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オリコンうがや訴訟2 「裁判なんか起こすんじゃなかったと思わせよう!」

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三宅勝久(ジャーナリスト)
武富士の過酷な取り立てや社員いじめの実態を『週刊金曜日』に連載したところ、武富士から「事実無根の名誉毀損」だとして総額1億1000万円の損害賠償請求訴訟を起こされ、最高裁で勝訴が確定した。

提訴は言論弾圧目的の違法なものだったとして、逆に武富士と故・武井保雄元会長を訴えた裁判では、昨年、120万円の損害賠償を勝ち取った。

武富士裁判は、三宅勝久著『武富士追及 言論弾圧裁判1000日の記録』(リム出版新社)がくわしい。
 「オリコン裁判」を支援しているジャーナリストの三宅勝久氏は、「週刊金曜日」に発表した記事が名誉毀損にあるとして、大手消費者金融「武富士」から総額1億1000万円の損害賠償請求を求められた裁判の被告だった。昨年勝訴したものの、いまも武富士裁判を思い出すとき、大手マスコミが武富士を批判しないという絶望感、被告になった当事者の精神的苦痛が理解されないという孤立感にさいなまれているという。
Digest
  • 簡単でいいかげんな訴え方
 前回のオリコンうがや訴訟1「まともに議論すると分が悪いから訴えたんでしょう」に続き、「このままではオリコン裁判の被告になった烏賀陽さんも、自分のようになってしまう」と危惧する三宅氏に、名誉毀損訴訟がひとりのジャーナリストに与えた心のキズを語ってもらった。

◇「すべて嘘だ!」と言い続けた武富士
--三宅さんは大手消費者金融「武富士」の非人道的な取り立ての実態を『週刊金曜日』に発表したことで、名誉毀損で総額1億1000万円の損害賠償請求訴訟を起こされました。その法廷の経験から、今回のオリコンがジャーナリスト烏賀陽弘道さんを訴えたことをどうお考えになるのかをお聞かせ頂きたい。

■「オリコン訴訟」のくわしくは、うがやジャーナル
■当たったか?外れたか?検証「武富士裁判を占う」

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「CNET JAPAN」より。小池社長は、「ライター烏賀陽弘道氏への提訴」について(平成18年12月21日)では、「烏賀陽氏に限らずこれは全てのメディアに対しても同じ姿勢です。」と言い、オリコンについて批判したら同じく提訴すると脅している。
三宅 2003年3月に提訴され、反撃訴訟で勝訴が確定したのが昨年2006年10月ですから、「記事は事実無根だ」という汚名を晴らすのに3年7カ月かかったことになります。

 裁判が終わってようやく冷静に振り返ることができるようになったんですが、訴えられて当事者になると、目の前の裁判のことしか見えていませんでした。

 わたしは、武富士のひどい業務実態や労働者イジメなど、大企業の体質を問いただそうとして、ひとつの作品として「武富士残酷物語」など3回のルポを書きました。ところが、法廷では記事を文節ごとにバラバラにされ、15にもわたる「争点」について「真実か、否か」を検証することになってしまったんです。

 「武富士という会社はおかしいんじゃないの?」という問題提起をするつもりで書いた。記事のなかには、当然いろんな「事実」が含まれています。わたしが直接見た事実、体験者から聞いた話、そしてもちろん伝聞も混じっています。

 それらを一つ一つバラバラにして「これは真実か? 真実でないか?」「次にこれは…」という調子で、検証が行われたわけです。

 違和感がありましたね。このような争い方自体がナンセンスです。記事が何を問題にしているのか、何を問い掛けているのか、という本質を問わないまま、ひたすら「各論」検証の繰り返し。緻密な作業をしているようで、とても雑で幼稚な議論に思えてなりませんでした。

 裁判で武富士は、なんの根拠も示さずに「すべて嘘だ!」と言いつづけました。 もちろん、なにひとつ嘘を書いたつもりはありません。

 嘘だと言われた側からすれば、当然「嘘じゃない」と証拠をもって反論する。すると、今度は証拠や証人について「嘘だ」と言ってくる。あほらしいですよ。でも黙っていたら負けるから、「『嘘じゃない』という証拠は嘘じゃない」と再び反論する。それでも懲りずに「嘘だ」と…うんざりするほど果てしない作業につき合わされました。

