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会社説明会、就職人気ランキング 嘘の構図
2007年2月調査、就職志望ランキング(リクルート発表資料より)

 私はいま、自分の仕事にかなり満足している。何に対しても満足しない私の性格を知る友人がこんなセリフを聞いたら驚くだろう。だが、これは本心だ。大学生の頃は、10年後の自分が、まさか会社を起し、編集長として優秀な同志たちとニュース媒体を立ち上げポータルにも配信し、本も4冊出して、やりたい仕事だけをやって食べていけている姿など、まったく想像できなかった。

 いま、ライフワークとライスワーク(食べるための仕事)は完全に一致し、「カネのために働かねばならぬ」という状況から脱している。つまり、仮に私が大金持ちで仕事をしなくてよいとしても、今とまったく同じ仕事を自発的に続けるだろう、ということだ。趣味であり、ライフワークだから。これが本当の幸せなキャリアというものだろう。

 もちろん、そこに到達するのは容易でなく、つい1年ほど前からの話だ。それまでは、少なくとも人並み以上に自分のキャリアについて悩み続け、自分なりに打開策を真剣に考え続けた。本書の底流には、そうした経験をもとにした、「内なる自分との戦い」がある。まずはそのあたりを述べよう。

 いま振り返れば、キャリアの岐路に立ったことは、3回あった。

◇あてずっぽうの就職活動
 最初は22歳の就職活動で、右も左も分からぬまま、その時期が来てしまったから、仕方なく慣れないスーツを着て試験を受けに行き、気がついたら新聞社に決まっていた。いま考えても、自分が合理的な活動をしたとは思えない。

 最初はテレビ局を受けて全滅し、次に、新聞志望なのにトップ企業の朝日は受けず、記者職だったら、雑誌を発行する出版社も就職先として考えられるのに、まったく視界に入らなかった。後に転職するコンサルティング業界など存在すら知らず、マスコミ以外は一切受けず。要するに私が無知だったわけだが、相談できる人もおらず、書籍など適当な情報源も見当たらなかった。

 日経の試験日は天気のよいゴールデンウィーク中だったから、当日の朝に後輩から海に行かないかという電話があり、ウィンドサーフィンに行くか筆記試験を受けるか、一瞬、考えたほどだ。試験では作文も論文も、すらすら書けた。新聞は1年前から切り抜いて整理し、しっかり読んでいたので、一般常識も解けた。面接は圧迫面接のはずが、そうでもなく、あっけなく終わり、当時としては早い6月4日に内定が出て、結構うれしかったのを覚えている。

 ただ、それが本当によかったのか、今もって分からない。全力を尽くしたともいえないし、検討すべき選択肢をしっかり検討したとも到底、いえなかった。新聞業界や各新聞社のカルチャーなど、何も知らないままに、決めてしまった。ほとんどあてずっぽうといえる。

◇位置づけを確認できない悩み
 そのツケは入社後に負うことになった。権力を監視するという本来のジャーナリズムの仕事を思い描いていた私は、企業や警察のPR記事ばかりを書かねばならない日々に精神的に疲弊し、さらに、休みがなさ過ぎる生活に肉体的に疲弊し、考える時間さえないまま刻々と時間が過ぎていくという、最悪の事態に陥った。

 社会人になって1年はずっと気が重く、どうやって事態を打開しようかと悩み続けた。これからずっと、生きていくために、毎日会社に行ってカネを稼がなければならないのか、人生とは本当に大変なんだな、と深刻に思っていた。社会人同期の友人も、多くが悩んでいたし、すぐに辞めて留学する者もいた。

 ただ、具体的に他社と比べて何がどう違うのか、よい点はどこなのか、ほかも皆同じなのか、相対的な位置づけを確認する手段はなかった。まだ明確な座標軸を持てていなかったし、情報といって友人関係のなかでは限度があった。ただ、何かがおかしいということだけには、確信を持っていた。

