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パッチ治療開始2ヶ月、禁煙よりつらいデブ対策(禁煙苦闘ルポ2)

情報提供
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ニコチンパッチを貼ったところ。これだけの効き目があるとは知らなかった。1日中貼ったままにしておき、風呂のときも貼ったまま。かぶれやすいので位置を毎日変えるほうがいい。無理して、小さいものに変えたり、止める必要はない。じっくりと進めたほうがいい。
 1日20本、27年間吸い続けた筆者が禁煙治療を初めて2カ月。禁煙パッチ治療(保険適用)は思ったより苦しまず、ニコチン漬けだった体への禁断症状もなし。1~2行の「禁煙日記」を記録し、吸いたくなるパターンを自己分析したら、「締切り前」と「居酒屋」が危険であることも分かった。だが次に待っていたのは、生まれて初めて味わう肥満。禁煙してから、食事が美味しすぎるのだ。

 10月18日の朝、家にあるタバコ・灰皿・ライターなどの喫煙グッズをすべて処分、禁煙開始だ。杉並区にある 東京衛生病院の禁煙外来に通い、保険の適用(2006年4月から適用開始)を受けての禁煙治療である。

 根性、精神力、努力だけに頼らず、実績ある専門家と相談し、無理なく(苦しむことなく)禁煙を実現させるのが私の目標である。すぐに禁煙できるか否か、できても禁断症状などで苦しくないのか。禁煙実現までのプロセスに何があるのか。その実体験を「止めたいが止められない人」に紹介したい。

◇タバコ・灰皿・ライターを捨てる
 初診の問診で治療方針の説明があり、ここで「決行日=禁煙開始日」を設定する。つまり、ふつうは禁煙を始める前に事前の準備をする。まず、本(私の場合は「5日間でタバコをやめる本」日東書院)を読んでひととおりタバコについての基礎知識を得た。

 吸う本数を減らしたり、ニコチン濃度の低い銘柄に変えたりするのは無駄だが、ヘビースモーカーの場合、開始日の直前「短期間」だけ本数を減らしたほうが、突然禁煙を始めるよりもショックは少ないだろう。

 減煙・薄いタバコは、無意識に強く吸ってしまう。体内のニコチン濃度を必要とするレベルに高めようと、自然とそうなってしまうのだ。おまけに、この方法では、タバコを止めるか死ぬまでずっとストレスが溜まる。
 
 しかし、私を担当してくれる東京衛生病院内科の佐々木温子医師は、「人によってかなり違うのですが、朝起きてから最初の1本を吸うまでの時間が長い人ほど、らくに禁煙できる傾向があります。夜寝ているときにタバコは吸いませんから、朝起きたときはニコチン濃度が低くなっています。それでタバコを吸って、その人なりの一定の濃度に上げなければならないんですね。そのために、午前中に集中して吸う人も多いです。一定の濃度に達したら、それを維持するような喫煙行動になる。喫煙後20分で血中ニコチン濃度が低下し始め、2時間もすると濃度は半減します。30~40分で吸いたくなって不快感が出ますから、吸える環境ならもう1本吸ってします。その繰り返しなのです」と言う。

 つまり、朝起きてすぐにタバコに手を出す人は、必要とするニコチン濃度が高いということ。言い換えればヘビースモーカーほど朝起きてから最初の1本までの時間が短く、禁煙がむずかしくなる。

 だから、ヘビースモーカーの場合は、たとえば開始日の1週間前だけ少しずつ本数を減らし、開始時点で少しでも体内のニコチン濃度を下げておくことがポイントなのだ。

 また、どうしても吸いたくなってしまったとき具体的にどのような行動をとるか、決行日以前に、あらかじめ決めておく。佐々木医師は、次のように言った。

・紅茶よりコーヒーのほうがタバコを吸いたくなるのでコーヒーは飲まない。
・タバコ用品はすべて捨てる。
・深呼吸をする。
・冷たい水を飲むと欲求を抑えられる。
・禁煙がある程度の期間達成できるまでは、お酒を飲む場所を避ける。
・心配ならニコチンパッチに加えて、禁煙ガムを口内に貼り付ける。

◇ニコチンパッチの威力

 私の場合は、準備期間がほとんどなく、初診(初診料等1710円、ニコチンパッチ2週間分4110円)の翌10月18日から禁煙を開始した。起床後、すぐにニコチンパッチ(ニコチネルTTS=NOVARTIS社製)を腕に貼った。そしてベランダに行き、灰皿・残りのタバコ・ライターを全部袋に詰め込み処分した。

