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「山陽新聞」越宗会長は加計学園理事と判明、「わかりかねる」は嘘だった! 「政財界に広い人脈」期待され2014年に理事就任

情報提供
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越宗孝昌山陽新聞社社長(当時)が加計学園理事になった2014年3月26日の加計学園理事会の記録。「政財界への広い人脈」を期待して加計晃太郎理事長が推薦し、理事会の承認を得た旨記載されている。
 山陽新聞社・越宗孝昌会長が加計学園の理事に就いているのか「わかりかねます」と言ってきた山陽新聞社だが、真相が判明した。山陽労組との団体交渉のなかで、越宗会長が加計学園理事であることを認めた。つまり、隠蔽をはかったことになる。一方、見出しに「加計」を使わないなど加計に限りなく甘い紙面について、山陽新聞取締役の日下知章氏は山陽労組に「共同通信配信記事は論調が厳しすぎる」として「バランス」をとった結果だと述べた。また越宗会長が加計理事になったのは、社長時代の2014年だが、その事実を役員は後日知った、と日下取締役は説明、企業コンプライアンスに問題がある事実も発覚した。さらに、加計学園の理事会議事録を調査すると、「政財界にも広い人脈」があるとして加計孝太郎(本名・晃太郎)理事長が自ら、越宗氏を理事に推薦していた事実が記載されていた。加計学園と安倍政権の不正に『山陽新聞』も一枚かんでいる可能性がある。
Digest
  • 加計大甘報道は「上からの指示」か
  • 「共同記事は厳しすぎる」意見って?
  • 「加計理事には個人的に就任した」は本当か
  • 「忖度でも命令でも指示でもない」ミステリー
  • 加計の議事が意味するもの
  • 「わかりかねます」は嘘だった

加計大甘報道は「上からの指示」か

越宗氏が加計の理事であることを確認したのは、山陽新聞労働組合(新聞労連加盟)である。

山陽新聞社の労働組合は、もともと「山陽新聞労働組合」(山陽労組)ひとつだった。賃上げや不当配転に抗議してストライキを行うなど積極的な活動を行っていたところ、それを嫌った経営者が弱体化工作を仕掛け、1962年に第二組合である「第一労働組合」を作って分裂させた。以後、山陽労組員に対する解雇や配転などの不当労働行為が横行し、違法性を争う訴訟もおこされ、山陽新聞社が敗訴するという事件も起きている。

現在は、圧倒的多数の社員が第一労組員であり、筆者もその一員であった山陽新聞労組員はわずか3人となった。現在も山陽労組員に対する不当配転などの不当労働行為が続いており、岡山県労働委員会に救済申し立てがなされている。

第二組合の「第一労組」は会社の批判をほとんどしない「御用組合」である。越宗会長問題をただしたのは、元祖労組である「山陽労組」のほうだ。もっとも、最初は紙面づくりのゆがみをただす内容のやりとりが続き、「加計の理事」になっているかどうかという問題は取り上げられていない。経営者ら一部の者を除いて、社内でもよく知られていなかったためとみられる。

加計問題が労使の話し合いのなかで初めて登場するのは、2018年6月5日に開かれた「生産活動協議会」と呼ばれる会議である。そのときのやりとりを、山陽新聞労組の機関紙から引用する。山陽労組側代表は藤井正人書記長、会社側は日下知章取締役だ。日下氏は「第一労組」の元委員長だが、同氏について、筆者は忘れがたい思い出がある。後段で触れたい。

藤井正人山陽新聞労組書記長 加計学園の問題が正念場を迎えている。加計の報道については、日下さん(取締役)が現在も編集を統括されているということだから、お聞きする。報道については共同通信を頼っているが、本来ならば、加計学園は岡山の学園だから、山陽新聞社として、きちっと自前の報道ができるような体制を組んでほしいというのがある。

