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吉村洋文・大阪府知事が不法行為の“実行犯”として加担した黒歴史 武富士2億円言論弾圧訴訟の全貌――完勝のジャーナリスト「弁護士の違法行為は許されない」
(左)寺澤有氏は、消費者金融の武富士から仕掛けられた言論弾圧訴訟で2億円を請求された。寺澤氏が逆に訴えた裁判では、武富士の訴訟は「不当提訴」で「不法行為」と認定され確定。(右)吉村洋文氏は、不当訴訟で不法行為と裁判所に認定された武富士訴訟の代理人を務めていた。(下)不当提訴と認められた裁判の訴状には代理人3人のうちの1人として吉村洋文の氏名が記されている。他の2人は熊谷信太郎、布村浩之。

「吉村さんは、まだ若いのに将来に傷がつくなあ、かわいそうだな、と思っていたんですね」。こう振り返るのは、サラ金大手・武富士から名誉棄損で2億円請求される裁判を03年に仕掛けられたジャーナリスト・寺澤有氏だ。その代理人として訴訟実務を担ったのが、吉村洋文・現大阪府知事だった。この裁判は、武富士が自ら名誉毀損の事実はなく不当提訴だったと認め、途中で「放棄」。一方の寺澤氏は、言論封殺を目的としたスラップ訴訟だったと、逆に2億2千万円を請求する訴訟で反撃。判決は、武富士による訴訟が「批判的言論を抑圧する意図」によるもので「不当提訴」「不法行為」と認められ07年に確定。武富士側は、寺澤氏に1千万円を支払うはめになり完敗した。その間、武井会長は06年に病死、武富士は10年に倒産。吉村氏が不法行為に加担した事実は明白だが、いまだ詭弁を弄し反省の言はひとこともない。“吉村洋文SLAPP事件”の全貌をここに記録しておく。

【Digest】
◇吉村知事の2億円武富士言論弾圧訴訟とは
◇受難の始まり・・・郵便局員が玄関先に来て
◇2億円請求する異常な裁判
◇スラップ訴訟を仕掛けられた被害者に立証責任
◇2億円言論弾圧訴訟の実行犯は吉村洋文・現大阪府知事
◇寺澤氏が和解案に「和解金額1兆円」と書き込み
◇武富士に2億2000万円の損害賠償を求める提訴で反撃
◇スラップ封じ込めの決定的判決
◇2億2000万円の請求は認められず500万円に
◇寺澤氏が1,000万円を受け取るまでの経緯
◇請求金額を少額にしたスラップ訴訟の手口
◇まったく反省なしの吉村洋文氏
◇名誉毀損訴訟の高額化を推進した塩崎勸弁護士
◇武井会長逮捕直前の驚愕のシンポジウム
◇「スラップ訴訟は弁護士から話が持ち込まれる」
◇日本弁護士連合会もスラップ訴訟対策には不熱心
◇あるパーティーで武富士弁護士と遭遇
◇反省と教訓:吉村氏らに懲戒請求や損害賠償請求をすべきだった

(※末尾で日弁連宛「SLAPP対策申し入れ」文書ダウンロード可)

 新型コロナウイルス禍で、にわかに注目を浴びている吉村洋文・大阪府知事は、どのような人物なのか。彼が弁護士登録して3年後の2003年、これから弁護士として活躍してゆこうというキャリア初期に関わった「武富士2億円言論弾圧訴訟」は、判断するための格好の材料である。

 吉村氏ら武富士代理人弁護士と法廷で対峙したジャーナリストの寺澤有氏が先月、「吉村大阪府知事と2億円言論弾圧訴訟の全貌」と題して都内で講演。その内容に沿って事件の全貌をお伝えする。


◇吉村知事の2億円武富士言論弾圧訴訟とは
 大手マスコミは取り上げませんが、ネットを中心に吉村洋文さんの過去の汚点ということで武富士事件が取り上げられるようになりました。本当にかなりの汚点だと思います。

 当時、吉村さんは若手弁護士として東京で実務をこなしていました。私も何度か法廷で吉村さんの顔を見ています。この武富士事件、武富士スラップ訴訟は、非常に大規模な事件でした。

スラップ訴訟とは、大企業や大組織、あるいは地位の高いものが記者や市民運動家を名誉毀損名目で損賠賠償請求する訴訟のこと。目的は相手の言論封殺であり、恫喝訴訟・いやがらせ訴訟とも呼ばれる。

 2000年代初頭、無担保でお金を借りられる消費者金融は、庶民にとっても非常に便利な存在で、その最大手と言われていたのが武富士です。

 武富士事件は、2002年秋に武富士の元法務課長がジャーナリストの山岡俊介さんのところに内部資料を持ち込んだことに端を発し、2003年に大きく展開します。

 同じ時期にジャーナリストの三宅勝久さんが、武富士の取り立てが厳しいとか社員に残業代を払っていないとか、支払い義務のない家族にまで請求してお金を回収している問題などを『週刊金曜日』で記事にするなど、いろいろな人が書くようになりました。宇都宮健児弁護士なども、武富士を追及していました。