 真相はともかく、まず「嘘だ」と言っておいて、相手の反論をみてから言い訳を考える。そういう法廷戦術なのだと分かってきたのは、ずっと後のことです。

 こうやって、落ち着いて武富士裁判について考えることができるのは、裁判が完全勝訴で終わったからです。係争中は細かい争点をどうやって勝ち取るかということばかりに目を奪われて、とても大所から論評したり分析する余裕はありませんでした。

 事情を知らない人に「武富士裁判とは何か」と説明するときも、裁判で争っているように膨大で細かい事実関係を延々と説明してしまったものです。相手に分かりやすく説明したいとは思いましたが、うまくいきませんでしたね。懸命に説明すればするほど、相手がしらけたり。精神的に辛いものがありました。

◇訴える方はただ「全部ウソ」と言うだけ
--それは相当なストレスですね。「三宅さん、いま裁判はどんな感じ?」と気楽に聞いても、詳細に説明してしまうということですか?

三宅 そうですね。争点のひとつは、たとえばこんな感じ。「支店長が暴力的な指導を受けているさまを、ガラスの壁越しに廊下から目撃した」という記述に対して、武富士は「廊下のある支店などない。だから嘘だ」と言ってきたわけですが、現場検証するとちゃんと廊下はある。

 「あるじゃないか」と反論すると、今度は「関西弁を話す社員などいない。だから嘘だ」と。では、関西弁を話す社員が本当にいることを見つけ出して、反論する。すると、次は「取材に応じた社員は素行の悪い人間だから証言は信用できない」という感じ。

 当然、まったくのでっち上げ、誹謗中傷ですよ。でも反論しないと負けますから反撃材料を必死で探しました。すると、指導を行った上司とは、粗暴なことで有名なSという人物であることが、別の社員の証言などからわかってきたんです。

 では、Sがいかに粗暴である人間であるかを立証していく。それでも相手はあきらめず、今度は証人尋問で決着をつけようということに・・・。

 果てしない作業ですが、これも15争点のひとつの、さらに一部分にすぎません。

 裁判中、わたしの頭のなかは、こうした細かい事実でいっぱいですから、他人に説明するときも、延々と順番に説明するわけです。大局的にはまったく考えられないし、説明も不可能。だって、いくら「武富士の提訴は言論弾圧だ」と言っても、15の争点のうち、ひとつでも真実性・真実相当性が認められなければ裁判は負けてしまうわけです。どうやって勝つか、を考えれば、必然的に細かい事象にこだわるざるを得ない。

 ただ、聞いているほうは大変だったでしょうね。説明をはじめると、1時間話してもまだ序の口。

簡単でいいかげんな訴え方

 わたしが執筆した『週刊金曜日』のルポは3回分で10数ページあります。烏賀陽さんがオリコンに訴えられた問題の『コメント』は20行ですが、それでも、その内容が真実かどうかを細かく説明しようとすれば長い時間がかかるはずです。第三者にわかってもらうのは本当に大変だけど、それでも努力はしたほうがいい。

 もうひとつ例をあげます。ルポの冒頭で書いたんですが、愛知県の刈谷市で、耳の聞こえないお母さんが息子の借金で武富士から厳しい取り立てを受けたんです。支払い義務のないお母さんから、ノルマに追い詰められた社員が回収してしまった。

 お母さんは、事件直後に手話で知人に、「武富士社員から強引に集金され、大変に怖い思いをした」と訴えた。弁護士にも相談して、弁護士は強く抗議した。武富士から謝罪に来たが、事実については「違う」と言い張り、そのままになった。関東財務局も調査をして、営業停止処分まではしなかったものの反省文の提出をもとめた。そんな事件です。

 どうみても武富士に非があるのに、「事実無根だ」として提訴してきたわけです。首をひねりましたね。いったいどこがどう「事実無根」なのか。

 法廷がはじまってみて驚きました。武富士は「お母さんは自分から、息子の借金を払いたいと言った。断ったけどあまりにも熱心に言うので受け取ってしまった」と主張するわけです。おかしいじゃないですか。本人は『恐い』と言っているのに。

 ただ、じゃあ簡単に勝てるかと言えば、そんなに甘くない。被害者や通訳の方が武富士に対して強い恐怖心を持っていて、裁判に協力することに不安を感じていたからです。武富士は、その弱いところを人格攻撃も含めて攻め立てる。

 名誉毀損訴訟は、訴える方はただ「全部ウソだ」と言うだけ。あとは相手が出してきた反論をみて、適当に弱そうなところを攻めていけばいい。ずいぶん簡単でいいかげんな訴え方だなと思っています。

