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本当の補助金は11兆円超 新聞の“大本営発表”記事は大誤報
発表されたものをそのまま書いてしまう各紙。上:東京新聞、下左:毎日新聞、下右:日経新聞

 今年2月に衆議院調査局が発表した公益法人への補助金について、2005年度の補助金の総額は「5.5兆円」と新聞各紙が報道した。だがこれは、役人が意図的に低く出した数字を、民主党がそのまま発表、マスコミがそれを検証もせずにそのまま垂れ流した、典型的な「大本営発表記事」。調べてみると、破産した「グリーンピア」等清算のために政府出資金を公金から一括償還する3.3兆円が含まれていないなど、実際には、発表の2倍にもなる11兆円超が使われていることが分かった。

【Digest】
◇5.5兆円は嘘だった
◇国民1人あたり4万4千円もの負担
◇民主党も新聞も知っていたはず
◇「出資金だから除外した」
◇バラバラの定義
◇他にも隠蔽工作が
◇国会でも問題に
◇本当の補助金ランキング

◇5.5兆円は嘘だった
 昨年10月、民主党の松本剛明・政調会長など40数人の国会議員が要請した衆院の予備的調査に基づき、全省庁の特殊法人、独立行政法人を含めた公益法人の中で、補助金、交付金、委託費などが国からいくら支出されたのか、それぞれの団体に天下りが何人いるのか、が衆院調査局により調査された。

 (予備的調査とは、衆議院の委員会の下調査として、衆議院調査局長、もしくは衆議院法制局長に調査を命じて行わせるもので、委員会で議決するか、40人以上の議員が調査要請書を議長に提出し、委員会にはかって決定される)

 この予備的調査により、衆院調査局は、長文の資料「公益法人等における国家公務員の再就職状況及び中央政府からの補助金等交付状況に関する予備調査」と題する900ページ弱の分厚い冊子を、今年2月に取りまとめた。調査を要請した民主党は、本件をプレス向けに発表。全国紙が一斉に、「補助金等は総額5兆5千億円以上」「天下りは約2万2千人」「対象法人は合わせて約4千」と、そのまま報じた。

衆院調査局資料
 しかし、この報道の後、同資料は、訂正版として3月に差し替えが行われた。衆院調査局に尋ねると、「国交省、文科省など6省庁から変更の要請があり、かなりの量だったので、正誤表ではなく差し替え版をつくった」という。訂正版の冊子は、945ページもの分厚さになる(右記)。

 筆者は4月に、この訂正版を入手し、中身を見たところ、訂正後の冊子の補助金等の総額は、7兆3千7百億円強と、当初報道より約2兆円も増加していた。最も補助金等の額が多いのは年金資金運用基金の1兆1,812億8,300万円だった。2位以下は数千億円単位で、ここだけ桁違いだった。

 年金資金運用基金のうち、厚生年金特別会計から支出された1,067,721百万円と、国民年金特別会計から支出された65,864百万円(合わせて約1.1兆円)の金額には、但し書きで(H17年限り)とあり、使途は「大規模年金保養基地グリーンピア及び年金住宅融資事業等のために旧資金運用部から借り入れた長期借入金を財政融資資金へ繰上償還するため」とある(下記)。

 つまり、行政のミスで事業破綻した「グリーンピア」と「年金住宅融資」(厚生年金被保険者が住宅の建設・購入・改良のため借りる制度)の尻拭いのため、国民の金で一括返済するということだ。

 ちょうど、別件の取材で特別会計を調べていたので、本件も予算書に書いてあるのかと思い、平成17年度の予算書と照らし合わせて確かめたところ、平成17年度の特別会計予算(当初予算)には、厚生保険特別会計の業務勘定に「財政融資資金繰上償還等資金」として、「4,176,792,219」と書いてあった。単位は千円なので、4兆1,767億円だ。


 1兆1千億円どころではなかったのだ。また、国民年金特別会計の業務勘定のほうには、同じく繰上償還等資金として、「266,806,982」、つまり2,668億円強とある。合計すると、4兆4,435億9,920万1千円だ。

 差額(4.4-1.1)の約3.3兆円を、3月の訂正版の総額7.3兆円に加えるだけで、計10.6兆円にもなる。

◇国民1人あたり4万4千円の負担
 なぜ衆院調査局の冊子には、年金資金運用基金の繰上償還額が、4兆4千億円ではなく1兆1千億円と記されていたのか。

 数字の真偽を確かめるべく、年金資金運用基金(今年4月から年金積立金管理運用独立行政法人に名称を変更、場所は霞ヶ関)の担当部署に電話した。


--フリーのジャーナリストの佐々木と申しますが、平成17年度の予算、決算について、お聞きしたいのですが、今近くなので、直接お伺いさせて頂いてもよろしいですか?

 「口頭でお答えします」

--財務諸表などの文書の形で頂きたいのですが、よろしいですか?」

 「それでは経理課長の加藤といいますので、こちらまでお越し下さい」

--では2、30分以内に行きますので、よろしくお願いします

 別の取材で一駅違いの国会議事堂まで来ていたので、20分後に到着。名刺交換し、担当者の管理部経理課の加藤芳美課長に話を聞いた。

 加藤課長は平成17事業年度の業務報告書を示した。
 「繰上償還の決算の詳細については、こちらに載っています」

繰上償還の詳細を示す業務報告書
 そこには、「政府出資金3兆2550億円、政府交付金1兆1275億円」とある。合わせて4兆3825億円。当初予算書の額より、610億円ほど少ないが、やはり約4.4兆円が、実際に支出されていたのだ(右記)。

 年金資金運用基金だけで4.4兆円。日本の有権者(20歳以上)約1億人で割ると、国民一人当たり4万4千円もの出費だったことになる。見逃すことができない金額だが、それを国民の眼から隠すことに、民主党もマスコミも加担していた訳である。

