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ポスト戦後のキャリア論-14 識者と国の役割

情報提供

本書では、ポスト戦後のキャリアモデルとして「動機・能力モデル」を提唱してきた。それは一言でいえば、「動機の顕在化と能力開発の2つに注目し、30代半ばまでに両者の交差点で仕事を得る」というものだ。本章では、既存のキャリア論と何が違うのか、そして、政府は国民の仕事人生に対して何をすべきなのか、を述べる。

Digest
  • 「いかだ下り・山登り論」
  • 「ドリフト論」
  • 「ステージ論」
  • 戦後から変わらぬ雇用政策を転換せよ
  • 連合利権を切れるか
  • 「能力」「動機」両面からのキャリア政策を

『35歳までに読むキャリアの教科書』目次一覧へ

「いかだ下り・山登り論」

リクルートワークス研究所の所長、大久保幸夫氏が述べているのが、いかだ下り-山登り論である。まず、入社してから10年~15年は、いかだで川を下っていくように、流される。「自分がいったいどこに向かっているのかもよくわからない」が、急流や岩場を乗り越えていくなかで力をつける。そのなかで基礎力が磨かれる。

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その段階を過ぎると、山選びにはいる。「次に、山登り型でその選択した専門分野でプロとしての力量と実績を積み重ねてゆき、その道のトッププロとして地位を築いてゆく段階」(『キャリアデザイン入門Ⅰ』日経文庫)である。この、段階が変化する「いかだ下り」の卒業期は、30代半ばだとしており、この移行をスムーズに行うことがキャリアを成功に導くという。

これは戦後の考え方で、「ポスト戦後」の現在では通用しない。いまや、35才までいかだ下りをして、どこに向かっているのかも分からずに流されていたら完全に手遅れで、取り返しがつかなくなる。

解雇規制が厳しく労働市場がロックインされてしまう日本においては、勝負はポテンシャルの高い20代の間にかけないと、間に合わない。35才には、ほぼキャリアとして完成していなければならない。

「ドリフト論」

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節目をデザインすれば、あとは流されても(ドリフトさせても)OK、というのが神戸大学教授、金井壽宏氏の主張である。「節目さえしっかりデザインすれば、あとは流されるのも、可能性の幅をかえって広げてくれるので、OKだろう」(『働くひとのためのキャリア・デザイン』PHP新書)

それには全く同意できるのだが、我々が知りたいのは、具体的に、節目はいつやってきて、何を、どう、いつまでに、どういう基準でデザインすべきなのか、である。

たとえば鈍感な人が、40才のミドルになったときに「今が節目だ」と感じたとしよう。もう手遅れである

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2010.67-613「BloombergBusinessweek」

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2011/04/03 16:17会員
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