◇資料に埋もれて布団も敷けない生活
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オリコンが問題にしている月刊誌「サイゾー」(上)と週刊誌「AERA」(下)の記事

三宅 とにかく、裁判は15の争点を細かく検証していく膨大な作業となりました。

 仮に15の争点について、双方が、議論の応酬を3度やれば、15×3×2=90もの主張が出てくるわけですよ。それぞれの主張にまた膨大な証拠がくっついてくる。

 書面やら証拠やら膨大な資料がどんどん出て来て・・・。内容が深まるのはいいんですが、整理するのが大変です。もちろん、裁判所に出していいない資料やインタビュー記録なども大量にありますからね。

 盗聴事件が騒ぎになってくると、そちらの資料もたまってくる。未払い残業代を求める集団提訴があちこちで起こりだすと、その資料も集める。原告の元社員に会いにいってインタビューをする。その記録ができる。内部資料の提供も受ける…。

 これが仕事で、1件1件収入になるんだったら商売繁盛といったところでしょうね。秘書を雇い、事務所を借りて、整理するところですよ。でもそうじゃない。

 資料を整理して、争点を明確にしないと攻めどころがわからない。四畳半の部屋に資料があふれ、重ねた先から崩れだす。

 「あの資料はどこだっけ」と、夜中にはっと思いだし、朝まで探すこともしばしばありました。みつからないと不安になってね。

 部屋は十数箱のみかん箱と資料袋の山で埋まり、寝る場所も占領されてしまいました。結局、部屋にある資料は整理がつかず、頭の中の記憶が頼りでした。あの問題には、この証拠が使える。この問題にはこれ、とか。

 武富士がいかに荒唐無稽なことを言っているか、裁判をやるほどによく分かりましたね。オタクの世界ですよ。武富士オタク。

 第三者はついていけないわけです。『週刊金曜日』の担当編集者でさえ、あまりの細かい事実関係についていけなくなってしまった(笑)。やむを得ませんよ。編集者はいろんな仕事をしていますが、こちらは、明けても暮れても武富士裁判のことしか頭にないんですから。

 資料に埋もれて布団も敷けない生活。それでも逃げることはできない。

 裁判で闘うということはこういうことなんだなと実感しました。烏賀陽さんも似た苦しみを体験されるかも知れません。

 整理が得意な人がうらやましかったですね。ジャーナリストで、何件も裁判を抱えながら精力的に仕事をしている方がいらっしゃいますが、すごいと思います。

◇批判記事を書かせないための言論弾圧
--いま武富士裁判を全面勝訴で終えて半年経ちました。裁判の最中と、いまとではどんな心境の変化がありましたか?

三宅 2005年6月に、2年3ヶ月ぶりに最高裁で完全勝訴が確定しました(反撃訴訟のほうも2006年10月に勝訴確定)。すーっと気が抜けていきました。そして裁判で争っていた細かい争点をどんどん忘れていったんです。不思議な生理現象でしたね。

 それまでは、関係者の氏名や、事件の日時、場所、証拠の内容など詳しく覚えていましたよ。それが、度忘れするようになった。

 そして、ようやく俯瞰的に「武富士裁判は何だったんだろう」と考えはじめた。「武富士はなぜわたし訴えたのか」と。

--武富士との名誉毀損裁判とは何だったのですか?

三宅 ジャーナリストやマスコミに、会社の批判記事を書かせないための、言論弾圧を目的とした裁判だった。いまだから、公然とそう断言できます。

 勝訴するまでは、「言論弾圧だ」と公言すること自体、怖かった。名誉毀損に問われるのではないかという恐怖があったんですね。事実、訴えることは可能ですから。正直、びびっていたわけです。

 武富士を追及する記事を書くたびにぞっとしたものです。

 裁判を起こされることを想定して書くから、不用意な表現はできるだけ避けるようになる。訴えられても反論できる証拠が固まってから書く。

 ひどい取り立てをされたという話を聞いても、証言だけでは書かない。3時間にもわたる取り立て電話の現場に立ち会い、録音を取ってはじめてそれを記事にしました。

 そこまでやっても、一度起こされると勝てるとは限らないのが名誉毀損裁判なんですよ。

 わたしが武富士について書く記事を読んだ読者は「なんで、取り立てがどうしたとか、こんなに細かい話をいつまでも書くのか」と思ったかもしれません。わたしとすれば、一般の読者より武富士の出方を一番気にしながら書いていたんですから、仕方ありません。

 「ひどい取り立てを受けた」という体験者の証言だけでは、とても記事にできない。訴えられたら負ける。それほど当時の武富士には勢いがありました。

◇人格攻撃を含めて徹底的に叩く
--書くことを仕事にしている三宅さんがそれほどまで恐怖を感じる。それが武富士による名誉毀損裁判だったんですね?

