電通が発表した「2007年日本の広告費」。新聞の凋落傾向が顕著に現れた。
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先月、電通が発表したメディア別の広告費内訳によると、2007年の新聞広告費は前年比マイナス5.2%。2年前と比べ8.8%もの激減だった。だが実際には、広告主はまだ過払いとなっている疑いが強い。「押し紙」を利用したABC部数の嵩上げで広告料金をごまかしている可能性が高いからだ。読売・西部本社のケースを検証すると、“広告詐欺”被害ナンバー1は月19本もの全面広告を打つ月もある阪急交通社で、西部管内だけで推定年4億円超の無駄ガネを支払わされている計算になった。
【Digest】
◇新聞の凋落が決定的に
◇広告料の過剰支払い
◇「押し紙」率4割を想定
◇広告料金の設定原則
◇「押し紙」の2つの役割
◇基本料金によるシミュレーション
◇毎日新聞との比較
◇被害広告主ランキング
◇阪急交通の損害額
◇新聞の凋落が決定的に 電通が2月20日に発表した「2007年日本の広告費」によれば、「新聞」「テレビ」が3年連続で前年を下回り、特に新聞にいたっては前年比マイナス5.2%、2年間では8.8%もの激減となり、新聞の凋落傾向は決定的となった。
逆に伸びているのは「インターネット」で24.4%増、2年間では58.9%増と急追し、数年後には新聞を追い抜く勢いだ(右上表参照)。新聞は読まない、ニュースはインターネットから、という若者の情報取得傾向を反映し始めた。
だが実際には、広告主はまだ新聞媒体に対して払い過ぎている可能性が高く、もっと減らさねばならない。なぜなら、広告料金は、実際には配達されない「押し紙」も含めたABC部数を根拠として算出されるのが原則となっているからだ。
◇広告料の過剰支払い
では、実際にこの広告詐欺にあっている企業はどこで、いくらの損害が発生しているのか。読売を例に検証したところ、2007年の10月1日から31日までの間に、読売新聞(西部本社版)に、約170本の全面広告(単一の広告主)が掲載されていた。
掲載回数のトップは旅行代理店・阪急交通社の19回。5位までのランキングには、アリコやトヨタ、それに日本直販といった有名企業が続々と名を連ねている(詳細は後述)。阪急は村上ファンドが指摘したとおり、経営者が株主利益を損ねている可能性が高いが、これを放置しておけば、株主代表訴訟のおそれもある。
読売・西部本社といえば、最近、YC(読売新聞・販売店)に新聞のノルマ部数(「押し紙」)を強制的に買い取らせるという事件が表面化。この問題で販売店から損害賠償を求められ、法廷に立たされている。新たな訴訟が提起されるという話も出ている。いわゆる「押し紙」裁判である。
この配達されず廃棄される「押し紙」の部数が、紙面広告の料金を設定する際の基準となる「ABC部数」に加算されていることは、新聞関係者のあいだでは周知の事実となっている。だが読売新聞に広告を出した広告主たちは、このカラクリを知っているのか。知らないがゆえに、余分な金を支払わされている可能性が強いはずだ。
わたしは広告料金の過剰支払いの可能性を検証するために、読売・西部本社をモデルに大胆なシミュレーションを試みた。
◇「押し紙」率4割を想定
まず、シミュレーションの前提となる2つのデータにふれておく。まず第1は、読売・西部本社における「押し紙」部数のデータである。ABC部数を嵩上げする役割を担うこの「押し紙」がどの程度あるのかを事前に把握しておきたい。
次に示すのは、ここ半年ほどの間に明らかになった西部本社管内の「押し紙」の実態である。データの根拠については、マイニュースジャパンで何度か紹介しているので、今回は省略して、データだけを示す。
定数 実配部数 「押し紙」
※YC大牟田中央 :2519 1620 899
※YC大牟田明治 :2400 1480 920
※YC久留米文化センター前:2010 997 1013
ちなみに1998年5月頃には、福岡市のYC小笹で「押し紙」が確認されている。送り部数2330部のうち、ここでもやはり約1000部が「押し紙」であった。それを読売の幹部が知っていたことも、最近になって裁判の中で明らかになった。
これら4店における「押し紙」率は、4割から5割である。データとしては発掘されていないが、ほかにも同程度の「押し紙」を抱えた店があるという情報も得ている。このような事実を踏まえると、読売・西部本社の「押し紙」を4割と想定するのが妥当だ。
◇広告料金の設定原則
第2の前提として、ABC部数と広告料金の関係についてふれておく。
広告代理店の業界団体である日本広告業協会が昨年の12月に公表した『新聞広告料金表』によると、広告掲載の基本料金が最も高いのは、読売新聞である。続いて朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞の順。ABC部数が多いほど、広告料金も高くなる原理が観察できる。
ABC部数と料金の関係は次のとおりだ。対象は、1段1センチのスペースに対する全国版の基本料金で、広告の段数が一段未満のものである(ABC部数は2007年10度のものである)。
| 新聞社/部数・料金 | ABC部数 | 料金(1段1㎝あたり) |
| 読売 | 998万 | 16万3000円 |
| 朝日 | 810万 | 15万6000円 |
| 毎日 | 394万 | 10万8000円 |
| 日経 | 288万部 | 8万円 |
| 産経 | 220万部 | 5万5000円 |
だれがこれらの料金を設定したのか、日本広告業協会に問い合わせてみた。
「各新聞社がそれぞれ決めた料金です」
広告料金は、各新聞社が独自に設定しているのである。その際に「ものさし」として利用するのがABC部数だ。
というのも、たとえばABC部数で5位の産経新聞社が、他社よりも高い料金を徴収すれば、広告主にそっぽを向かれるからだ。
ある新聞関係者が、「押し紙」と紙面広告の関係について言う。
「ABC部数を基準にして、他社との比較の中で紙面広告の掲載料が設定されているために、ABC部数が減少すれば、新聞社の広告戦略に影響がでます。
だから新聞社は『押し紙』をしてでも、ABC部数を増やそうとするわけです。なにしろ広告収入は、新聞社の収入の大きなウエートを占めていますからね」
「押し紙」には少なくとも2つの役割がある。新聞社の販売収入を増やす役割と、すでに述べたようにABC部数を嵩上げして、紙面広告の媒体価値を高める役割である。前者についてはよく知られているが、後者については最近、ようやく大問題としてクローズアップされてきた。
「押し紙」は、まさに新聞社のビジネスモデルにおけるキーパーソンと言っても過言ではない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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『広告料金表』による単価。上が読売、下が毎日 |
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日本広告業協会(JAAA)が発行した『新聞広告料金表』の表紙。新聞各社の広告掲載料が示されている。ABC部数と広告料金の関係がよく分かる。 |
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2007年10月度のABC部数。九州を中心としたエリアでも全国紙ではトップが読売、以下、朝日、毎日、日経の順番になっている |
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