紙面編集という問題でいうと、なるべく「加計」という言葉は使わない、「獣医学部新設問題」という言葉に置き換えて、「加計」という言葉は使わない、というような決まり事というか、暗黙の了解がある。上からの指示がある。本来1面に行く(共同通信の配信する)ニュースでも、内政面に掲載するなど、ワンランク下の扱いをしている。

 今回、安倍首相と面会したか、しなかったかという問題で、首相は面会をしていない、加計学園の加計理事長も面会はしていない。担当の職員が、面会していないのに面会したと言っただけなんだというコメントを出している。だれが見ても、これは口裏合わせではないのかというように思うのではないか。その真実のところは、きちっと本来ならば、山陽新聞社として取材すべきではないのか。

藤井書記長は以上のように問題提起を行った。この労使間の話し合いが行われた2018年6月5日当時における加計問題の状況はどうだったか、振り返っておきたい。

安倍首相は加計晃太郎(孝太郎)氏と古くから頻繁に会っていた。しかし加計学園が獣医学部を新設したい意向であること知ったのは、国家戦略特区会議で獣医学部新設は加計学園であると決定がなされた2017年1月20日であり、それ以前は知らなかった、と安倍首相は説明していた。

ところが愛媛県の記録が公表され、そこに2015年2月25日に安倍首相と加計理事長が会い、獣医学部新設計画について安倍首相がが前向きな姿勢であることを述べた旨の記述が見つかった。安倍の説明に虚偽があった疑いが一気に高まる。

これに対して加計学園は、じっさいは会っていないが会ったかのように担当職員が虚偽を述べたなどと、にわかに信じがたい抗弁をした。隠蔽ではないかと日本中が騒ぎになっていた。そうした時期であった。

 各紙が軒並み一面と社会面でトップニュースで扱うなか、加計学園本部がある岡山の山陽新聞だけは、きわめて地味で、加計の言い訳をそのまま繰り返すような報道を行っていた。(【山陽新聞「越宗孝昌」会長は、加計学園「越宗孝昌」理事と同一人物なのか――だれもが口を閉ざすミステリー】参照)

おかしいではないかと指摘する藤井書記長の問題意識はごく当然だろう。藤井氏は整理部という見出しや記事の扱いを決める部署のベテランである。加計問題に関する紙面のゆがみを指摘する意見には説得力がある。

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山陽新聞社会長の越宗孝昌氏。山陽新聞代表取締役社長時代の2014年に加計晃太郎理事長の推薦で加計学園理事になった。関西学院同窓会岡山支部のホームページより。

「共同記事は厳しすぎる」意見って?

ほかの新聞と比べて、異様というべきほどに加計学園や安倍首相を擁護する紙面に、なぜなってしまったのか。この疑問に対して、日下取締役の答えはこうだ

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越宗孝昌山陽新聞会長が加計学園理事であることを確認した山陽新聞労組と日下知章山陽新聞取締役のやりとりを記録した「山陽新聞労組ニュース」。日下取締役が山陽労組に説明したところでは、理事就任の事実をほかの役員は事後知らされたという。

山陽新聞社本社(岡山市・松田正己社長)

加計晃太郎理事長が記者会見を開いた2018年6月19日の翌日20日の山陽新聞朝刊。1面に関連記事はなく、トップニュースはサッカー世界杯だった。2面に3段見出しで一問一答を掲載。批判的な内容はほとんどなく、軒並み1面トップで扱った他紙と大きく異なっている。

加計学園のホームページに掲載された役員一覧。越宗孝昌氏の名がある。任期は2022年3月末。山陽労組を通じて辞任要求が出されているが、辞める意思はなさそうだ。

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記者からの追加情報

新聞の首相動向によれば、越宗孝昌山陽新聞社長(当時)は、加計学園理事になった2週間あまり後の2014年4月17日夜、東京銀座の中国料理店「飛雁閣」で安倍晋三首相と会食している。岡山県選出の加藤勝信衆議院議員が同席した。会食には、中国新聞、山陰合同新聞、西日本新聞、大分合同新聞、熊本日日新聞の社長・会長らも出席した。
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