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明治大学ラグビー部で細谷ヘッドコーチが女性にパワハラ 「女にウェイトトレーニングの指導はできない!」 裁判所も違法認定

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明治大学ラグビー部のヘッドコーチとして女性コーチにパワハラを繰り返した細谷直氏。東京地裁が違法性を認定。現在二審で係争中(写真は明治大HPより)
 明治大ラグビー部は09年度から、基礎体力強化のコーチ業務を、都内のS社(仮名)に依頼し、順調に効果が出ていた。ところが10年4月、吉田義人監督の大学時代の先輩に当たる細谷直氏がヘッドコーチ兼ディレクターに就任してから、状況が一変。細谷氏が、コーチとしてS社が送り込んだ早川桜氏(仮名)を目のかたきにし、「女にはウェイトトレーニングの指導はできない!!」「女はロッカールームに入れるな!!!」と怒鳴り散らし、明治大から放逐させたのだ。早川氏はショックからPTSDに罹患。S社も明治大と契約解除した。12年1月、早川氏は、S社社長や法人としてのS社とともに、明治大学・吉田監督・細谷氏を相手どり、パワハラの損害賠償等1300万円を求め東京地裁に提訴した。13年4月の地裁判決では、早川氏に対する違法なパワハラと慰謝料30万円が認定された。だが当の細谷氏は、未だ「チームアドバイザー」の肩書でラグビー部に残り、今月14日には同大学で学生向け特別授業まで実施。なぜ明治大はパワハラを容認するのか?事件の全貌をお伝えする。
Digest
  • 監督の先輩がヘッドコーチに就任してから環境一変
  • 「女にはウェイトトレーニングの指導はできない!!」
  • 「なにロッカールームで笑ってるんだ、こらぁ!!」
  • 一審判決で明大のパワハラ認定
  • 「コメントは差し控える」明治大学

監督の先輩がヘッドコーチに就任してから環境一変

判決文や訴状、準備書面、証人尋問、証拠資料などによると、事件の発端は09年2月にさかのぼる。当時、明治大学ラグビー部は低迷。そこで、それまでのOB会推薦によってラグビー部監督を決める慣例を一変させて、学校法人明治大学自らが、監督の人選に乗り出したのである。

その結果、吉田義人氏に白羽の矢を立てた。吉田氏は、大学1年時からレギュラーとして活躍、4年時には主将として全国大学選手権優勝を成し遂げ、元ラグビー日本代表で活躍した経歴を持っていた。

こうして新体制となり、吉田監督は「コーチに就任してほしい」とある会社に依頼した。その会社は、スポーツ選手のストレングス・コンディショニングコーチ、トレーニング指導・コンサルタント、フィットネス・インストラクターの養成・派遣などを行う、都内のS社(仮名)という企業だった。

S社のモットーは、スローな動作により筋肉を意識して動かすことでトレーニング効果を高める「スロートレーニング」。これまで野球の野茂英雄をはじめ、プロゴルフ、プロテニス、ラグビー、アメフトなどの選手たちを育成してきた実績を持っている。

吉田監督は、S社に対し、数年後のラグビー部の成績向上を見据えた、選手の基礎体力強化を依頼した。S社側は同意し、09年4月1日、明大と契約を締結。契約内容は、「ラグビー選手のトレーニングを目的とした、ストレングス&コンディショントレーニング指導業務」で、契約期間は1年間。期間満了1か月前までに解約の申し出がない限り、1年間自動延長。契約料は、1年間あたり1900万円だった。

S社は、明大ラグビー部の現地には、社長の森口和人(仮名)氏や、スタッフの早川桜(仮名)氏、取締役の兼平正明(仮名)氏などが赴き、トレーニングを実施。こうして任務を遂行し、1年後の10年3月には、吉田監督から「S社のトレーニング指導の効果が着実に現われている」と評価され、S社は契約を更新した。

順調にみえたS社と明大ラグビー部――。しかし、その直後に、状況が一変する事態が起きた。10年4月から、吉田監督の招へいにより、細谷直(ほそやただし)氏が、明大ラグビー部nヘッドコーチ兼ディレクターに就任したためだった。

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上は09年2月19日の吉田義人監督の就任会見(在任期間13年3月まで。その後退任)。下は10年4月3日の細谷直ヘッドコーチの就任会見(在任期間13年4月まで。その後、チームアドバイザーに就任、写真は明大HPより。以下の写真も同HPより)

細谷氏は、明大ラグビー部時代の、吉田氏の先輩にあたる人物だった。

細谷氏について、S社の面々は、こう述べている。「就任当初から、事実上の吉田監督をしのぐ権力を持ち、あたかも自身がラグビー部の人事権を握っているかのような態度」だったという。

10年3月末頃には、こんなことがあった。S社社長の森口氏は、吉田監督に対し、コーチ陣の体制変更を提案した。すると、吉田監督は賛成し、次年度はそれでいく、と言っていた。しかし、なかなか実行しないので、森口氏が「合意事項を実現してほしい」という趣旨のメールを送り、後日、吉田監督の部屋で話し合うことになった。

ところが当日、森口氏が監督部屋に入ると、細谷氏が同席していた。そして細谷氏は、いきなり、「こんなのクーデターだぞ!」「組織において、俺の言うことが聞けないのか!!」と叱責した。そのとき吉田監督は、ただ黙って見ているだけだった。

そこから、細谷氏のパワハラが始まった。

「女にはウェイトトレーニングの指導はできない!!」

まず、2010年4月11日(日)、「オール慶明戦」が都内の青山にある秩父宮ラグビー場で行われた。この試合は公式戦ではなく、両大のOB・現役を混ぜたチームによるエキシビションマッチだった。

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2010年4月11日に行われたオール慶明戦。この試合で細谷氏は「あいつは女だからAチームのウォームアップで雰囲気を高めていくことはできない」と発言

その試合の前日、S社の早川桜氏が、選手たちに試合前のランメニューをこなさせていた。すると、それをみた細谷氏が、「選手たちの走る距離が短過ぎる!」と批判。

さらに試合当日、選手たちのウォームアップ時に、細谷氏は「早川のウォームアップは全くダメだ。あいつは女だからAチーム(ラグビー部の中で選手のレベルが最も高いチーム)のウォームアップで、雰囲気を高めていくことはできない

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2010年5月16日の大東文化大との一戦。この試合で細谷氏は、女性コーチのグラウンドへの出入り禁止を命令

2010年4月18日のオール早明戦。試合前、細谷氏は突然コーチを呼び出し「なにロッカールームで笑ってるんだ、こらぁ!!」と激高

上は、一審判決後も細谷氏はチームアドバイザーとしてラグビー部にいることを示す人事発表。下は奇しくも13年11月14日には明大リバティタワーで、一般学生向けに「輝く個人と燃える集団」をテーマに行った特別授業の風景

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higai2013/11/18 17:47

佐々木奎一 さん、S社の名前もないし、一方の言い分だけですね。女性が告訴したら被告にいくらか責任があるとみられます、個人攻撃ですね。 判決内容もわからない。30万では弁護士費用にもならない。

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