 私は、武富士が現金や大量のビール券を警察官にばらまき、その見返りとして警察は犯歴などの個人情報を武富士に流していたというスキャンダルを、『週刊プレイボーイ』に連載しました。

 東証一部上場企業でしたが、その上場に際しても、反社会的勢力との癒着や大蔵省(当時)との癒着が取りざたされていました。

 そのような点に疑問を呈する記事を書いたジャーナリストや弁護士、媒体に対して、武富士は、片っ端から名誉毀損で提訴していました。しかも、請求金額は常識外れで、私が武富士に訴えられたときは、合計2億円の損害賠償金額を求められています。

 当時、武富士のテレビコマーシャルで「武富士ダンサーズ」などを覚えている方であれば、あれだけふんだんにお金をつかっているのだから、裁判もやりたい放題だったことを理解しやすいかもしれません。

 転機が訪れたのは、2003年の12月2日に武富士の武井保雄会長が、電気通信事業法違反で逮捕されたこと。同社を追及する山岡俊介さんを含む2名のジャーナリスト宅の盗聴を部下に命じていた容疑です。

 その後、われわれフリーランスのさらなる追及によって武富士は凋落の一途をたどり、結局は倒産の憂き目をみるわけです。

 まさに、「驕れる人久しからず」を間近に見た大きな事件でした。

 その後、逮捕された武井会長の裁判で、東京地裁は2004年11月17日、懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡し、確定した。

 訴えられたジャーナリストらも相次いで反訴し、一連の訴訟がスラップ訴訟(言論封殺訴訟)だと認められ、情勢は一変。武井会長は2006年8月10日に病死した。

 2010年、武富士は東京地裁に会社更生法の手続きを申請、倒産した。その後、関連会社もなくなり、2017年には武富士は完全に消滅した。

◇郵便局員が玄関先に来て「裁判所からの特別送達です」
 武富士事件、そしてスラップとは一体何か。そもそもスラップ訴訟という言葉が日本で出始めたのは、私の記憶では武富士訴訟が終わった数年後です。当時は、いやがらせ訴訟とか恫喝訴訟と呼ばれていました。

 数年後に、アメリカをはじめとする諸外国で、名誉毀損訴訟を悪用して報道の自由や言論表現の自由を弾圧する「スラップ訴訟」というものがあると紹介されました。今では日本でもスラップ訴訟と言うようになっています。

 まず、「あなたの記事のおかげで私の名誉は毀損されました」と訴えるのがスラップ訴訟。記事だけでなく、現在では、フェイスブック、ツイッター、掲示板などで皆さんが匿名で何かを批判的に投稿する内容も対象になります。

 匿名でも、どのコンピュータで発信されたか分かってしまうので、匿名にはならないのですが、匿名のつもりで何かを発信したら、突然訴状が届いてしまう。

 実際に名誉毀損の事実はないのに名誉毀損だと主張すれば、たいてい裁判所は訴状を受け付けてしまいます。事実でなくても弁護士が名誉毀損されたと訴状に書けば裁判になってしまうのです。

【2億円訴訟と同年(2003年)に提起された主な武富士SLAPP】

■週刊金曜日 三宅勝久(ジャーナリスト)

 03年3月14日 武富士が1億1,000万円の損害賠償請求。05年6月30日、最高裁決定で武富士の敗訴が確定。一方04年6月28日、『週刊金曜日』と三宅氏は武富士と武井会長に名誉毀損に対する賠償として、金曜日が1,650万円、三宅氏が1,100万円を請求。06年9月22日、東京地裁は240万円(各自120万円)の支払いを命じる判決。この判決が確定した。

■創出版 山岡俊介(ジャーナリスト) 野田敬生(ジャーナリスト)
 ベストブック 新谷修二(編集長) 山岡俊介(ジャーナリスト)

 03年7月17日にベストブック・新谷修二氏・山岡俊介氏に対し1億円と謝罪広告掲載をもとめて武富士が提訴。8月27日に創出版・山岡俊介氏・野田敬生氏に対し謝罪広告掲載と3497万円を請求し提訴。
 これに対し山岡氏は、違法提訴と名誉毀損による賠償金による3,100万円(ベストブック関連600万円、創関連2,500万円)を請求し、反訴。武富士と武井会長は、請求を承諾(原告全面勝訴の判決確定と同等の効力)した。

■同時代社 今瞭美 新里宏二 宮田尚典(ともに弁護士)

