サラ金業界からの寄付金で運営する「消費者金融サービス研究
所」を持つ早稲田大
|
「上限金利の引き下げはマクロ経済に大きな影響を及ぼす」などと、サラ金業界がよろこびそうな論文ばかりを発表してきた早稲田大学の消費者金融サービス研究所、通称サラ研。その運営費のほぼすべてが大手・中堅消費者金融会社の寄付金でまかなわれていることがわかった。総額5,100万円も寄付した「消費者金融サービス振興協会」の理事長はアコム社長で、理事4人はプロミス、アイフル、武富士、三洋信販の経営者だ。サラ金“御用学者”たちが、業界のカネで業界のための論文を量産する--そんな、学問の本道を外れた、歪んだ産学連携の姿が見えてきた。
【Digest】
◇「寄付者にサラ金関係役員はいない」とウソ
◇スポンサー振興協会理事長はアコム社長
◇サラ金業界がよろこぶ論文ばかり30本
◇売出し中!「サラ研」研究員・堂下浩東京情報大准教授
◇忽然と消えた堂下論文 サラ研HPの奇奇怪怪
◇発注者不明の「受託研究」
◇「寄付者にサラ金関係役員はいない」とウソ
|
消費者金融サービス研究所の事務所が置かれている民間マンション。表札は「消費者金融サービス研究学会」となっている(新宿区早稲田鶴巻町)。家賃はいったい誰が?
下は、消費者金融サービス研究所のHPより。 |
|
創立125周年の宣伝文句があふれる早稲田大学に「
消費者金融サービス研究所」(サラ研、坂野友昭所長)という研究機関がある。"パーソナルファイナンス研究の拠点"にすべく2000年、研究者有志の発意で設置された、日本で唯一のサラ金研究所だ。消費者金融サービス研究学会(江夏健一会長)の事務局も兼ねている。
設立当初の所長は、江夏健一早稲田大学商学学術院教授(現副所長)。現所長は坂野友昭同教授。いずれもサラ金業界擁護派で規制強化慎重論者として知られている人物だ。
早稲田大によると、消費者金融サービス研究所(サラ研)の運営は寄付が頼りで、大学の総合研究機構という部署を通じて寄付を受け付けているという。大学側が明らかにしたところでは、サラ研に対しては「消費者金融サービス振興協会」という団体より2000年度から毎年600~700万円が寄付された。振興協会もこれを認め、寄付総額は2007年度までで計5,100万円にのぼることがわかった。
このサラ研のスポンサーである「振興協会」について早稲田大学広報部は当初、「早稲田大学消費者金融サービス研究所のメンバーと消費者金融サービス研究振興協会の間に関係役員(サラ金関係者)はいません」と業界との関連を否定していた。筆者もあやうくそれを鵜呑みにするところだった。
◇スポンサー振興協会理事長はアコム社長
ところが、関係役員がいないどころか、消費者金融サービス研究振興協会の事務局は、大手貸金業者の三洋信販に置かれていた。事務局の説明では、
.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
“早稲田サラ金研究所”のスポンサー「消費者金融サービス研究振興協会」の事務局がある三洋信販東京本社(東京都千代田区有楽町)

|
|
|
消費者金融サービス研究所のHPに掲載された研究は約30編。「規制強化は好ましくない」など業界が喜びそうな内容ばかりだ。冒頭には堂下浩・東京情報大准教授の「消費者金融利用者に関する調査報告書」が掲載されていたが、削除された。研究費の出所を尋ねていた矢先だった(上)。
下は昨年7月27日、金融庁で開催された「貸金業制度等に関する懇談会」で堂下氏が提出した調査概要。
「悪循環の原因は心理的要素が大きい」として「残高や金利の規制では『過重債務』問題の解決にはならない」と結論づけている。
|
|
