My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

JCB 残業「間引き」で残業代を利益に変換

情報提供
ReportsIMG_J20100419035941.jpg
Baa優良企業予備軍
   【女性重視型】
(仕事4.0、生活3.7、対価3.6)

 労働基準監督署からの改善命令を契機に、4年ほど前に今の残業管理制度に変わったクレジットカード最大手のJCB。労務管理の情報システムを導入し、出社時間と退社時間を正確に管理するようになった。さらに労組と経営側とで結ぶ「36協定」上では、月45時間以内×6ヶ月+80時間以内×6ヶ月。併せて年750時間を最大値に設定。つまり仕組み上は、月あたりの上限残業時間は「過労死認定ライン」とされている80時間を越えられないはずだった。ところが、抜け道はしっかり用意されていた。
Digest
  • 「毎日4時間ずつ」のサービス残業
  • D職女性にとっては「滅茶苦茶いい会社」
  • 「年収3分の1法」で最大50億円マイナス
  • 30歳700万円弱
  • 同じ業務でもA職の3倍貰う中高年
  • 主力は手数料収入とフランチャイズ収入
  • 仕事の成果が目に見えやすい
  • クレジットが5割超えた韓国、政治が逆風の日本
  • 1~3年目は特に辞めない


「毎日4時間ずつ」のサービス残業

「食事のため」「休憩のため」などの理由をつけ「除外申請」を出すことによって、1日4時間ずつ残業時間を間引きできてしまうのだ。月の就労日数は20日前後なので、これで約80時間分を減らすことができる。

「それまでは、月100時間を越えてつけていた人が多かったのですが、つけられなくすることで、会社は30~50億円の利益を捻出した、と社内では言われています」(社員)

ReportsIMG_I20100430033147.jpg
勤怠システム上はきっちり4時間ずつ「中抜け」するのが半ばルール化している。日曜日の出勤も常態化。(注:特定を避けるため行を同じ週内で入れ替えた)

同社の勤務時間は9:00~17:15が定時。ただ、部署によっては毎日9時出社で、連日深夜2時、3時までの残業が求められる。1週間や2週間の話ではなく、それが何ヶ月も恒常的に続く。

左記は、ある社員のある月の勤怠管理システムのデータである。連日、午前9時から深夜2時、3時、4時までの残業が恒常的に続いており、実際の残業時間は単純計算で月160時間ほどになる。これで亡くなると、裁判所は間違いなく過労死認定するレベルである。


ある部署の最終退館時刻。連日3時4時5時まで。土日祝日も半分は出勤。(※一部の行を入れ替えている)

だが、この月の情報システム上の残業時間は、休日出勤分を入れても計90時間余りに収まっている。「中抜け」時間が、連日きっちり4時間ずつ設定され、70時間以上が抜かれているためだ。

もちろん実際は食事や休憩に4時間もかけることはありえない。仕事が終わらないからこそ、深夜3時までオフィスに残っているのだ。

このように健康を害するような長時間労働を行わせる行為は、もちろん労基法違反である。ただ、それでも4年前までのように、働いた分だけ残業代が支払われるのならば、まだ納得する理由もあるが、賃金も払われないサービス残業の強制となると、二重に違法である。

「うつで休職中の人がいます。もう1人、脳に血栓が出て、すぐ異動になりました。このままでは社員が潰され続け、ワークライフバランスも保てません。残業代も、36協定の範囲に近づけるべく、実際の半分~3分の1しかつけられないのが実態」(社員)

内部通報制度に基づく相談も効果なく、労働基準監督署に相談しても動かないのだという。つまり、会社・行政ぐるみ、ということだ。これで過労死が発生したら、会社側と行政の責任は重大で、まったく弁解の余地がない。

「ひどい社員になると、年間1千時間近いサービス残業が発生していますが、それを指示・強要していた人物が人事部長に栄転している。サービス残業を指示・強要した側の人間のみがメリットを享受し、社員はメリットを全く享受できない現状は放置すべきではない。このままでは、過労死を含めた犠牲者が出る可能性が高い」(社員)

このような実態があってもなお、厚労省は次世代育成支援対策推進法に基づき、JCBに「くるみんマーク」を付与している。それを根拠に、JCBも採用ページで「ワークライフバランスを推進する環境の構築」とPR(下記参照)。

だが実際には、次世代どころか現役社員の健康すら危うい。休日出勤の代休すら消化できない部署もある。

たしかに、部署によって忙しさは大きく異なり、すべてが過酷な労働環境というわけではない。本社の管理部門に比べると、カード事業を展開する業務や情報システムなどの現場部門では、間引きが10時間ほどで残業45~80時間というから、国内企業としては「普通」の範疇に入る。

現場部門では、有休についても夏休みなど長期の一斉消化を促進しており、年10日くらいはとれるという。

D職女性にとっては「滅茶苦茶いい会社」

「くるみん」はともかく、JCBは女性にとって働きやすい会社なのか。まずは、同社はコース別で採用している。「A職」と「D職」の2つがある。A職は、1年単位で契約を更新する非正規社員で、女性が9割がたを占める(つまり男性も約1割いる)。D職のほうが、総合職の正社員だ。つまり、一般職の正社員は採用していない。

2010年4月入社では、

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り5,819字/全文7,653字

中堅社員(M職)の給与

JCBのキャリアパスと報酬水準

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

プロフィール画像
jiangmin-alt2010/05/03 07:25

"内部通報制度に基づく相談も効果なく、労働基準監督署に相談しても動かないのだという。つまり、会社・行政ぐるみ、ということだ"

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

JCB罰金50万円有2016/11/01 21:01会員
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約7,800字のうち約5,900字が
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい

企画「ココで働け!」トップ頁へ
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい
サンプル記事をご覧になりたい方は、こちらへ
■企画趣旨に賛同いただき、インタビュイーを紹介または取材を受けていただける方には、会員ID(1年分)および薄謝進呈いたします。
ご連絡先E-mail:info@mynewsjapan.com