 03年4月24日、単行本『武富士の闇を暴く』の販売禁止と損害賠償5500万円を求めて武富士が提訴。筆者の3弁護士と同時代社は反訴。
 05年3月30日、東京地裁は、今瞭美、新里宏二、宮田尚典の3弁護士、同時代社に各120万円、合計480万円の支払いを命じる判決。一方、武富士の請求は棄却した。同年10月19日の控訴審(東京高裁)判決でも、武富士の請求は棄却された(確定)。

※吉村氏が代理人となったのは、寺澤氏への提訴と山岡氏(ベストブック訴訟)への提訴。
※武富士と武井保雄会長は、対寺澤氏と上記3件だけで、計4,820万円を支払った。

 裁判になるとどうなるか。被告となる記者、フリーランス、出版社なり新聞社、テレビ局に、「特別送達」が裁判所から届けられます。

 郵便局の人が自宅の玄関までやってきてピンポーンとインターホンを鳴らし、「特別送達です」と言ってきます。普通の人にとって「特別送達」といってもよく分からないですよね。

 玄関先まで出ていくと郵便局の人が「裁判所からの特別送達です。ご本人ですか? 身分証明できるものを持ってきてください、判子を持ってきてください」と。

 そして裁判所からの茶封筒を開くと訴状が入っていて、何億円支払え、いつ出頭して・・というようなことが書いてあるわけです。普通の人は、それだけでビックリしてしまうでしょう。

 私の場合は、武富士と警察の癒着を集英社発行の『週刊プレイボーイ』で署名記事を連載しましたから、発行元の集英社共々、筆者個人も訴えられるだろうと、書く前から覚悟していました。

 実際訴えてきたとき、ああ本当に訴えるんだな、しかも億単位の金を請求するのだなと分かりました。

◇2億円請求する異常な裁判
武富士は、事実無根の内容を同社ホームページに何度も掲載し、不正を追及するジャーナリストの山岡俊介氏や寺澤有氏を誹謗中傷していた。
 当時の名誉毀損の相場は、100万円くらいです。悪質さなどを加味して上乗せされることはありますが、基準は100万円くらいでした。それが、2億円。いくらなんでもひどいだろうと言う話ですが、なぜそれをやるのか。

 武富士は弁護士費用を支払うわけですが、請求金額が2億円だったら弁護士費用は2000万円が相場。一方の訴えられる側も2000万円になります。

 着手金が.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



自ら提訴しておきながら、武富士は和解を求め、和解書案を送ってきた。和解金額の欄が空白になっていたので、寺沢氏は「1兆円」と書いて突き返した。和解拒否である。
寺澤氏に和解を拒否されるや、武富士は請求を「放棄」してスラップ訴訟は終了した。つまり、名誉毀損の事実もないのに訴訟提起したことを自ら認めたことになる。勝手に恫喝裁判を提起し勝手に裁判を終わらせたのは許せないと、寺澤氏は新たに武富士を相手取って訴訟提起した。その判決で、吉村知事が関わった訴訟は「不当提訴で不法行為」と認定されて確定している。
武富士および武井保雄会長は、同社ホームページで山岡俊介氏と寺澤有氏に対し、事実無根の誹謗中傷文を繰り返し掲載していた。その非を全面的に認め、2人に対する謝罪文を掲載した。その背景には、武井会長が抱えていた刑事裁判(盗聴事件)において、執行猶予付きの判決を得ようという思惑があった。反省を形に表し情状を得ようとしたのである。
「損害賠償請求訴訟における損害額の算定」平成13年5月17日開催の司法研修。 表は「名誉毀損による慰謝料額の算定基準」(「判例タイムズ1070号、2001年11月15日」

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連載 note 吉村洋文と武富士

寺澤有氏関連書籍

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   23:44 07/27 2020
ただ吉村洋文氏の過去の暗黒面として本記事は貴重だと思う。本年11月に実現するであろう大阪都構想実現前に大阪維新の会支持者達は本記事を読んで見るべきであろう。
       23:42 07/27 2020
いつも何言っているのか分からないポエムばかり発言する小泉進次郎や回りくどい言い方で何言っているのか分からない安倍晋三よりは吉村洋文氏は良いと思う。関東学院大学卒からいきなりのコロンビア大MBAという謎の力が働かない限り決してまず無いコースを歩んできた小泉進次郎の方が黒歴史の度合いとしては濃いし許しがたいと思う。
    23:39 07/27 2020
寺澤有氏のTwitterで吉村洋文大阪府知事がかつて武富士側の弁護士として対峙した話は聞いた事があった。SLAPP訴訟であるし、問題なのは事実だ。しかし、吉村洋文氏は曲りなりにも徒手空拳でのし上がってきた。正直自民党に多くいる2世3世議員より良い仕事をしていると思う。