 入社直後から、企業カルチャーに大きなギャップを感じた私は、部長や会社と対立ばかりしていた。まだ若かったし、理想主義だというのも分かってはいたが、ここで妥協したら本当の自分ではなくなるとの信念を持っていたので、その溝は埋まらず、最終的には東京地裁で人事部長や直属の部長を証人尋問するまで徹底的にやった。

 本書を読んで判断いただくしかないが、私は取材をするのも原稿を書くのも得意なほうだし、記者稼業には向いていると思う。企業側はその適性を見て採用したのだろうが、本当に組織内で能力を活かせるかどうかは別問題で、本書で述べるような、社内の人間関係や社員の人柄、労働時間やマネジメント力の問題など、とにかく様々な要素がある。私は最初の就職で、会社選びに、いかに多様な要素が絡んでくるかを痛感した。

◇向かない職業に転職
 合わない組織にい続けても飼い殺しにされるだけなので、27歳のとき、転職することにした。数えてみれば、もう1000本は記事を書いている。これ以上いても、急激な自己成長も見込めないと思った。ほとんど直感だった。旧態依然とした日本の大企業に辟易としていたので、とにかく正反対の企業カルチャーを持つ外資コンサルだ、問題解決力を身につければ、何をするにせよ、キャリアにプラスになるはず、といった具合だった。

 そもそも、他の業種を真面目に検討すらしていないのだから、我ながらあきれる。各社のWEBサイトを探しては応募し仲介会社も使わなかったが、ITバブル崩壊前で、業界が拡大中だったのが奏功した。いわゆるポテンシャル採用となり、ほとんどゼロクリアの再スタートだ。20代はやり直しがきくものである。当然、年収は約200万円も下がり、カネにも苦労した。年下のプロパー社員は優秀だし、少なくとも追い抜ける気はしなかった。それでも新しい分野でスキルを磨ける希望があった。

 転職してみると、今度は、最初の会社とは反対で、コンサルという職業に対しては向いていないが、成果主義の企業カルチャーは予想どおりで、容認できた。同年代の先輩のなかには、まだ20代半ば過ぎなのに親の歳ほどにあたる50代の役員に提案し、対等に渡り合っているマネージャーなどもいて、すごい人がいるもんだ、絶対に自分には無理だな、と率直に思ったものだ。記者時代は反対で、なぜか先輩に負ける気はしなかったが。

 つまり私は、外資系の企業カルチャーのなかで記者職に就ければよかったことになる。だが、日本には外資系の新聞社や、新規参入の外資的な体質を持った新聞社は存在しない。規制に守られているから業界が固定化している。本書でも、随所でその問題点を指摘しているが、規制は個人のキャリア人生に大きな影響を及ぼすことを、このときに実感した。

 結局、考えた末、ないのなら自分で作るしかないという結論に至り、3度目の岐路として、31歳で会社を作り、起業することになる。このときは、もう迷いはなかった。30才前後で、徹底的に、おカネのこと、本当にやりたい仕事のこと、経営のことなどを全て考え尽くし、悩み抜いた自信があった。サラリーマンに向いていないこともよく分かった。

 いま考えても、ほかの選択肢はない。迷いがないから仕事に没頭できるし、周りも信用してついてくる。だから今の自分のキャリア満足につながっているのだと思う。図らずも、記者とコンサルという全く異なるスキルセットが、オンリーワンの、誰にも真似できないキャリアを構築するのに役立った。

◇タイムマシンに乗れたなら
 こうして振り返ると、20代の社会人駆け出しの自分に対しては、アドバイスしたくなることがたくさんある。「おまえは、あまりにあやういぞ」と。いわゆるキャリア本の類を読むと、「キャリアの8割は偶然で決まる」だの、「直感を大事にしろ」だのと書いてあり、私のケースでも当てはまることは多いのだが、それにしても、だ。もう少し論理的に、もれがないよう視野を広げて考える手段があれば、余計な苦悩をかかえずに済んだのではないか。

