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1.留学、資格、社内認定など専門職キャリアが多彩 ♯【内外で多様なキャリアパスを描ける】

❐キャリア―仕事軸『いい会社はどこにある?』

情報提供
留学資格社内認定
『「いい会社」はどこにある?』元原稿連載一覧

「❐キャリア」という視点から見た「いい会社」の、もう1つの重要な基準は、会社組織の内外で多様なキャリアパスを描けること、である。まずは、「社内」でのキャリアパスである。元社員を取材すると※、辞めた理由として「会社に居続けたら自分が10年後、20年後にどうなるか、先輩を見ていると先が見える」「それが自分にとって魅力的に思えない」と答える人が実に多い。「労組の研修に参加すると、『NTT社員の標準人生』が提示され、『5年後に結婚してNTT労組がこうサポート、10年後に子供がいてNTT労組がこうサポート』…と定年後までの人生を教えられます。このまま会社にいたら実力がつかない、と思い辞めました」(NTTコミュニケーションズ元社員)、などだ。会社が、ガッチリと1つのキャリアパスを組み、長期的な人生プランに生活面まで介入する。

※筆者は、辞めたばかり、または辞める直前の社員を取材する機会が多い。しがらみや忖度もなく、仮に取材源として怪しまれても報復を恐れる必要がないため、公益通報的な内容も話しやすく、かつ後輩たちへの貢献や情報提供を行いたい動機も満たせるためだ。もっともリスクがなく、リアルな現実を知ることができるので、取材する側・取材を受ける側の双方にとって最適なタイミングといえる。善意の情報提供者を、常に募集している。→情報提供フォーム参照

Digest
  • 「先が見えてしまう人生」の是非
  • 1社内だけのキャリアパスに限界
  • 複線型の人事制度になっているか
  • 資格・論文・特許取得ができるか
  • 「狭き門」すぎる社費留学、誰でもいける官僚
  • 「デパーチャーボーナス」で留学
  • 海外留学の3パターン
  • 「辞めたくないけど、学びたい」が実現できる会社か
  • 副業は住民税を「自分で納付」に〇
  • おいしそうなメニューに騙されない
  • フリーエージェント(FA)宣言と社内公募

「先が見えてしまう人生」の是非

逆に、その完璧な安定感やお任せ感がよい――という人も、もちろんいる。これは価値観の問題なので、入社前にじっくりと、そのメリット・デメリットを理解して選ぶ必要がある。

30年40年後に民間企業がどうなるかは誰にもわからないので、一か八かではなく、社内にも社外にも様々な選択肢があり、詰むことがない会社のほうが、「よい会社」といえる。電通のような最大手企業でも、サイバーエージェントやグーグルらの台頭で、広告業界の構造がウェブにシフトした結果、赤字転落後の2021年には、汐留の本社ビルや、駒沢の『電通八星苑』※、電通鎌倉研修所まで売却。財務に余裕がなくなっている。

※体育会系採用の電通は、社内の運動部が活発に活動しており、特に野球とサッカーが盛ん。毎年、部署単位で20チームが参加して競う。その会場が、駒沢大学隣の「八星苑」。敷地内に社宅や寮もあり、その競技場広場で4チーム×5つのリーグ戦を行う。予選に3日、決勝に1日の、計4日を費やす大イベントである。詳しくは「電通 経営不在、過剰クオリティのチキンレースに疲弊する現場事情」)参照。

国を「働き方改革」に突き動かした有名な過労死事件(2015年)の数年後に、若手社員が、その背景を、こう分析していた。「年功序列・終身雇用のよいところは、『この人についていこう』と思えるような、ロールモデルとなるカッコいい浪花節な先輩がどの職場にも必ずいて、厳しさもあるなかで、フィロソフィーの継承が行われ、組織としての統一感が保たれるところだと思いますが、そういう先輩社員が減った、と感じています。それで、もとからあった『キツいところ』だけが残ったから、統制がとれなくなっている」

1社内だけのキャリアパスに限界

もはや、1社内だけで先がそれなりに見通せるのは、一部の規制業種の最大手クラスと、役所や特殊法人くらいになった。筆者の大学時代の同期(1996年卒)10人ほどの新卒時就職先を見ても、四半世紀を経るなかで、そのまま組織が変わっていないのはNHK・日テレ・日経くらいだ(3人とも転職済)。日商岩井はニチメンと統合して双日になり、東京三菱銀はUFJ銀と統合、福岡シティ銀行は西日本銀行と統合。ディーゼル機器大手ゼクセルは独ボッシュに買収された。それぞれ統合や買収の前後でリストラが行われ、キャリアパスも急変し、大半が転職した。

日商岩井へ行った同期は、自動車部門で鉄を扱っていたが、会社が不良債権処理に苦しみ、株価が100円割れするなか、ボーナス0.1ヶ月にまで削られ、7年目(双日と統合した年)に、半強制で退職届を書かされて(書かないと実質クビ宣告され)、三菱商事の子会社「メタルワン」へと転籍させられる事態に。その3年後に辞め、三井物産・日立製作所・デロイトトーマツコンサルなどを渡り歩くキャリア人生になった。

「鉄鋼事業を日・米・韓・台湾・中国で10年やって、日本語・英語・中国語を駆使して、営業、物流、生産管理、資材管理と一連のマネジメントができるようになっていたから、転職先には困らなかった」という。留学経験もなく、英語も中国語も大学時代はできなかったから、久しぶりに会った時、厳しい環境でずいぶん鍛えられたもんだな、と感心した。結果的に、市場価値の高いスキルを身につけ、社外でのキャリアの自由度が上がっていた。

日商岩井クラスでもこうなので、中小企業が10年後にどうなるかは、考えても無駄である。10年20年後には潰れている前提で、漠然としたキャリアパスを描くことをお勧めしたい。

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