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インテリジェンス、サイバー藤田を生んだ「全然インテリじゃない」ドМ営業――アリのように、奴隷のように…

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「人がいい」ので辞めないのだと思う、と話す元営業社員。けっして恵まれていない労働環境でも社員が辞めない秘密は「採用」にあるようだ。
 新経連の三木谷氏が、自分の成功経験をベースにベンチャー企業の社員は残業代ゼロを可能にせよと提言するなど、夢があるなら長時間・低賃金労働はOK、との意見を述べる経営者が後を絶たない。つまり、“将来の成長企業や起業家はブラック企業から生まれるのだから、特別に容認すべき”というわけだ。その典型例を、サイバーエージェントの創業者2人を輩出した新興企業にみることができる。未来の起業家を輩出したインテリジェンスという会社は、どのようなカルチャーを持つのか。「ガッツと熱意で、アリのように、奴隷のように働きたい人が多い、ドМ集団でした」と語る元社員(過去2年以内に病に倒れ退職)に、その働く環境の実情について率直に語って貰った。
Digest
  • 20代中心、中途は過酷な営業経験者が多い
  • 「熱意」と「長時間労働」が強み
  • 毎日21時から「夕会」で詰め合っていた
  • 「誰もやれなんて言ってないよね」暗黙の了解でサビ残
  • クリエイターの仕事も、営業がかなりやる
  • 月ノルマが400~700万円/1人
  • 「ブラック求人」は淡々と条件面を出す
  • 「半額でいいから百万売ってきて」
  • ドMが多い
  • 同期は、1か月で2割、3年で7割辞めた
  • 安い給料、ショボいインセンティブ
  • EМで1千万円
  • 『LINEバイト』は協業相手

サイバーエージェントの藤田晋社長は、学生バイト時代に2年間お世話になったオックスプランニングセンターという広告代理店を裏切り、そのライバルにあたるインテリジェンスに、23歳で新卒入社した。1997年4月、その同期44人のなかには、のちにサイバーをともに起業することになる日高裕介もいた。

配属先は、採用コンサルティング部門で、「企業の人事部に営業に行って、中途や新卒を採用する上での採用広告やダイレクトメールを受注してくる仕事」だった。

 「ハードで働くインテリジェンスでは、仕事が深夜にまで及ぶことは日常的でした」「夜遅くまで働くのが美学。そんなムードもあって、終電間際でも社内にはびっしりと人がいました。でも、そんな状況も最初から猛烈に働きたかった私にとっては好都合です」「朝早い時間も土日の時間も、仕事が無ければ自分で探してでもやっていました」
(藤田晋著『渋谷で働く社長の告白』より)

 そんな、サイバー誕生の序章となった激務な労働環境は、十数年を経ても、変わっていなかった。「1つの広告原稿作るために1千点以上の写真を撮りに行った」という伝説が美談とされるカルチャー。夜12時に会社を出ると、フロアにまだ半分以上の社員が残っており、ある年は入社1か月で2割が辞めたという。

20代中心、中途は過酷な営業経験者が多い

私が新卒でインテリジェンスに入社したのはリーマンショック後の雇用調整(採用ゼロの年もあった)が落ち着いた2010年以降で、その後は、年150人規模の新卒採用をしていると思います。男女比はおよそ半々。学歴は大卒以上ですが、特に大学名に傾向はなくバラバラで、同じ大学の人は1大学につき多くて2~3人でした。

新卒は、いわゆるポテンシャル採用で、かなりしっかり明確な基準で選んでいました。私は一次の面接官もやりましたが、人事部から面接官向けのオリエンテーションで「1~2割は尖った人を採る」と言われていました。それ以外でも、変わった人、尖った人を好んで採る会社です。

将来の「夢」を持っている人が多く、私が聞いた話では、将来はダンサーを目指していると明言して入社した人もいたし、「3年後に辞めます」と明言して入社した人もいたそうです。私が採用に関わったときは、「この地域でanを盛り上げたい」「一番手ではなく2番手に入ったほうが営業力が磨かれる」といった志望動機を語る人が多かったと記憶しています。

採用数は、むしろ中途採用者のほうが多いくらいで、契約社員として採用して正社員に登用されるパターンも多く、入れ替わりが激しい組織でした。年齢は20代中心、25歳前後が一番多かったです。

駅構内の『an』ラック

中途だと学歴は関係なく、バイトあがりもいて、高卒も可。前職は、楽器や住宅の営業、医療機器のМRなど、過酷な営業を経験してきた人が多い印象でした。

学生援護会時代(インテが2006年に買収)からの人だと、「野球好き?」「はい」で入ってきたような人とかもいます。

「熱意」と「長時間労働」が強み

インテの主力事業は、「人材派遣」「人材紹介」「求人広告メディア」の3本柱です。

私は求人広告メディアに配属され、『an』と『デューダ』に載せる求人広告の営業を担当することになりました。

最大の競合は、リクルート(『タウンワーク』)です。

顧客調査を通してわかったリクルートとの明確な違いは、「商品力」と「営業力」。リクルートは、絶対的な商品力があり、営業のほうは殿様営業なんです。逆にうちは、商品力が残念なんだけど、営業の熱意だけはある。夜中までの長時間労働を厭わない。(※このあたり、IT業界における富士通対IBMに似ている)

4月に入社すると、目標は「今月は10万ね」から始まって、6月には1人立ちして、月30万円といった目標を追いかけるようになり、どんどん目標数字が上がっていきました。数字は、毎日出ます。毎日見て、グループごとにやる「朝会」で、数字が悪い人が暗い顔をしていて、ダメな人が、マネージャーから詰められます。媒体が週刊だから、週単位で追われます。

毎日21時から「夕会」で詰め合っていた

グループごとにやり方が違うのですが、私のグループでは、毎日、夜の9時から「夕会」がありました。数字が行かない人に対して、なぜできないのか、を30分~1時間にわたって詰め合う会で、精神的苦痛

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「1時間以上詰められ、泣いて帰ってくるマネージャーも」

G1b→G1a→G2→G3とグレードが上がる。その「求められる行動」と「求められる要素」を細かく定義した要件。

入社数年目の給与明細。この月は残業代もインセンティブも多いほう。

かなりショボいインセンティブ支給テーブル。達成率上位3位の商品(旅行、ディナー、ランチ)も安い。

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a201305172015/04/22 00:08

いい加減サビ残はやる方にも罰則つけろって。まともに残業代をもらって働いている労働者にたいするダンピング行為なので、絶対にゆるしてはならない。

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読者コメント

  2015/04/21 00:11
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