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新聞販売店主が「泥船」脱出→ポスティング業で年商2億に

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ポスティング・ビジネスを展開する井前隆志社長。ASAの店主時代に、担当員に空領収書の発行を強要され、新聞業界に見切りをつけた体験をもつ。
 偽装部数の買い取りと表裏関係にある補助金の受け取りを断った結果、自身が経営する新聞販売店をつぶされた埼玉県の元『ASA』店主が、チラシ全戸配布の会社を立ち上げ、順調に業績を伸ばしている。チラシを折り込む機械の販売を断られるなどの妨害工作、同業他社からの配布請負、クライアントが多い地域への移転などを経て、年商は2009年度には2億円に達する見込み。起業から3年、井前隆志氏(46歳)に成功の軌跡を聞いた。
◇チラシ詐偽を逆手に取る

緑茶の産地として名高い埼玉県狭山市は、東京のベットタウンでもある。人口16万。光と緑のイメージが広がる町である。

その狭山市の住宅街にあるのが「地域広告舎」。チラシのポスティングを専門とした会社で、年商は今年度2億円に達する見込み。大半の企業がダウンサイジングを余儀なくされている中で、この会社は若干売上げを伸ばしている。

ポスティングとは、チラシの全戸配布のことである。新聞の折込チラシが新聞購読世帯だけに届くのに対して、ポスティング業者が扱うチラシは全戸に無料で配布される。

社長の井前隆志氏は、新聞業界からの転職者である。

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捨てられている不動産会社の折込チラシ。ひもも解かれていない。

「会社を立ち上げる前、わたしは約25年にわたって新聞販売の仕事に携わってきました。そのころからチラシが広告主に秘密で捨てられていることを疑問に思っていました。わたしが所属していた朝日はそれほど破棄するチラシの量は多くはありませんでしたが、他系統では搬入されたチラシの半分を捨てている店もありました。ポスティングの会社を立ち上げたのは、宅配のノウハウを持っていたことに加えて、騙されている広告主を自分のクライアントにできると考えたからです」

「押し紙」とは、新聞社が販売店に対してノルマとして買い取りを強制する新聞だ。いわゆる偽装部数である。販売店によっては偽装部数が搬入部数の5割を超える。

折込チラシの数量は原則として、偽装部数を含む新聞の総部数に準じているので、偽装部数があれば、それに相応した折込チラシも過剰になる。

井前氏は折込チラシがクライアントの視線が届かないところで、破棄される様を新聞業界で見つめてきた。販売店にも罪の意識があるので、余ったチラシを古紙回収業者に渡すに際して、新聞で包装して中味を隠すことが多いという。

しかし、チラシ水増しの根本的な責任は販売店にあるわけではない。販売店には取り扱うチラシの数量を決める権限がないからだ。この権限を握っているのは、新聞社の関連会社である折込チラシ代理店である。

結果としてチラシの水増し収入は、代理店だけではなくて、販売店にも入ってくるが、偽装部数で損害が生じているので、プラス・マイナスを差し引きすると、損害を相殺できないことが多い。

被害にあっている広告主をクライアントにして公正なビジネスを展開したい。クライアントの側もそれを強く望んでいる。そんな思いを秘めて井前氏は、2006年の秋に、地域広告舎を立ち上げたのである。

◇消えぬ新聞社への怨恨

初めてわたしが井前氏にあったのは、2006年の11月だった。廃業に追い込まれた店主さんが、店を閉じた後、どのような道をたどるのかというテーマには、かねてから関心を寄せてきた

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チラシを投函する戸建数を、区域ごとに集計した表。この表をもとに、各区域の配布枚数が決まる。

自社でポスティング要員を確保する不動産会社もある。

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田代裕治2009/09/23 21:04
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折り込みの機械2009/05/16 07:23
水増しの責任2009/05/16 07:21
元販売店主2009/05/16 06:36
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