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02/20 2010
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 最近、KBS(慶應大学ビジネス・スクール)有志4名と意見交換した。

 私が毎年やってるキャリアセミナーでのFAQの1つが「留学やMBA取得を迷っているが今いくべきか」。帰る場所が保証されていないまま会社を飛び出し、在学中に転職先を決める必要がある人にとっては、特に考えるべきテーマだ。

 そもそも、そういった境遇の人がどれほどいるのか。2008年入学の同期は100人いて、うち97人は脱落せずに卒業するそうだ。

 内訳としては、学卒あがり(社会人経験なし)が10人、御曹司系(KBSは卒業生が社長になると実績になると考えているらしく、必ず社長になる二世を計画的に受け入れている)が20人、外国人留学生が15人(アジア系ばかり)、企業派遣および企業在籍中休職など(つまり、戻るところがある人たち)が30人強。

 学卒あがりの御曹司もいるから、残りはざっと30人となり、これが退路を断って、キャリアアップ/キャリアチェンジ目的で企業等に辞表出してまで国内留学した勇猛果敢な人たち、ということになる。日本における大企業の正社員既得権(大企業なら生涯賃金4~6億円)は国内でもっとも大きな利権の1つなので、特に大企業を辞めて来た人にとって、次のキャリア問題は深刻だ。

 2年で4百万円の学費を払い、本来なら2年で稼げたであろう1~2千万円の機会を損失しているのだ。この「退路を断った30人」は、3月の卒業を前に、どうなっているのか。

 「就職先は、選ばなければある。でも、目的を持って来ているから、どこでもいいという訳にはいかない。コンサル会社(ボスコン等)や外資金融(モルスタ等)、マーケティング職種(P&G等)など、これまで典型的な受け入れ先だった企業群に就職が決まっている人は、例年なら30人として、今年は現時点で5~6人ほどです」

 なにしろ、今は外資金融が業界全体で、完全に門戸を閉ざしてしまっているのだという。

 この30人がアンラッキーなのは、2008年春の入学だから、まだリーマンショック前。出願を決めた2007年は、まだ安倍内閣が終わった頃で、景気は悪くなかった。あの当時に、今の経済状況を予測するのは難しい。

 というわけで、計画が狂った人たちは、「次の次(2つ先)の転職を視野に、まずは第二希望群の中堅企業などに就職する人も目立つ」そうである。

 4年ほど前の好景気だった頃は、私の周りでも、電機メーカーの営業出身でKBSを挟んで外資証券にキャリアチェンジした人がいたし、AIUの営業から英国のカーディフMBAを挟んでデンソー経営企画にキャリアチェンジした友人もいる。

 日産自動車が2003~2004年の2年間に、MCS(ミッドキャリアスタッフ)採用と称して中途採用だけで約1,200人も採り、30代の前半・中盤世代を一気に埋めていた頃は、マイナーな中小企業→MBA→日産は1つの成功パターンといえた。

 上記はいずれも、MBAを挟まなければ不可能なキャリアチェンジであったケースが多い。メーカー営業→外資金融、金融営業→経営企画、マイナーすぎる中小→大企業は、採用する側にとって合理的でないから、もう一押しが欲しい。その土産がMBAで、「こいつは一通り経営を勉強してるはずだから潰しが利くんじゃないか、ポテンシャルがあるのでは」と思わせる機能がある。

 新卒一発勝負・再チャレンジ不可能社会の日本において、MBAに限らず国内外の留学が、数少ないキャリアチェンジの手段であることは確か。ここまで急激な採用減はそうそうないので、リーマンショックという事故に遭ってしまった、としかいいようがない。


 私は一貫して、「やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!」ことが幸せなキャリア人生なのだ、と主張している。

 大企業だから、人気企業だから、といって、自分の動機とかけ離れた、やりがいのない仕事を我慢してやって、滅私奉公していても、JALみたいに倒産して、3年間ボーナスゼロ、給与もカット、さらに3年後にはまた倒産かも、という状況になるかもしれない。

 三洋電機だって、10年前までは優良企業といわれていたが、経営破たんしてパナソニックに救済合併された。破たん前の数年間は、破れかぶれになった経営陣による悪質なリストラも横行した。企業に人格などないので、たまたまその時の経営者が終身雇用だなどとほざいていようが、すぐに豹変するものだ。

 90年代半ばまではエリート街道と呼ばれた都銀は、3割以上報酬水準を下げられ、10行が3行に統廃合される過程で、多くの「将来を約束されたはずの人たち」が、ポスト減や人事権争いで敗北し、閑職に追いやられ、出向・転籍となった。

