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アラフォー地方公務員が語る 市役所に向いてる人、向いてない人

「やりたいことがない人、行政に情熱を持っていない人に向いています」

情報提供
ランキング1位は8年連続地方公務員
8年連続で地方公務員が1位=就職したい企業・業種ランキング(2023年4月、リスクモンスター調べ)。本来レベルの異なる「職種」と「個別企業」を同列に比べるとこうなるのは当然ではある。

日本の公務員全体の約8割を占めるのが、地方公務員だ。2022年度の地方公務員採用試験の倍率は5.2倍(前年度比0.6ポイント減)となり、過去30年間で最低を更新。就職氷河期世代が新卒だった1999年度は14.9倍だったため、20年余りで競争率が約3分の1というイージーモードに突入した。つまり、過去最高に受かりやすくなっている、のだ。一方で、地元志向の高まりや将来不安から、地方公務員は依然として人気が高く、「就職したい企業・業種ランキング」では、8年連続で不動の1位(リスクモンスター調べ=右記参照)。この仕事に向いている人にとっては、狙い目といえる。

Digest
  • 部署によってぜんぜん違う残業時間
  • ケースワーカーは希望すればすぐなれる
  • 「18時30分より前に帰るなら残業つけるな」
  • やる気がないデジタル化、上司「紙でくれ」
  • コロナ予約代行で窓口が密に
  • 「入札の予定価格を教えてくれ」
  • マニュアルが実態に合っていない
  • 人が暴れるとブザーで音楽が流れる
  • 転勤なし、公民館や図書館勤務も
  • 仕事してもしなくても同じ給料
  • 地方公務員年収の決まり方と自治体間格差
  • 給与構成
  • 仕事の負荷に比べ「十分に高い」
  • 管理職「なり手が少ない」「なりたがらない」
  • 上層部は市長が引き上げる
  • 適応障害、うつ病…心の病になる人が多い
  • 公務員も退職事由で「自己都合」は退職金差別
  • 年収550万円ほどで65歳まで安泰

では、どういう人が向いていて、どういう人が向いていないのか。その職場実態について、首都圏の市役所に約15年勤務している職員(40歳前後)が、「自分はこの仕事に向いていなかった」という立場から、詳細に語った。

インタビュイー写真2枚目
転職すべきか迷っているインタビュイー。公務員という特殊な環境でアラフォーまでキャリアを積むと、民間への転職活動では苦戦する。

インタビュイーは、有名私大・文系学部を卒業後、新卒で市役所に就職。現在は現役職員のため具体的な自治体名は避けるが、東京23区に通勤するベッドタウンとして栄えてきた30~50万人規模の自治体である。財政力指数でも、職員の平均年収でも、全国1700余りの自治体のうち上位5%に入る。

いい会社はどこにある?』読者として、趣旨に賛同いただいた取材協力者である。

部署によってぜんぜん違う残業時間

入庁前後のギャップが大きかったのが、部署によってぜんぜん残業時間が違う、ということでした。もっとドライに、みんなが夕方17時台に帰るのが当り前と思っていたのですが、意外でした。

福祉施策は、申請主義になっていて、市民が申請してきたものをさばいていきます。申し込み期限が決まっていますから、その前の時期に書類の処理業務が集中します。だから、季節労働者のようなところがあります。子ども福祉課は残業が多い部署で、業務が集中する時期は22~23時まで残ることも普通にありました。

多い月で70時間弱になったこともありますが、年間ならすと、多忙な部署でも月平均20~30時間。暇な部署だと月0~10時間、といったところです。

残業時間よりも、精神的なものとして、法律で決まっている支払処理のデッドラインがありますから、「申請書類が溜まっていく」というプレッシャーがあります。だから、たまに家に持って帰って隠しちゃったり、捨てちゃったり、というニュースが出るのは、心情としてはわかるんです。(→市民の申請書、職員が自宅に隠す/相模原

「こっからはつけないから」と主幹(課長の下の管理職)に言われて、残業代ナシで働いていたこともあります。普段は残業したら、ちゃんとつけられますが、属人的に、そういう人がたまにいるかんじです。相談窓口になるはずの労組は、何もしていない印象で、役に立ちません。組合費を月約2500円払う意味がないと判断し、脱退しました。脱退の際は、面談で理由を聞かれたりして面倒でしたが、抜けることはできました。

ケースワーカーは希望すればすぐなれる

健康で文化的な
健康で文化的な最低限度の生活』は、ドラマ化もされ、新人地方公務員・吉岡里帆が主人公を演じた。「生活課」に配属されケースワーカーとして働くなかで、生活保護受給者の“人生の困難”に寄り添う。

激務なのは、予算案を考える財政課(国家公務員でいう財務省)、そして、子どもからお年寄りまでの福祉系部署全般、なかでもケースワーカーがいる生活支援課、です。

生活保護者の認定や社会復帰支援を行うケースワーカーは、職員の間では激務として知られ、人気がなく、希望すればすぐになれます。特に資格もいりません。3K職場です。

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市役所では防犯対策の「さすまた」が活躍する

昇任要件。懲戒処分を受けず、在級年数を満たし、研修を履修して確認テスト受けてればOK。ユルユルである。

入庁10年目の源泉徴収票(4級)

30代半ば、5級(副主幹)の給与明細

アラフォー5級の年収(源泉徴収票)

市役所の現場組織と人員構成

市役所のキャリアパスと報酬水準

退職金は「自己都合」退職と「応募認定・定年」退職で金額が異なる

定年65歳まで延長、賞与含め年収は7割で、民間より高め

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