ(画像クリック)≫

近未来通信は、インターネットを使ったIP電話事業者。その中継局の設置費用などを負担してオーナーになれば、通話料に応じて配当するとうたった「中継局オーナー制度」で、投資家を募集していた。3千人が投資したともいわれる。

最低1,100万円ほどの初期費用で、通話料から月80万円前後の収益があるとしていたが、その実態はなく、今月4日、詐欺の疑いで警視庁の家宅捜索を受け、11日には特別捜査本部も設置された。7日には、被害者弁護団が、同社の破産を申し立てている。

初年度でも1千万円の年収

私が近未来通信に入社した経緯は、地元のある県で、近未来通信の支店が翌年にオープンするということになり、地元紙に求人広告が出ていたのがきっかけです。当時、私は、違う会社に勤めていたのですが、給与の面で待遇が悪く、転職を考えているところでした。

そうした折、近未来通信の求人広告に、「月最低40万円はもらえる」とあったので、すぐに応募しました。今まで、IT関係のキャリアはまったくなく、パソコンの使い方も全くわからない程、知識はありませんでしたが、勉強の1つという意味でも、興味を覚えました。

その後、面接に行き、そのとき面接官が言っていた次の話が一番印象的でした。面接官が言うには、近未来通信で働くには最低1千万円の年収を取れるくらいに働いてもらわないと、やっていくことはできない。実際、今、働いている新入社員も、1千万円の年収を確保している、と言うのです。

面接を聞いて、絶対入りたい、と思いましたね。一般企業で初年度1千万円の年収というのは、まずないと思いますから。1千万円、2千万円もするサーバー中継局が本当に売れるのか?そんな大金を出して購入する人がいるのだろうか? 顧客獲得はかなり厳しいのではないか、という心配もありました。

でも、入社内定の通知がきたときは、年収1千万円ですから、挑戦していこう、やっていこう、がんばろう、という気持ちになりましたね。実際、社員に与える金銭的なインセンティブは、巧妙な仕掛けになっていました。

東京本社で研修

入社後は、まず研修期間ということで、東京本社に配属されることになりました。そのとき、私のほかにも数人入社し、そのうち一人が支店長か支店長代理として責任者になるという話になっていました。研修期間は、支店がオープンするまでの約5ヶ月間で、その間は、本社まで徒歩15分のところにあるワンルームのウィークリーマンションに住んでいました。

近未来通信の社員は、会社資料によると、合計178人(正社員:男性106人、女性56人、派遣社員:男性6人、女性10人、2006年8月1日付時点)で、そのうち本社勤務は134人。研修中の配属部署は、サーバー営業部でした。サーバー営業部という部署は、本社約10人、東北、中部、関西、九州の各支店が計約10人、合わせて20人前後の部署。サーバー営業部のトップは本社の寺田隆部長で、この人が支店長も取り仕切っていました。

研修中は、先輩が手取り足取り教えるといったことはほとんどなく、投資家を募るための事業説明会の会場に同行して、セッティングを手伝ったり、説明会にお客の立場になって聞くため、自分も参加して聞いていたり、説明会後に行われる商談に同席し、先輩の横で交渉の仕方を学んだりしていきました。それとオフィスでは、電話の飛び込み営業の「テレアポ」をよくやらされました。

実際、入社してみて、まず、給料はやっぱり正直、多かったです。最初の研修期間は基本給38万円と、諸手当を含め、大体手取りで40万円もらえました。3箇月の研修期間だけでも120万円になりますし、その間にお客さんを2件、3件と獲得していくうちに、1000万円の売上を上げれば10万円プラスといったように、売上の1%がインセンティブとして入ってくるので、給与はさらに上がっていきました。

支店長クラス、年収3千5百万円近くになる仕掛け

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1:支店長の給与明細。税金だけで120万円を超えている

サーバー営業部は他の部署と違い、かなり給料を取れるシステムになっています。ある支店長の給与明細(右記1)を入手しているのですが、今年8月分の給料は384万

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2:営業手当明細表。契約5千万円超で、その1%を加算。この月は契約1億円超だった

3:営業手当支給歩合等一覧表。契約実績に応じたインセンティブが、詳細に決められている。

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gulugulu2011/07/19 11:05

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栗田2016/12/02 19:26
派遣2009/11/23 03:13
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かめ2008/02/01 02:51
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この記事は、元社員への聞き取りに基づき、佐々木敬一が代筆した。
本文:全約5,900字のうち約3,000字が
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