メーカー別リコール件数ワースト10(過去3年合計値)
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過去3年の国内リコール台数についてメーカー別の集計を行ったところ、リコールの絶対数ではトヨタ自動車がダントツトップの511万台と、生産台数世界一(今年の見通し)らしい王者の貫禄を見せつけた。同時期の販売台数は512万台とほぼ同数で、人命も顧みず顧客を“無料テストドライバー”として利用している欠陥車メーカーの実態が明らかになった。販売台数に対するリコール台数の比率では、リコール隠しで信頼を失った三菱ふそうが、販売台数の実に18倍をリコールしていた。
【Digest】
◇3年分を独自に集計
◇本当にこれだけか
◇海外組ではフォルクスワーゲンが1位
◇「販売台数リコール比率」が高いルノーとプジョー
◇罪に問われることを恐れ情報隠す国交省
◇3年分を独自に集計
国交省は、とにかくメーカー別のリコール数を絶対に発表しないし、取材にも答えない。国民や生活者の立場よりも企業の都合を常に優先する体質がDNAレベルに染み付いているのだ。主要メーカーも、三菱を筆頭に答えたがらない。一方、マスコミは「巨大広告主である自動車メーカー様に序列をつけるのはけしからん」という意識で、こうしたネガティブ情報は、読者ニーズがあっても、絶対に調査報道をしない。
たとえば前回、報告した三菱自動車の「亡くなった人も浮かばれない」対応を振り返ってみよう(抜粋)。相手は、三菱自動車お客様相談センター(担当・オオシマさん→ナイトウさん→アラオカ課長)である。三菱自動車は、いくらしつこく聞いても無駄だった。
--リコールの台数は教えてもらえますか?
「それも公開していません」
--あれだけ深刻な問題を起こしたのに、何も改善していないの?
「現状では、しておりません」
そこでMyNewsJapanでは、国交省が公表している1件ごとのリコール情報
の、2004年~2006年の3年分すべて、計1,285件を「エクセル」にひたすら入力し、集計・分析を進めてきた。リコールを届け出た社は、計129社にのぼった。
当然、販売台数が多いほどリコールは増える可能性が高いため、販売台数との比率でみなければ意味がない。販売台数は、国内メーカーについては、日本自動車販売協会連合会
が、輸入車については、JAIA(日本自動車輸入組合)
の輸入車新車販売台数速報に出ている。同様に、2004年~2006年の販売台数を集計した。
このほど完了した集計結果によると、リコール台数ワースト10社は、右上グラフのとおりである。
◇本当にこれだけか
100台売ったら99.9台は人命を脅かす欠陥車だから修理が必要--。過去3年間のデータは、トヨタの品質軽視・儲け第一主義の姿勢を物語る。2005年10月に、主力車種であるヴィッツやカローラなど、対象車が127万台にものぼる過去最大のリコール(5年前から発売し始めた車のヘッドライトスイッチの不具合)を届け出るなど、過去にさかのぼったリコールを続発させ、消費者を混乱に陥れた。
2004年、2005年と、リコール台数が販売台数を上回っていたトヨタは、2006年に減少したため、3年トータルの欠陥車率は99.9%と、3年ぶりに100を割った。
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ネッツトヨタから届いたお知らせ |
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リコールだけではない。今年5月、トヨタの販売店は、ノア、ヴォクシーなど16車種のユーザーに対し、「ご愛用者の無料修理実施のご案内(サービスキャンペーン)」と題した郵便を出した(右記参照)。
中を読むと、「長時間のアイドル運転等を繰り返しますと、スロットバルブ部にカーボンが多量に堆積し(中略)エンジンが停止することがあります。」などとある。エンジンが停止するというのは、尋常ではない。人身事故に直結する。だが、これはサービスキャンペーンであり、リコールではないという。
リコールとは、「安全上」「公害防止上」の規定に適応しない恐れがあることが発覚した場合、メーカーが国土交通省に届け出て自動車を回収し、無料で修理しなければならない制度。要するに、リコールとなるのは人命にかかわる深刻な欠陥のケースのみで、ほかに「改善対策」や「サービスキャンペーン」がある。
いずれの場合も、車を修理工場に持ち込むなど消費者に多大な迷惑をかけるが、それらに対する一切の補償義務はなく、消費者は泣き寝入りを強いられる。
しかし、この手紙のケースは、なぜリコールでないのか、さっぱり分からない。エンジントラブルは十分に危険であり、安全上、問題がある。国交省が定めた基準は曖昧で、何をリコールと申請するかは、メーカーの自主性に任されているのが実態だ。
この手紙を受け取ったユーザーが言う。「高い金を払って車を買った一般大衆にとって、国交省うんぬんは、正直どうでもいいわけです。自分たちの不手際のくせして、無料サービスキャンペーンとは、かなり腹立たしい。あたかも自分がタダで直してやるくらいの勢いをもたせたこのDMは、どうなのでしょうか?」
トヨタは、サービスキャンペーンなるものを、2006年に8回、2005年に12回も行っているが、台数は非公表だ。つまり、本来、リコールすべき台数は、もっともっと多い可能性が高い。リコールとして届け出たものだけで100%弱、ということだ。
トヨタからすれば、ユーザーが販売店まで持ってきてくれるし、ガソリン代もユーザー持ち。修理期間中の代車も出す必要はないし、ユーザーが無駄にした時間の補償もしなくてよい。だから、とりあえず販売してしまって、あとから直せばいい。不都合なことはマスコミは書けないからよいだろう…。つまり、消費者を無料のテストドライバーがわりに使っているのが実態なのだ。
◇海外組ではフォルクスワーゲンが1位
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リコール台数順ワースト24と販売台数。フォルクスワーゲンやメルセデスベンツが上位に。 |
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販売台数に対するリコール比率ワースト24。仏車の高率が目立つ。あなたの愛車は大丈夫? |
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