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自民党が政務調査費を組織的に「不正流用」 加藤一億大臣が代表の岡山県連事務所賃料や職員給与など、6年で5千万円超

情報提供
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「自民党岡山県議団会費」として自民党岡山県議1人あたり年間36万円、合計約1300万円を政務調査費から支出し、最終的な使途がわからないにもかかわらず県議団の領収書だけでヨシとされてきた。上は岡山県議会事務局に提出された自民党県議の領収書、下は岡山県庁・県議会。
 「政党活動・政治活動・選挙活動につかってはならない」。そう厳格に使途を定めた政務調査費(現在は政務活動費)が、自民党岡山県支部連合会(政党支部の代表=加藤勝信・一億総活躍大臣)の事務所賃料や職員給料に使われていた――。“号泣”兵庫県議の事件をきっかけに、地方議員の公金の使い方に社会の厳しい目が注がれている昨今、にわかには信じがたい事実が発覚した。岡山県議会議員によって県連経費へと不正に流用された疑いが濃厚な政務調査費の額は、すくなく見積もっても2009年度~12年度の4年間で約3500万円。12年度と13年度についても同様の流用が行われた可能性があり、流用総額は6年間で5000万円を越すとみられる。折しも安倍自民政権は、甘利明氏の収賄疑惑など「政治とカネ」をめぐるうさん臭い話が続出中だ。自民党のモラル崩壊は日本列島の隅々までおよんでいる。(帳簿や賃貸契約書等の証拠書類は末尾でダウンロード可)
Digest
  • 裁判で発覚した「流用」
  • 政調費による県連家賃肩代わり4年で480万
  • 家賃支払先は自民県議が役員の身内会社
  • 自民党県連職員の給料も税金で払う
  • 申し合わせ事項
  • 自民党機関誌購読料など200万円も税金で

裁判で発覚した「流用」

 流用が発覚したのはNPO法人市民オンブズマン岡山(代表幹事・光成卓明弁護士)の起こした裁判でのことである。

自民党岡山県議会議員の政務調査費については、使途が不明という指摘が、むかしからあった。自民党県議団(現在37人、団長=渡辺英気岡山県議)の「岡山県議団会費」として議員ひとりあたり年間36万円、年間約1300万円を集め、その使途を説明しないまま「支出」として計上してきたのだ。

議会事務局に提出しているのは、自民党岡山県議団の領収書だけ。幹事長として自民党県議の名も入っている。つまり、自民党県議たちの間で、右手から左手にカネを移して「支出した」と説明しているようなものだ。これでは、具体的に何につかったのかまったくわからない。

まるで子どもだましのようなやり方だが、議会事務局は長年、これを黙認してきた。指摘されても自浄作用は働かない。自民党県議が議席の多数を占領し、県知事も自民推薦の伊原木隆太知事という自民党独裁県政のなかで、やりたい放題がまかりとおっている。

不透明な公金の行方にメスを入れるには、結局、司法という別の権力が必要だった。光成弁護士らは、違法性が疑われるこれらの政務調査費について、返還を求める住民訴訟を、岡山地裁にいくつも起こしてきた。その数は、2009年度~14年度まで6年分、6件におよぶ。住民訴訟は地方公共団体の違法支出をただす有力な制度だが、支出から1年をすぎると原則として受け付けられない。だから時効にならないうちに提訴するほかない。

ついでに触れておくと、住民訴訟を起こす前の手続きに住民監査請求がある。県の監査委員にたいして、違法性が疑われる公金支出について監査を求める「内部監査」制度だ。オンブズの指摘が住民訴訟に発展しているのは、この内部監査の段階でことごとく不問にされているからである。監査委員は知事が人事案を提案し、議会が承認する。公金をただすという点では無力なお手盛り監査であることを意味している。

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裁判で明らかになった「岡山県議団会費」の使途の内訳のひとつ。自民党岡山県支部連合会の事務所賃料月額25万円のうち10万円が政調費で払われていた。支払先の(株)自由会館は役員すべてが現職の自民党岡山県議会議員という自民の身内会社だった。

政調費による県連家賃肩代わり4年で480万

さて、市民オンブズマン岡山は住民訴訟において、「会派」に支出した公金についての最終的な使途を開示するよう求めた。県側はしぶっていたが、数年がかりでついに一部が明らかになった。裁判所が開示を命じた結果である。

会派で集めたカネの最終的な使途を問題にした裁判は2009年度~14年度の6年間、6件におよぶ。そのうち使途が開示されたのは09~12年度の4年分。その内容を一瞥して、弁護団や原告団は驚愕した。

驚いたのは、ほかでもない、自民党岡山県支部連合会(自民党岡山県連)の事務所の家賃が払われていたからだ

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自民党岡山県支部連合会(政治団体としての代表者は加藤勝信1億総活躍大臣)。県連が(株)自由会館に払っている事務所の賃料が年間300万円。うち120万円は政務調査費でまかなわれていた。岡山市北区丸の内の自民党岡山県支部連合会事務所。

裁判で自民党岡山県議団が明らかにした自民党岡山県支部連合会(県連)職員の給料一覧。ボーナス諸手当含めて年間におよそ1000万円の政調費が注がれていた。5人いる職員のうち議会に常駐しているのは1人だけ(写真中最後の段)。県連の政治資金収支報告書によれば、吉田竜之県連事務局長をはじめ、政治活動として出張を行っている人物の名がある。

自民党岡山県議団と自民党岡山県支部連合会の間で取りかわされた「申し合わせ事項」。県連事務所家賃月額25万円のうち10万円、人件費の4割(議会常駐職員については8割)を県議団が負担すると書かれている。党の経費を政務調査費という岡山県の税金で肩代わりさせようとした可能性がたかい。

県連事務所賃料の支払い先である(株)自由会館の最新(2016年2月)の登記簿謄本。天野学代表取締役をはじめ、役員は全員現職の県議会議員で占められている。政務調査費から年間120万円が払われている。決算書によれば建物新築時(2006年)に金融機関などから借りたとみられる1億5000万円の負債が書かれているが、不動産登記はなく、抵当権はついていない。

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itochan2016/02/28 00:26

安定の自民党品質。なんでこんなに低レベルなんだろう? (よその党のレベルが高いか低いかは今は問題としない。なにせ政権与党だし)

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読者コメント

寺崎 俊幸2016/05/31 18:11
 2016/03/02 00:19
 2016/02/17 23:03
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