三宅 裁判の戦い方を振り返ると、記事をバラバラにされ、15の争点の真実・真実相当性を検証する作業に入った時点で、半分負けていたと思います。

 武富士の攻め方は、バラバラの事実についてとにかく「嘘だ」と言うわけです。わたしも弁護士も真面目ですから「嘘ではないだろう」と反論しますよ。でも、これは武富士側のワナだったわけです。

 武富士は最初から「嘘だ」という根拠なんか持ってなかったんですね。嘘つき呼ばわりして、こちらの手の内を見極める。それから、立証しにくい弱点を探す作戦だったんです。

 たとえば、ひどい取り立てをめぐる争いで、証言できる元顧客がいたとしても、ひどいうつ病で苦しんでいてとても証人尋問に耐えられそうにないとか。そういうところを見つけ出して、人格攻撃を含めて徹底的に叩くという手法です。

 武富士からすれば、どんなに卑劣な手を使っても、15争点の1つでも勝てばいい。「勝訴だ」と威張るつもりだったんでしょう。周囲の大半の人たち、新聞記者も、裁判の細かい中身を理解できている人sなんかほとんどいませんから、「武富士は三宅に勝訴した。三宅の記事は嘘だったのか」と思われてしまうわけです。

 「嘘だ、嘘だ」は、ふるいにかけて弱点を洗い出すワナ。わたしたちは、そこにまんまとはまってしまった。

 そもそも武富士はなぜ提訴したのか。本当の争点はそこにあります。

 東証一部上場、日本経団連加盟の大企業たるもの、顧客のクレーム、従業員の悲鳴を紹介しただけで、大企業が反論も、釈明もせずいきなり提訴するとはどういう意図なのか。入り口でそうした態度を追及すべきだったと反省しています。

◇大企業が個人を名誉毀損で訴えることが問題
--名誉毀損裁判はジャーナリズムにとって勲章だ、という勇ましいことをいう人もいます。しかし、訴えられたときにどうやって防御するか、という方法論がジャーナリズム側に蓄積されているとは言い難い。

 名誉毀損で訴えられたときジャーナリズムはどのように戦えばいいのか?

三宅 同業者が力を合わせて「カネも影響力も絶大にもっている大企業が一個人の発言に対して裁判を起こすとはひどいではないか」と、訴えることです。

 記事が正しいからいい。正しくないからダメ、という次元で議論すべきではありません。

 カネも権力もある企業が「裁判所で決着をつけよう」と個人を訴えるのは、最初から立場が対等ではないんです。

 大企業は、わざわざカネをかけて裁判しなくてもいくらでも反論することができます。経済効率のいい名誉回復の手段も持っているんですから、まず言葉で反論すべきです。

 「捏造」なり、「事実無根」なり、記事がおかしいと思うのなら、きちんと反論する。メディアの側も反論の機会を提供する。こうやって議論が交わされていくことで、読者はより真相に近づくことができる。つまり世の中のために貢献できるし、会社や消費者の利益にもなる。

 記事が嘘なら、企業は名誉を守ることができるし、書かれた企業の方に問題があれば、その事実を読者の前に示し、会社は問題を改めるきっかけになる。いいことずくめじゃないですか。

 大企業など公的な立場にあるものは、批判に寛容でなければいけないと思います。批判があったからといって、突然裁判を起こすのは「口封じ」目的の暴力です。

◇裁判だらけになったら日本はどうなる
三宅 名誉毀損裁判のいまの実態からいえば、井戸端会議で話したこともすべて提訴しようと思えばできるんですよ。そんな裁判だらけになったら日本はどうなるのですか。

 モノを書くことを職業としていなくても、何かを書いたり話したりするときに、いちいち裁判沙汰を想定しなければいけない世の中を想像してください。「見ざる、言わざる、聞かざる」。そんな社会はおかしい。

 私は武富士裁判で勝ちました。担当した裁判官の判断がまともだったことに感謝してますよ。負けていたらどうなったことか・・・裁判官次第では分かりませんから。

 もちろん裁判で、得たものは少なくありません。「武富士の三宅」といわれて、少し有名にもなりました(笑)。武富士のおかげです。

--三宅さんは1億1000万円の損害賠償請求額で訴えられました。もし仮に裁判で負けていたら1億円1000万円支払うことになったのですか。そうだとしたら、自己破産になりますよね。