 「希望がカネだけ」という仕事をやっていると、環境が変化してカネが貰えなくなったら、終わり。しかも変化のスピードはグローバル化、IT化のなかで、速まるばかり、かつ予想困難。だから、仕事自体が動機にマッチしていることが第1に決定的に重要であり、その仕事で十分に稼げるようになることが第2に重要、ということだ。

 大企業だとか人気企業だとかいう基準で仕事を選んでも、いいのは若いうちだけ。親ウケ、友達ウケがよくたって、仕事がつまらなければ苦痛のほうが上回る日が遠からずやってくる。40代以降の長い人生が消化試合になるわけだ。


 では、自分がやりたいことでキャリアを積むにはどうすべきか。以下が皆さんとの議論から得た私の答えである。

・新卒で入社した会社でやりたい仕事に就くのは、ほとんど無理。そもそも何をやりたいかなど、学卒時点では分からないことが多い。

・しかし、日本の大企業では、最初に配属された部署からの軌道修正がきかないケースが多く、たとえばメーカーで営業に配属になったら地方支社で最低5年以上、といった会社が一般的。マーケだの商品企画だのと希望を言っても、叶わないまま30代になり、会社の駒として人生を捧げるはめになる。(そして気が付いたらJAL状態…)

・確かに、日本企業でも「異動できなければ辞める」というカードは切れるが、それはダントツに優秀な成績をあげ、かつ転職活動で内定を得た一部のデキる人にしか切れないし、そもそも今の仕事が違うと思っているのだから良い成績を上げられるわけがない。

・となると、入った会社で「この仕事は絶対に自分のやりたいこととは違う!」と思ったら、入社1年目から仮面社員のまま新卒の就活に再チャレンジするか、3~4年目に在職しながら第2新卒採用にチャレンジするしかない。ただ、現在は不景気で第2新卒の窓口はあまり開いていない。

・そのタイミングを逃して30代に突入すると、もはや自分の職歴を活かした転職しかできなくなるから、道は狭まる。どんどん、過去に縛られていく。

・35歳ごろになると、もう新しい道はない。転職できなくなり、今ある道の延長線上を歩むしかなくなる。今ある道は違うと思いつつも、できることといえば、自己啓発本を読んで自分を洗脳し、「目の前の仕事にやりがいを見出す方法」を体得する“サラリーマン道”に精進するのみだ。

 結論としては、社会人3~4年目まで、20代後半までの「第2新卒のタイミングが、やりたい仕事に就く最後のタイミング」ということに落ち着いた。ここで転職活動をして、ダメなら国内外の留学を挟み、20代のうちに自分の動機にマッチした仕事でキャリアを積む。

 つまりMBAは、第2新卒の転職活動と同じタイミングで、動機にマッチした仕事を得るための手段の1つとして活用すべきものであって、それ以外の機能は乏しい。

 既に動機にマッチしたやりがいのある仕事に就いている20代のビジネスパーソンが、会社を辞めてまで行く価値があるかというと、私はないと思う。切迫した実務経験の中でのほうが血肉となるし、理論や知識、さらには志の高い仲間の獲得については、働きながら夜や土日にグロービスにでも通えば、十分、確保できるからだ。

 
15:19 02/20 2010 | 固定リンク | アクセス数(5642) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

コメント
TK  17:26 02/20 2010
会員(3年超)
>>仕事自体が動機にマッチしていることが第1に決定的に重要であり、
>>その仕事で十分に稼げるようになることが第2に重要、ということだ。

これ、すごく良く分かります。
自分の志向と仕事が一致していないと、
会社に行くことが苦痛で仕方なくなります。

日本の社会だと
20代までに、そういう仕事を見つけられるかが勝負ですね。
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AT  10:10 02/28 2010
> 30代に突入すると、もはや自分の職歴を活かした転職しかできなくなる<中略>
> 35歳ごろになると、もう新しい道はない。転職できなくなり<中略>

的確な指摘。
会社や仕事へ不満を漏らすサラリーマンには良く出会う。彼ら・彼女らは転職を切り札としているようだが、30を過ぎての転職は悲惨な結果に終わりかねない。
転職前には、最低1~2年はその準備として必要。資格の取得などでもなければ、未経験職の採用を得ることは極めて困難であるため。
これらを勘案すると、最低でも27or28頃には転職先のターゲットを定めて活動を開始する必要がある。学部卒なら5年目程度。
自分は何をやりたいのか、それを新しい会社でどう実現するのかの明確なプランなしに、今勤めている会社への不満がきっかけとなった転職は悲惨。
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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