「立花さんの告発は、純粋に正義感によるもので、すごくピュアな人」「NHK社内では応援する気持ちを内心もっている人もいる」と語る元職員
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昨年までNHK職員として勤務していた東大卒の30代男性から、連絡を貰った。NHKでの仕事は経理を中心とした事務畑で「昨今ニュースをにぎわせている『NHKから国民を守る党』の立花氏と同じ」。つまり、立花氏の後輩にあたるという。「彼ほどではありませんが、NHKに理想を求めて入り、挫折し、しかしまだ愛着はあるが故にNHKに物申したい、という気持ちは分かる気がしており、取材をお受けしてご協力できることがあればと思い、連絡させていただきました」。公党の党首として億単位の政党助成金を得るまでになったN国党・立花孝志氏は、NHKのどういう構造や境遇から産み出されたのか。その内部事情を聞いた。
【Digest】
◇「賢くて弁が立つヤンキー」という特殊なジャンル
◇非常識なNHKの社内論理で無駄遣い
◇不毛な内部の予算分捕り合戦に年130億円を浪費
◇国の予算と同様、コスト意識働かず
◇「いいものできたよね」という魔法の言葉
◇「秀吉的な人」がかわいがられるカルチャー
◇ヤクザ組織における“鉄砲弾”が立花孝志だった
◇裏金で飲みに行っていた
◇「賢くて弁が立つヤンキー」という特殊なジャンル
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NHK現役経理職が懺悔実名告発「私が手を染めた裏金作りを全てお話します」(週刊文春2005年4月14日号)。実名写真入りで衝撃の内部告発をした立花孝志氏。当時、38歳の現役職員だった。(同氏公式youtubeチャンネルより) |
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立花氏が退職したのは、2005年。インタビュイーはリーマンショック後の入社なので、直接、在籍時期は重なっていないものの、採用区分は同じ「放送事業のマネジメント」の「全国職員」(全国転勤アリ)コースで、その仕事の中心は経理である。つまり、立花氏の後輩にあたる。募集要項によると「2020年4月1日の時点で30歳未満の方。学歴は問いません」とあり、2019年現在でも高卒で応募可能だ。立花氏のような高卒叩き上げで、30代前半に海老沢会長(当時)の秘書的なポジションに就くというスピード出世は、なぜ可能だったのか。
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NHKの募集区分と職種(2019年) |
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「NHKは、途中までは学歴に関係なく、高卒でも出世します。自分の上司も高卒者であることが多かったのですが、それは経理部門では、よくあること。放送事業マネジメント職では、『デキる高卒』タイプが、要所要所で活躍しています。なかでも、全体の1割くらいは、ヤンキー出身の“ヤクザの親分”みたいな人がいるんです」
まさに立花氏のような、声が大きく、どすが利き、威圧的で押しも強い、強面タイプが思い浮かぶ。だが、ただのヤクザの親分ではなく、頭の切れがよく、数字にも強い。機転が利き、硬軟併せ持つ寝技も得意。万能タイプである。
「NHKには、『賢くて弁が立つヤンキー』というキャリアジャンルがあって、偏差値的な学歴や教養ではなく、頭の回転が速くて数字に強い人たちがいるんです。立花さんは、そういう意味で、経理畑における、典型的なNHK人だったと思います。地方のNHK放送局の管理部門で出世した人が、立花さんのように東京の本部に引っ張られて行きます。今、40歳くらいまでの代には、立花さんのようなタイプが実際にいます。その後は、高卒は採らなくなって、大卒に置き換わりつつあります」
いわゆるアカデミックスマートではなく、ストリートスマート人材である。立花氏自身も、「ほとんど本は読まない」と公言しているが、数字に強く、地頭がよく、弁が立つ。パチプロとして生計を立てていた時期もあり、確率・統計の分析力に長ける。その才能を応用し、選挙制度の攻略に関しても天才的な分析力と実行力を発揮。
地方議員選挙からコツコツ実績を積み重ね、2019年7月の参議院選挙で、みごと国会議員への当選を果たした。そうかと思えば、参院補選への立候補のため2か月余りで失職し、浜田聡氏を自分の代わりに参院議員に繰り上げ当選させるなど、決断力・実現力を見せている。
NHKの『賢くて弁が立つヤンキー』キャリアに、まさにハマって、頂点に登り詰めたのが立花氏だった。問題は、なぜそのような特殊スキルを持つ人材が、NHKという組織では重宝されたのか、である。同じく全国組織である新聞社(全国紙)で、そのような話は聞かない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
