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総論(出世の法則)プレジデント7/10発売号原文

情報提供
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『PRESIDENT』2006/7/10発売号 に掲載(全16頁)
 私は2003年末から年70~100人ペースで現役社員を取材し、自身で経営するニュースサイトに連載、それを幻冬舎より「企業ミシュラン」シリーズとして出版する活動を続けている。それら取材で得た情報をベースに今回、「出世」という点から業界別に特徴をまとめてみた。
Digest
  • 東大卒はよく知っている
  • 若い人ほど出世が難しくなっている
  • 社内的な序列のバカらしさ
  • 肩書きバブル
  • 出世の定義は変わっていく
  • 起業=出世の社会に
  • 「ハッピーリタイアメント」という究極の出世
  • 出世の階段は自分の中に
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東大卒はよく知っている

私の取材は、100%例外なく、広報部門を通さずに直接コンタクトをとる。広報を通して紹介された社員をいくら取材しても、立場上、会社側に都合の良いことしかしゃべれないことは、私が日経新聞で企業取材をやっていた頃から強く感じていたからだ。

この「本当の事実にこだわった取材」を続けて分かったことは、東大出身者が、人事や報酬、昇格といった、いわゆる出世に関係する制度について、もっとも正確な事実を把握している、ということである。

ある業界トップ企業で、3人取材しても、インタビュイーが出世の仕組みを本当に知らず(言わないのではなく本当に関心がないケースが多い)、4人目に取材に応じてくれた社員が、全ての疑問をクリアにしてくれたことがあった。その人は、東大出身者だった。こういうケースが、何度かあった。

また、最初の一人が東大出身者だと、取材が本当に楽だった。ほとんど全てを知っているからである。ある大企業の取材では、自身が子会社に出向していたため、十分な取材ができるか不安だったが、実際に聞いてみると、本体での仕事内容から評価基準の実態、管理職クラスの報酬水準についてまで熟知しており、驚かされた。

これは偶然ではない、と思った。少なくとも大企業での出世というのは、受験と同じで、どこで“何点”を稼げばトップ昇格グループに居続けることができるか、という仕組みが確かに存在する。東大卒は、中学、高校、大学と、試験に勝ち抜き続け、大企業への就職試験も突破した試験エリートだ。仕組みを理解することの重要性を体験的に理解しており、ごく自然な行動として社内で情報収集を行っているのだろう。

学校の受験では過去問が公開され、「傾向と対策」を学ぶことができる。しかし、なぜか就職になると、入社後、何年目に、どういった役割を与えられ、どの程度の報酬で、どう選別されていくのか、といった「出世の見取り図」は、学生をはじめとする入社を希望する人たちに対して、まったく公開されない。社内でさえ知らない人が多い。それが、その企業で働く者にとって、決定的に重要なことであるにもかかわらず、だ。

これは驚くべきことだ。いったい、何を基準に企業を選べというのだろうか。広報に聞いてももちろん教えない。だから私は社員に直接、聞く。企業は、ボランティアで働く場所ではない。必ず対価がある。しかし、3年後、5年後に、何が出来たらいくら貰えるのか、課長などのポジションに就ける可能性がどのくらいあるのか、が分からないのでは、過去問も解かずに試験に臨むようなもの。働くビジョンなど持てるはずがない。

若い人ほど出世が難しくなっている

私が取材するのは全て20代、30代の若手社員である。この取材を通して強く感じることは、世代間格差に対する憤りや諦め、不公平感だ。成果主義という名のもとにルールが変わり、若い人ほど出世が難しくなっている。

たとえば、成果主義を標榜するキヤノン。

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