 ニコチンパッチは、円形のシール状で面積は30平方cm。「林さんは、1日20本(1箱)程度吸う標準的なスモーカーですから、この大きさでいいでしょう」(佐々木医師)と一番大きなパッチを使用することになった。
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■禁煙治療の概要(上)。これからどういう方針で、どのようなプロセスで禁煙していくか。全体の概要を把握すると成功しやすい。できれば、禁煙開始までに、少なくとも一冊の禁煙本を読んでおくことをお勧めする。

■禁煙日記(下)。ちょっとした情報をメモのように書き留めておく。するとつねに禁煙のことを考えるし、自分の行動パターン、吸いたくなる状況の把握、それへの対処法など、具体的になってくる。1回書くのに費やす時間は1分程度。これだけで禁煙の成功率は高まると思う。

 治療計画では、30平方cmを4週間、20平方cmを2週間、10平方cmを2週間。合計8週間を目標にしている。製薬会社の資料には「10週間を超えて使用しないでください」と書いてある。

 佐々木医師は言う。「もちろん、10週間以内でパッチ使用を終わらせたほうがいいです。でも、ずっとタバコを吸い続けるのと長期間パッチを使い続けるのはどちらがいいか。ハーム・リダクション(害の低減)の観点からは、長期間のパッチ使用は喫煙に比べれば害は少ないです」
 
 パッチは、ニコチン成分を皮膚から体内に取れて、体内のニコチン濃度を高める。しかし喫煙は、ニコチン成分以外に200種類近くの有害物質を体内に取り入れてしまう。その有害成分が体内に入らないだけ、ニコチンパッチは、はるかにマシだ。

 ただ、パッチは即効性がなく効き始めるまで最低30分くらいはかかる。そこで、ニコチンガムの登場となる。私はあらかじめ市販されている「ニコレット」(ファイザー製薬製・武田薬品工業販売)を薬局で買っていたので、それを使うことにした。

■10月18日
 禁煙1日目、意外なほどの効果に驚く。タバコが吸いたくてイライラし仕事も手につかず、頭痛、場合によっては吐き気まであると聞いていた。実際、かつて禁煙を試みたときはそのくらい苦しい禁断症状があり、仕事などほとんどできなかった。

 ところが、禁煙第1日目、まったく苦しくなく、すんなりと終わってしまったのである。もちろん、吸いたくなったが、そのときは禁煙ガムを噛んで対処した。この日、ガムは6個使用。ニコチンパッチは、想像以上の威力だ。驚くほど苦痛がないので拍子抜けの第1日目だった。

◇1~2行の「禁煙日記」で自己分析
 前日まで本数を減らすこともなく思い切りタバコを吸っていたにも関わらず、第1日目は平穏に過ごせた。しかし、そのまま同じ状態かというとそうではないのだ。禁煙の短期的弊害として「禁断症状」が上げられる。

 正式には離脱症状というが、イライラし、何も手につかなくなることで、これは苦しい。仕事どころではない。

 苦しくなる原因は2つ。ひとつは、ニコチンづけになっている体内からニコチンが抜け出す身体的苦痛。もうひとつは精神的なもので、これこそが喫煙習慣が脳の病気である証みたいなものだ。コーヒー→タバコ、食後→タバコ、長電話→タバコ、飲酒→タバコ、緊張→タバコ、仕事ひと段落→タバコ・・。まるでパブロフの犬=条件反射である。

■10月20日
 そして、ほとんどの人は、3日目くらいが一番禁断症状が強くなるそうだ。私も同じだった

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(上)吸気一酸化炭素濃度測定器。細い筒の部分を口でくわえ、20秒かけて息を吹き込む。第2回の禁煙外来で計測した吸気一酸化炭素濃度は、3ppm(下)。禁煙直前の数値は14ppm(中)だったので、格段の進歩である。

(上)筆者の腹(12月19日撮影)。体重76・0kg。禁煙には肥満がつきものなので、ダイエットと禁煙をバランスよく進めるべきだ。成功するには、禁煙開始日より前にダイエットを始めるべきだろう。(下)血液と尿の検査。12月4日実施。やはり中性脂肪の値が高い。また悪玉コレステロールも多い。次回はどれだけ改善しているか楽しみである。

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あっはは2008/02/01 02:51
ユン2008/02/01 02:51
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記者からの追加情報

【2007年12月22日訂正】朝起きてから最初の1本を吸うまでの時間が短い人ほど、らくに禁煙できる傾向があります。→朝起きてから最初の1本を数までの時間が長い人ほど、らくに禁煙できる傾向があります。
「短い」と「長い」がまったく逆でした。お詫びして訂正いたします。(林)
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