各種報道によれば、3月25日に閣議決定する追加答申案に、車検の延長が盛り込まれないことが決まった。自動車整備業界やメーカーなどの抵抗が強かったと見られる。テレビは24日現在、ほとんどニュースとして報道していない。
自動車の検査制度をとるフランス、スイス、ベルギー、イタリアは、自家用乗用車の初回車検が4年間有効(
春秋より)。政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は、「安全技術の進歩を考えれば延長が可能だ」として、自家用乗用車の初回車検期間を3年から4年に延長するよう国土交通省に再検討を求めてきた。
しかし(管轄の業界団体へ天下りたい意向を持つ)国交省は、交通事故件数が増加傾向であることのほか、「車検時費用の大半は税と保険料。一度に払う負担は増す」(自動車交通局)などと反論。払う金額は同じだが、期間が延びると一度に払う金額が増えるからよくない、という意味不明の理論を展開した。
(自動車業界からの献金と票が欲しい)政府も了承。産経新聞によれば、北側一雄国交相は「自動車の性能がもっと良くなり、交通事故件数が減って不具合件数も少ない事態になれば、また検討すればいい」と述べている。
車検延長は昨年末の第一次答申で再検討項目に挙げられたが先送りされ、今月25日に閣議決定予定の規制改革・民間開放の推進に関する追加答申案には盛り込まれなかった。
国産車の飛躍的な品質と性能向上にもかかわらず、車検は、制度発足から51年が経過した今も、初回車検の2年から3年への延長(昭和58年)、車齢10年超車検が1年ごとから2年ごとに緩和(平成7年)されただけ、となっている。業界の意向が重視され、消費者の立場からの利便性向上が遅れている。
<以下、「
大前研一ニュースの視点」より
>
(国土交通省は)なぜ、このように妙な発言をしてまで「見送り」にしたのか。それはひとえに、メーカーの存在があるように思います。現在、初回車検は3年後で、以降は2年ごとの車検となります。
ゆえに「2回目の車検」が来る前に買い替えを考えるユーザーが比較的多い。つまり3年プラス2年の「5年」というサイクルです。これが初回車検4年となれば、買い替えサイクルは少し延びて6年となり、必然的にメーカーにとっては好ましくない状況となります。
もちろんディーラー含め自動車修理業界にとっては車検が減ること事態が直接的な打撃となるので、公に反対を表明している団体も多くあります。その反面、常日頃から品質の良さをアピールしている自動車メーカーは、本件に対しては「貝」になっている状況です。
「ウチのクルマは1年車検が延びただけでガタが生じるので、車検を4年にしないでください」とはどのメーカーも言えませんよね。
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