三宅 敗訴したとしても私が武富士に1億1000万円を払うことは絶対にあり得ません。せいぜい何十万円でしょう。仮に、すべての記事が100%のねつ造、フィクションだったとしても1000万円はいかないのでは。

--日本の大企業が名誉毀損で個人やメディアを訴えることは以前よりも増えているのでしょうか。

三宅 昔はメディアが強かったので、企業がメディアや個人を訴えにくかったと思います。弁護士も引き受けなかったでしょう。大企業が大人気ないと、逆に恥をかいた。きっとメディアがそれだけ強く、企業や権力の監視役としての機能をいまより果たしていたんでしょうね。

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オリコンが指定してきた「謝罪広告」と「掲載条件」

 いまはカネをかけても名誉毀損裁判を起こすことで、スキャンダルや不祥事を隠すことができると企業は本気で考えているのではありませんか。株主や消費者へのいい訳にも使えるし、便利だと。不祥事が暴露されて株価が下落するのを防ぐために、真相はともかく裁判を起こして株主の追及を交わした。武富士の場合もそんなふしが感じられます。

◇オリコンに後悔させることが大事
--烏賀陽さんがオリコン裁判で勝つにはどうしたらいいのでしょうか?

三宅 烏賀陽さんのケースがわたしと違うとすれば、自分で書いた記事で訴えられたわけじゃない点です。佐高信さんのいう「訴訟テロ」の手口が、いよいよ“進化”してきたかと。『サイゾー』編集部の書いた記事のなかの、20行のコメントが名誉毀損で訴えられたわけですから。

 この手の裁判で勝つためには、訴えてきたオリコンの側に後悔させることがなにより大事です。

 「裁判なんか起こすんじゃなかった」
 相手にそう思わせるにはどうしたらいいか。

 わたしは、この裁判を、オリコンという会社を徹底解剖する格好の機会にするしかないと思っています。解剖の結果、問題があれば世の中に問い掛けていく。勝つにはそれしかないと思う。

 オリコンが「もう裁判はコリゴリだ」いうくらいにオリコンという会社を調べてあげるしかありません。裁判を起こしたんだから、それくらいの覚悟はできていなければなりません。

◇証人尋問で社長に質問できる
--オリコンのランキングデータの信憑性が疑わしいという事実を法廷でも暴き、メディアでも書き続けていくことが、オリコン裁判で勝つための戦術ということですか?

三宅 そうですね。烏賀陽さんの指摘した事実が本当かどうか。そもそもなんで裁判起こしたのか。せっかく裁判にお金をかけているんだから、お天道さまの下で、お互い真相を明らかにしようじゃありませんか、と。結果、オリコンと烏賀陽さんのどちらが得をするか、という話だと思う。

 騒ぎが大きくなり、真相を世に問うことでオリコンが名誉を守れるならば、オリコンもお金をかけて裁判をした甲斐があるでしょう。逆にオリコンが裁判で恥をかくことになれば、次回からは別の方法を考えるはずです。

 一般の消費者からみれば、企業の実態が明るみにでるのはいいことですからね。

 金銭面では企業に対して個人は絶対に勝ち目はありません。訴えられると、お金もかかる、時間も奪われる。個人はダメージを受けてしまいます。

 わたしは、武富士と武井保雄元会長に対して、違法提訴による損害賠償を求める反撃訴訟を起こしました。裁判所は違法性を認めて120万円の損害賠償を認めました。

 前例の少ない画期的な判決だったんですが、実際、120万円では到底損害を回復するにはほど遠い。弁護士費用や経費ははるかに掛かっているわけです。カネの面だけをみれば、「勝ったけど負けた」と言えます。

 武富士にすれば裁判費用など問題ではありません。確かに完全に負けたけど、社会的に見れば大してダメージを受けたわけではない。むしろ大メディアを中心に「武富士とはかかわりたくない」という気分をいっそう広げる効果を得ました。

 昨年、サラ金関連の法改正があり、マスコミがようやく批判キャンペーンを少しやりました。わたしも「武富士」の問題について少し協力したんですが、録音や物証があるきわめて固い事実でも「武富士」という名を出そうとしませんでしたね。そのマスコミとは、テレ朝「スーパーモーニング」と毎日新聞

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■オリコン訴訟の詳細は、うがやジャーナル
■第1回口頭弁論期日:2007年2月13日午後1時10分~。東京地裁709号法廷