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4.職種別採用 VS 一括採用 ♯【自律的に仕事内容を選択できる】

❐やりがい―仕事軸『いい会社はどこにある?』

情報提供
職種別採用 一括採用
『「いい会社」はどこにある?』元原稿連載一覧

日本国内で就職・転職活動をする際には、このメンバーシップ型が前提となるため、「自分がやりたい仕事に就けるか」については、最大限の注意を払う必要がある。特に考えねばならないのは、新卒採用時の初期配属と、その後の社内異動(社内転職)時だ。中途採用の場合は当然、面接時に入社後の職務内容を前提に1人1人で個別に話が進むため、その瞬間はジョブ型となりギャップは少ないが、実際に入社してみないとわからないことは多いので、やはり入社後の軌道修正のしやすさ(社内転職)は外せないポイントである。

Digest
  • 職種別採用は「文系」「理系」「IT系」の3分類に
  • 「ポテンシャル採用」というパターナリズム
  • 配属ガチャに抵抗し希望を通す

職種別採用は「文系」「理系」「IT系」の3分類に

まずは、新卒採用時である。総合職の新卒採用は、国内のほとんどの日本企業が、理系と文系を分けて採用する程度で、それ以上の細かい職種別採用は行ってこなかった。

実際には、理系で院卒以上だと、大学院での研究分野を活かせる部署への配属まで、会社側は概ね内々に決めている。理系で博士卒なら、メーカーの中央研究所配属など、専門性を活かせる部門に実質的に決まった状態で、内定する。ただ、学生にそのまま伝えると、その後の約1年の事業環境変化などで人材ニーズに変更があった場合にトラブルのもととなるので、入社後の配属発表まで正式に言わないのが普通である。

※1年は長い。リーマンショックが発生した2009年には、配属どころか「内定自体の取り消し」が社会問題化した。取り消しまで至らずとも、2020~2021年のコロナショックでは、航空・旅行需要が消滅したため、CA職で採用された社員が、自宅待機や量販店に出向、となるケースが続出した。

一方の文系は、完全に「ガチャ」となる会社がほとんどで、営業職に就くか、調達職に就くか、経理職に就くか、はたまた人事なのか、内定時点では全くわからない(例外が、筆者が経験した「記者職」と「コンサルタント職」である)。

2018年前後からはDX※ブームが沸き起こり、プログラミング経験者などITエンジニア人材が完全に「売り手」市場となって、文理関係なくIT系を別枠にすることで有利に採用を進めよう、という動きが顕著になった。たとえば日立製作所は2021年度採用で「デジタル人財採用コース」を新設し、約70名を採用する、と公表した(高専・大卒・院卒の新卒全体では計500人、中途採用で400人)。

※DX=デジタルトランスフォーメーション。主にソフト面での業務のデジタル化、IT化、AI化による効率アップ、生産性向上を指す。

新卒におけるIT系人材とは、大学や専門学校※で情報工学や通信工学を学びつつ、IT企業でのインターンやバイトでプログラミングの実務経験を積み、既に学生時代に個人でウェブサービスやアプリ制作に関与した経験があり、面接でその分野の最新動向について専門的な質疑応答ができるレベルだ(エンジニア同士ならば、話せばその実力がだいたいわかる、という)。または、よりアカデミックなAI(人工知能)研究者、すなわち、有名どころで言えば、東大の松尾豊研究室でビッグデータの分析モデルを研究し、企業と共同の取り組みでこういう実績があります――みたいな話ができる学生である。

※専門学校は「桑沢デザイン研究所」などが有名である。大学は慶応SFC(1990年開設)が走りで、筆者が在籍していた当時からIT系企業に人材を輩出してきた(楽天の本城慎之介と小林正忠、サイバーエージェント日高裕介などIT企業の創業メンバーを多数輩出している)。詳しくは、「中途入社エンジニアが楽天グループを辞める前に、ぜひ伝えておきたいこと」参照

2021年4月に子会社7社を統合したリクルートも、2022年4月入社の新卒採用から、6つに分けて職種別採用を行っており、うち「エンジニアコース」「データスペシャリストコース」「プロダクトグロースコース」「デザインコース」の4つが、いずれもIT系。残りは

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