 やりたいことができないのは当り前のことなのか、休みがほとんどゼロなのはどのくらい異常なのか、実力主義でない人事制度にみな納得しているものなのか……。会社に居ながらにして、客観的に、自分が所属する会社の位置づけを分析できたなら、余計な不安に陥ることなく、もっと合理的なキャリア判断をしたのではないか。

 会社選びでも、会社と合う点、合わない点を、もう少し理解して覚悟したうえで入社していたら、もっと違う考え方ができて、余計な対立は避けられたのではないか。仕事以外にほとんど趣味の時間もとれず生活を犠牲にしてきたことや、急に年収を下げて苦労することも最小限にとどめられたろうし、もっと短期間で今の自分になれたのでは、と思う。

 その原因を考えていくと、会社を選ぶ際に参考となるような情報、「会社の見方」の類が、圧倒的に不足している、という一点に収斂されていく。会社というのは働く側からみると、どういう視点で、どういう基準で選ぶべきなのか。どんな断片的な情報であれ、実際に個別企業がどうなっているのか。そういう情報があれば、自分で考えるきっかけになるし、動きやすくもなったはずだ。

◇イメージ先行の就職人気ランキング
 しかし現状では、何があるのか。よく目にする就職人気ランキングはイメージ先行で、実態とのギャップが大きい。企業が、「リクナビ」や「就職ジャーナル」などにどれだけ広告を打ち、広告会社にカネを払って就職イベントをどれだけやったか、でランキングは動く。

2006年2月調査、就職志望ランキング(リクルート発表資料より)
 人気ランキングで何位になるかは、数値で分かりやすいがゆえに人事部採用グループの評価指標になって.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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ある資料を見た  18:11 06/29 2007
2007年4月入社のみずほFGのデータ。いわゆる上位大学を対象とした調査リポートだったが、内定を出した学生10名に対し、入社承諾zero。5人以上の内定に対し、入社承諾がzeroだった企業はみずほFGと楽天だけ。学生さんもちゃんと考えていますよね。
うむ。  12:17 06/08 2007
 凡俗に習うとそれ以上はなく、師事に値する人と出会えるかは運。成し遂げる方は筆者のように、自ら道を拓いていかれるのではないでしょうか。
 まぁ僕も悩み、勝負し、勝ちあがるために闘っておりますので、業種業界違えど良く分かります。起業に限らず、プロとして勝負はできますので。
山田太郎  10:50 05/11 2007
>>ふーむ
私が参加した説明会で感心したのはトヨタ自動車で、イベント施設借り切って大々的にPRしてた。
どうせまたどっかの広告代理店と組んで演出してるんだろうけど。

社員はトヨタの待遇の悪さには開き直っていて、すがすがしいくらいだった。
ふーむ  10:43 05/11 2007
たしかに、会社説明会ってセミナーに似た空気がありますね。みんな良いところだけ聞いて洗脳されていく。
自分が参加した説明会で感心したのは本田技研で自分の会社を知ってもらおうと必死な姿勢が伝わった。辞める人も少ないし。
落ちましたけどねw
山田次郎  22:19 05/07 2007
>>妥協しない心さん
「えっ?まだ新聞、定価で読んでるんですか!?」でググってみて。
妥協しない心  08:27 05/06 2007
「その溝は埋まらず、最終的には東京地裁で人事部長や直属の部長を証人尋問するまで徹底的にやった。」とはすごい。
書籍:若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか(東洋経済新報社) に収録されているようなので、買ってみようと思います。
山田太郎  01:07 05/06 2007
MyNewsでいろいろな知識を得ることが出来たおかげで「トヨタ自動車」=まずは社内を"カイゼン"すべき会社(社員寮が汚い、海外でのえげつない態度 etc.)を知ることができた。

トヨタの現役社員から「ド田舎の豊田市での生活にも10年もいりゃいい加減慣れる」とか「車はいちおうカローラフィールダー乗ってる」だの「今は結婚してオンボロ寮は出ていった」という話が聞き出せたのは愉快だった。