◇民主党も新聞も知っていたはず
 この繰上償還については、国会議事録を調べたところ、国会でも取り上げられていた。

 国会では2004年5月頃から繰上償還について、参議院の厚生労働委員会で、社民党党首の福島瑞穂議員が取り上げるなど議論され始め、民主党は繰上償還の根拠法である年金積立金管理運用独立行政法人法の廃止を定めた法案を提出し、平成16年8月5日の衆院本会議で採決もしていた。

 にもかかわらず民主自身が、衆院調査局の資料に年金資金運用基金に4.4兆円ではなく1.1兆円となっているのに気づかずにそのままプレスに発表していたのは驚きだ。

 新聞社も、例えば2004年11月22日付の朝日新聞記事「最終損失1.3兆円見通し グリーンピアと住宅融資事業」によれば、グリーンピアと年金住宅融資事業の債務で4.7兆円が年金積立金から一括返済される方針であることや、両事業の損失は1.3兆円の見通しであることが、報じられている。

 にもかかわらず、マスコミが衆院調査局の資料では年金資金運用基金に投じられた額が1兆あまりにしかなっていないことを指摘せず、民主党の発表を、そのまま垂れ流していたことになる。

◇「出資金だから除外した」
 それにしても、4.4兆円が、なぜ、衆院調査局の資料には1.1兆円になっているのか。この乖離は何なのか?衆院調査局に聞いても「各省庁に配った調査票を集計した」というだけで埒があかないので、厚生労働省に聞いた。まず厚労省の受付に、衆院の調査票に記入した課がどこなのかを聞いた。

 今年2月に衆院の調査局のつくった、国所管の全公益法人と補助金額と天下りの数をまとめた資料の中の、年金資金運用基金の補助金額について、担当の方にお聞きしたいのですが

 「では、おつなぎします」(転送される)

--フリーのジャーナリストの佐々木と申しますが、今年の2月に衆院調査局のつくった云々…(同じ説明をする)

 「こちらは担当ではないので、少々お待ちください」と述べ、他の課に転送され、「はい。何々課ですが」…これを3回繰り返し、やっと年金局総務課基金運用係という、担当部署にいきつくことができた。担当者に聞いた。

--繰上償還で約4.4兆円かかっているのに、なぜ、この予備的調査の資料には、約1.1兆円となっているのですか?

 「これは出資金を除外したためですね。当時の、調査票に記入した担当者は、配置換えでこちらの部署にはもういませんが、1.1兆円は交付金の額で、ちょうど出資金の額が入っていませんので」

--どうして、出資金を除外したんですか?

補助金の定義
 「出資金という名目で借金の元本を返済し、利息の約1.1兆円は交付金で返済していますが、出資金は補助金には当たらないためです」

--しかし、予備的調査の定義には、「補助金等」とは、「補助金、委託金その他名称の如何にかかわらず、国から交付された資金(百万円未満を除く)をいう」(右記)とあるのだから、出資金も入れるべきですよね?

 「補助金ではなく、出資金という名目なので、ここには入れなかったということです」

◇バラバラの定義
 このように「出資金という名目だから」というが、定義には「補助金、委託金その他名称の如何にかかわらず、国から交付された資金」とある。国から交付された資金というのは、要するに国が渡した資金ということであり、「政府出資金」というのは、まさに国が出した資金だ。

 それを、年金積立金のなかから一括で償却したわけであり、その年金には毎年、税金が投入されている。「平成17年度決算  厚生保険特別会計 年金勘定」によれば、国庫負担受け入れは4.5兆円。「平成17年度決算 国民年金特別会計 国民年金勘定」では国庫負担受け入れ1.7兆円である。やはりこの3.3兆円の償還は、どう見ても国から交付された資金というべきなのである。

 衆院調査局がまとめた分厚い資料を見ると、「補助金等額」に、出資金を入れている団体がたくさんある。旧石油公団の(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、813億3千万円が出資金の名目で記載している し、 .....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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キ  21:39 09/17 2006
民主党だって半分は官公労が母体だし、その発表数字がおかしいとしても新聞も記者クラブの仲良しクラブですから当然でしょう。
自営業  23:28 09/10 2006
お役人による数字のトリックは日常茶飯事ですね。納税者は賢くならなくてはなりません。

ただ、日本は累進課税が導入されており、国民1人あたり4万4千円というのは、ほとんど意味を持たない数字だと思います(これも一種のトリック)。

例えば年収500万のサラリーマンの場合、○○万円の負担と記載するのが、より現実に即した記載方法だと思います。
三郎  17:32 09/10 2006
国民全体のモラルの低下というけれど、その先頭に立つ公務員の感覚の乏しさには驚くばかりである。階層社会のお手本がいんぎん無礼、無責任、確信犯だから、もうお手上げである。
匿名  14:42 09/09 2006
改善を求めるよりも(無駄です)、それらに対する対処法を考えた方が有効でしょうね。
例えば、多くの人の間で情報網を構築して周知を図り協力し合う互助会組織のようなものを作るべきかと考えます。その意味では、創価学会がそれに該当しますが、代表が変わって金権主義に陥っている様子なので、権力を持った組織が腐敗しないよう運営することの難しさが推察されます。
税金の要求に応じないという手もありますね。
匿名  14:40 09/09 2006
日本社会を3つの言葉で表現するなら、「腐敗」「無法」「暴政」です。
無法と言うのは、権力側にとって都合の良い法律はあるますが、逆の場合には事実上法律はなきに等しい、ということです。また、悪事を行う乃至隠す為に、ペテン師同様の騙しの手口が用いられていますね。