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タイで働く(6) 通訳、イベント、番組コーディネーター…タイ語習得でマルチに稼ぐ日本人「実は日本よりタイ企業のほうが給料高いです」

情報提供
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息子さんと一緒の丸山さん。「日本で働くよりも、色々な面で良い生活だと感じています。特に、子育てに関しては、ベビーシッターさんも利用しやすく、仕事との両立がしやすいです」
 タイで働く日本人は、大手企業の駐在員だけではない。飲食はじめ中小企業の進出に伴い、日本人ワーカーが増加。筆者が、バンコクで日本人が経営するBARで行われた音楽イベントを訪れたところ、20代半ば~30代で、バンコクで働いている日本の若い人たちが数多く遊びに来ていた。タイで働く日本人カップルも増え、結婚してタイで出産、子育てをするケースも多いという。13年前にタイにやって来てタイ語を習得、成り行きで通訳やコーディネーターの仕事を始め、そのままタイで結婚し子育てしている丸山由佳さん(31歳)に、現地の保育や教育、仕事との両立、報酬水準などについて聞いた。「タイと日本を結ぶ仕事」を生業とする丸山さんだが、最近はタイ人富裕層の増加や日本インバウンド需要の高まりを背景に、訪日観光客が増加。タイ人を日本に案内する仕事(顧客はタイ企業)、タイ人観光客を日本に誘致する仕事(顧客は日本の自治体)も増え、総じてタイ企業のほうが給料がよい(単価が高い)という。
Digest
  • 3ヶ月の滞在予定が12年に
  • 言葉が話せるようになると、出来る事もたくさんある
  • バンコクで出会った日本人と結婚してバンコクで出産
  • 小学校からどうするか――日本人学校は超満員
  • 駐在以外で、タイで働く若い日本人が増えている
  • 時間を守らない、約束できないタイ人
  • 日本に帰る理由がない
  • 多い月は50万稼ぐ
  • 実は、タイの会社のほうが給料が高い
  • フリーの仕事は1度ミスしたら次は回って来ない

3ヶ月の滞在予定が12年に

1984年生まれの丸山由佳さんは愛知県出身。小学校3年から中学校2年生の後半までを熊本で過ごし、そのあと、愛知県に戻った。そんな丸山さんがスキューバー・ダイビングのライセンス取得の為に、初めてタイを訪れたのが2003年。高校を卒業して1年後だった。

当初3ヶ月の滞在予定だったが、アジア雑貨をWEBサイトで日本に売っている日本人男性に出会って、予定が変わった。

「僕は、商品として女の子が何を買いたいのか分からないので、お金を渡すから買い付けをして欲しい」と商品の調達を頼まれ、時給300円でアルバイトをすることになった。当時19歳で、軽いノリで引き受けたら、丸山さんが購入した商品がよく売れたという。(以下、丸山さん)


来た当初は、タイ語なんて何も知らなかったのですが、買い付け業務をやっていると、タイ人と触れ合う機会が増えて、タイ語を使わなきゃいけない場面が増えてきたんです。

数字から色や物の名前と、タイ語を独学で勉強しました。最初1ヶ月だけタイ語の語学学校に通って、その後、文字を学びに1ヶ月。合計2ヶ月かな、当初、学校に通ったのは。

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タイ人と一緒に過ごし、遊びや仕事のコミュニケーションの中でタイ語を学んでいた当時の写真

はじめの頃はタイ人とばかり遊んでいたので、遊びや仕事のコミュニケーションの中で、タイ語を学んでいました。ある日、ボランティアで日本語を教えることになって、タイ人の子供に日本語を教えることになったんです。その時に、自分でテキストに沿って勉強したり、子供に発音を馬鹿にされながら覚えていきました。教えながら、こうやって言うんだ、こういう言い回しをするんだと、自分のほうもタイ語を学びました。

3年いると、タイ語もだいぶ出来るようになってきて、22歳の時から、日本語とタイ語のラジオ番組で、ラジオパーソナリティをすることになったんです。

タイ人パーソナリティーと2人で、日本語とタイ語のニュースを交互に訳して流したりして、番組の制作にも関わりました。タイ人のスタッフばかりだったので、原稿も書くようになって。そうなると、タイ語の読み書きもできた方が良いと思って、文字を勉強しに、さらに1カ月間、学校に通いました。

言葉が話せるようになると、出来る事もたくさんある

言葉が話せるようになると、出来る事がたくさんあるんです。メディア系の繋がりが多かった為か、CМ撮影の現場通訳の仕事が入り始めました。そうやって、24歳の頃(2008年前後)には、フリーで日本の旅番組やバラエティー番組のコーディネーターみたいなことをやっていました。

大変でしたけど、楽しかったです。例えば、ランパーンという場所で番組が撮影されるとなると、その場所の歴史や見所を調べて、撮影許可を申請しなければなりません。色々とタイ語を駆使してやらなければならない事があるんです。

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日本のTV番組のコーディネート業務でアユタヤへ行った際の写真

2013年のデモの時や、2012年の洪水の時などは、報道番組の通訳として新聞社に付いて行ったりもしました。

その経験もあって、最近は報道関係の仕事がおもしろい、と思っています。2004年の津波の取材や、タイで日本人が殺された事件などの取材通訳もしましたし、他にもイベント通訳や、セミナーのコーディネーター、通訳全般で、リサーチ会社の通訳などもしています。毎回、新鮮で面白いですよ。

言葉は、すごく重要です。たまに経済や王室ネタなどで、新しいタイの言葉が出てきて、わからない!どうしよう?っていう時もあります。だから、いつも緊張感あります。

今でもタイ語は完璧ではないけれど、今知っている言葉で遠回りして、何とか意味を伝えるようにしています。固有名詞は分からなくても、説明すれば伝わりますので。でも、日々ボキャブラリーを増やすように心掛けています。奥が深いから終わらないし、なかなか完璧にはなれないですけどね。

あと、入ってくる情報が2倍になるんです。タイ人が言っている事と、日本人の言っている事の、両方の情報が入ってくる。そしてまた、その見方や感じ方が違うので、面白いです。そして、タイ語を喋れるようになったからこそ、分かる事がたくさんあります。冗談もタイ語でわかるようになると、タイ人のキャラクターも分かって楽しいです。

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タイで日本の都道府県の名産品を紹介したり、日本に観光誘致するイベントが増えると、通訳業務も増える

タイで働くためには、労働ビザが必要です。最初は、買い付けの会社が1年間のビザを取ってくれました。その次は

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日本の会社から受けた、タイでのコーディネート費用の明細。1タイバーツ=3.1円。

日系タイ企業から受けた仕事。日本の和食をテーマにした特番の、タイでのロケをコーディネート。その4日間の、支払い明細書。タイバーツ払い。

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  2016/04/06 23:23
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