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疫学調査で分かった「タバコは全身病」 “タバコ病”で逝った有名人を悼む

情報提供
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『たばこ問題情報センター』の渡辺文学代表は、約30年間のたばこに関する記事のスクラップをしている。
 今年になって野球解説者の加藤博一が肺がんで他界した。だがマスコミ報道では喫煙者だったことは出てこない。これは“JTマネー”(JTは巨大広告主)が各報道機関に投じられていることと無関係ではない。そこで、JTの広告とは無縁の「禁煙ジャーナル」編集長である著者が、約30年間のスクラップの中から、生前、盛んに喫煙していたことで、肺がん、肺気腫、喉頭がん、心臓病、胃がん、心不全など「タバコ病」で亡くなったと考えられる各界著名人を紹介、「タバコ病」予備軍に警告を鳴らす。

 2007年、プロ野球界で最も派手な活躍をした選手、稲尾和久投手(悪性腫瘍)と、歌謡界で最多のヒット曲を作詞した阿久悠氏(尿管がん)が、ともに70歳で他界した。2人とも私と同じ1937年(昭和12年)生まれだったが、共通の「生活習慣」は「喫煙」だった。

 「タバコ病」と思われる病気で2007年に亡くなられた有名人はそのほか、岩城宏之(心不全・73)、藤原伊織(食道がん・59)、植木等(呼吸不全・80)、西村寿行(肝不全・76)、鈴木ヒロミツ(肝細胞がん・60)、熊井啓(くも膜下出血・76)らがあげられる(敬称略、以下同)。

◇「タバコで長生き」の研究報告はなし
 幸い私は、タバコの害について31年前に目覚めた。そして、40歳半ばから声優・俳優が主体の野球チーム「レッド・パワーズ」に参加して約25年、現役選手として毎年20試合ほどユニフォームを着て野球を楽しんでいるが、これは「禁煙のおかげ」以外には説明のしようがない。もしあのまま、1日60本ものタバコを吸い続けていたら、多分私はこの世を去っていたはずだ。

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(上)平山雄著『ライフスタイルと死亡』~喫煙等の生活習慣と肺がん等に関する調査報告書~より。

(下)すべてのガンを引き起こす ガンの部位別死亡に及ぼす毎日喫煙の寄与危険度――計画調査、1966~1982年、日本、男性――。

(注1)下のグラフで男性の観察人数が1,709,273人となっているのは、当時「40歳代の健康だった人」の追跡調査であり、調査開始時点以降、自らタバコをやめた人、ドクター・ストップ等で禁煙した人を含んでいる。従って「喫煙者+非喫煙者+禁煙者」という数字であり、観察人員の総数が多くなっている。

(注2)「寄与危険度」は、例えば肺がんの場合、喫煙が肺がんの原因のうちに占める割合
 タバコを吸っていても、中には例外的に70歳~80歳まで生きている方もいる。しかし、「肺がん」「肺気腫」「喉頭がん」などの疾病と喫煙の関係については、多くの方々が認めているが、実は、故平山雄博士は長年の調査結果をもとに、「タバコは全身病」と指摘し、吸わない生活習慣を薦めていた。

 右の報告(画像)は、平山博士が、全国29カ所の保健所(農村、漁村、都市などを網羅)を通して、毎日喫煙者、非喫煙者の男女別のうち、当時元気だった40代の男女26万5118人を1966年から1982年まで、約16年間も追跡調査した、世界でも珍しい長期・大量の疫学調査である。

 この16年間に5万1422人の方が亡くなっており、その中で、がんで死亡した人は1万3677人を数えている。その原因を調べてみると、タバコの本数が多かった人と、吸い出した年齢の早かった人が、とても高い比率で亡くなっており、喫煙と早死にが密接な関係を持っていることが明らかとなっている。

 また、たとえば喉頭がんの場合、タバコを吸わない人の死亡率を1とすると、時々吸っていた人は9.6倍、10本以上の人は28倍、20本以上の人は34.5倍と死亡率が増えている。そして25本以上のヘビースモーカーの場合、その危険度はグンと増えて、98.6倍にもなっており、吸えば吸うほど喉頭がんの死亡率が飛躍的に増えることがわかったのである。

 そのほか、タバコは呼吸器だけではなく、循環器、消化器、泌尿器など、多くの疾病・死亡との密接な結びつきがあることが、この平山博士の調査によって明らかにされた。同様の結果は、その後の世界各国の多くの研究でも明らかになっており、現在は「規制対策」に重点が移っている。

 各病気とタバコの因果関係は、下記のように解説されている。
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「喫煙者はどのくらい危ないのか?」数字は、非喫煙者を1としたときの、相対危険度
《心臓病》タバコの主な成分であるニコチンや一酸化炭素は、直接心臓や血管に影響を与え、動脈硬化や心筋梗塞、狭心症などの虚血性心臓病の大きな原因となっている。タバコを吸うと、心臓の拍動が増え、血圧が上がり、皮膚の温度が下がり、毛細血管が縮むことが明らかになっている。これが心臓に大きなダメージを与えるのだ。

《胃がん》タバコを吸っている人は、煙の中の発がん物質が唾液の中に入って、これが胃の粘膜に作用し、がんの危険性を高めることとなる。また、喫煙に多量の飲酒が加わると、消化器系統のがんが増えることがわかった。

 これらの病気に罹った方々を総称して、平山雄博士は「タバコ病」と名付け、タバコを吸わない生活習慣が重要と、警鐘を打ち鳴らしていた。

 さらに、タバコを吸わない妻の夫がスモーカーの場合、その妻の肺がん死亡率が2倍以上になることを突き止め、1983年の「タバコと健康世界会議」の中で大きな話題となって、それ以降「受動喫煙」の有害性が大きくクローズアップ

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「喫煙シーン」のスクラップ。

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messiquo2008/02/27 17:35

主観的な記事。「40歳半ばから…(略)…野球を楽しんでいるが、これは「禁煙のおかげ」以外には説明のしようがない」を見てパスしたので後はわからん。

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読者コメント

健常者2008/02/29 11:36
 2008/02/25 22:48
非喫煙者2008/02/25 10:34
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