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3.「修行」要素はあるが「やりがい搾取」はない ♯【労働負荷が自分にとって適度である】

❐負荷―生活軸『いい会社はどこにある?』

情報提供
第二章3本目サムネ
修行期間の「見習い」は、現代的な言葉でいえば「インターン」である。ベストセラー『7つの習慣』では「P/PCバランス」と呼んでいる。P = performance (目標達成)、PC = Performance Capability(目標達成能力)であり、常にPCのほうにも投資する必要性を説く。

適正な労働負荷を見極めるのは、難しい。第一に、人間は一様に同じ体力・精神力を持つわけではなく、本人でさえ見極めが難しいからだ。大学の体育会でバリバリ活躍して、ユニクロで2年目に、長時間労働からメンタルを病んで辞めざるをえなくなり通院している男性を取材したが、「これまでの人生でメンタルを病んだのは全く初めてだし、体力にはもちろん自信があった」と言っていた。未来ある若者が、柳井氏のような資産家オーナー経営者の長時間労働強制によって潰されていく姿を、男女問わず多数、取材してきた。若者は、経営者の横暴から適切に保護されねばならない。雇用主と新入社員では、圧倒的に力関係で差があるのは明白だからだ。よって、国際的な相場である「週40時間労働」の義務化は正しい。社員は、自発的に好きな仕事をしているのではなく、業務命令でやらされる立場なのだから、規制がなければいけない。

Digest
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夢が叶えばブラック労働は帳消しなのか

第二に、どのような仕事にも「修行要素」が含まれ、それは「教育・研修」であるから、本来なら社員が学費を払うべき時間ではないのか、逆に給料を払うなんておかしい、企業利益に貢献していない時間は勤務時間外の自発的な『自己啓発』『自己研鑽』にして除外せよ――という誤解が生じやすいからだ。

この思想が、上司の『(おまえの仕事が)そんなに残業時間つけるだけの価値、出してるの?』という発言になり、勤怠ソフト上で「私事在館」(電通)、「自己啓発」(三菱電機)と1日4時間もUnpaid Workを申請させられる無賃長時間残業の原因となる。

第二章3本目 見出し
第2章生活軸の構成(本稿は単行本『いい会社はどこにある?』の元原稿 《一部アップデート完全版》で、もとは《会社を選ぶ技術》と題して書き進めたものです)

第1章(#【内外で多様なキャリアパスを描ける】)で三菱商事やキャリア官僚の海外留学例を取り上げたが、全く同じ大学院の同じ学位(マスター)を取得するコースであっても、三菱商事の社員や役人は、普通に基本給やボーナスを貰いながら、学費も渡航費もタダ。外部から自費で行けば、全て自費だ。その差は、2年で2千万円超にはなる。

社員が学ぶ時間は企業にとっては「将来の利益を得るための投資」なので、会社の指示で行う以上は、正式な勤務時間(Paid Work)であり、そこに議論の余地はない。問題は、そういった教育研修制度についての情報が事前に開示されていないことであり、上場企業でさえ開示が義務化されていないのが現状である※。

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「No1~3のそれぞれについて、1項目だけ開示すればOK」という、徹底的な骨抜きっぷりで、超ナメくさった法律になっている「若者雇用促進法」。政権与党と厚労省のやる気のなさがよくわかる。

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