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第二の道路公団・UR 3兆円損失の責任とらず、税金無駄遣い続く

情報提供
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現在のトップ・小野邦久
【建設省名鑑(時評社)より】
平成11年7月
 建設事務次官
平成13年1月
  国土交通事務次官
平成13年7月
  国土交通省顧問
平成14年6月
財団法人不動産適正取引推進機構理事長
平成17年10月 UR理事長
 UR(独立行政法人都市再生機構)は、ニュータウン事業の失敗で3兆円もの損失を出すなど、総額14兆円以上の負債を抱えるが、誰も失敗の責任をとらず、いまだ役人の天下り先となって高い給与が支払われている。元国交省次官で現理事長の小野邦久氏の責任は重く、即刻、更迭したうえで組織を廃止、清算しない限り、赤字垂れ流しは止まらない。これを放置したままで消費税増税はありえない。税金無駄遣いの象徴である千葉ニュータウンを現地取材した。
Digest
  • まだあるのか!?
  • 衣替えの連続
  • 「民間でもできること」に税金1500億、借金14兆
  • 3兆円の損失
  • 黒塗りの文書
  • 私腹を肥やす職員や関連企業
  • 最も責任が重いのは小野邦久・元次官(現UR理事長)
  • 半世紀の無駄遣い、千葉ニュータウン
  • 2分で電車賃4百円、橋を新設
  • 隔離された団地、客のいないモール
  • URの話を信じて夜逃げする業者

まだあるのか!?

 「まだあるのか!? との思いを深くする」

25年以上前から特殊法人の改革に深くかかわってきた元総務庁の稲葉清毅氏に、筆者が101ある独立行政法人のリストを見せたときの言葉だ。

この、同氏が指した独立行政法人こそ、UR(独立行政法人都市再生機構)だった。とうに役割を終えていながらしぶとく存続し、税金を無駄遣いし続けている団体である。

衣替えの連続

URは、都市再開発や賃貸住宅の管理などを行う国交省最大の「箱モノ利権組織」で、そもそものはじまりは、戦後の家の不足した1955年に日本住宅公団として発足。その後、団地を供給し続けて、1980年代には家不足が解消されて役割が終わったにもかかわらず、1981年に住都公団と名前を変え、相変わらず家を作ってきた。

1999年には、分譲住宅の売れ残りが大量に出て社会問題化し廃止が決まったが、その代わりに今度は都市開発に重点を移し、「都市基盤整備公団」と名前を変えて延命。

小泉改革でも、「先行7法人」のなかの1つとして道路公団などと共に廃止と言っていたにもかかわらず、2004年に、無傷のまま「UR(都市再生機構)」と名前を変え、生き延びてしまった。

そして今もまさに独立行政法人の改革が進められており、年内には全独立行政法人がゼロベースで見直されることになり、今年10月24日に行われた内閣官房行革推進本部の行政減量・効率化有識者会議で、「民間や地方公共団体でも十分できるものまで行っているのではないか」と指摘されるなど、URは非難の的になっている。だが、今までの行革の結果を考えると、どうせまた名前を変えるだけで終わりになりそうなのだ。

「民間でもできること」に税金1500億、借金14兆

URの主な業務内容は、タワーマンションなどの賃貸住宅の建設、管理や、土地造成や道路、公園、ビルなどの再開発、宅地造成のニュータウン事業などで、どれも明らかに民間でできることばかり。公的機関がやる必要性はないにもかかわらず、毎年1500億円以上もの税金が投入されている(2006年度1528億円)。それたけではない。積もり積もったムダな事業の失敗のツケは膨大で、負債総額は14兆7111億円(2006年度末時点)に上る。

3兆円の損失

URの事業の中でも特にムダなのは、「ニュータウン事業」だ。ニュータウンとは、高度経済成長期の住宅不足対策の一環で、全国の都市部周辺の人口の少ないエリアに居住地をつくる計画。URが中心となって、これまで全国150地域で総額5兆9,300億円もの金を注ぎ込んできた。

しかし、これが大失敗で、売れ残った土地の地価が下落し、評価減によって、04年時点で2兆9,100億円の損出、さらに05年に1,352億円、06年に941億円の損出を出し、トータル3兆1,393億円もの、とてつもない巨額の損失を計上している。

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ニュータウン事業の3兆円の損失の内訳を情報公開したところ、「内部文書に付き取扱厳重注」と書かれた黒塗りの書類がURから送られてきた。

黒塗りの文書

国民の金を使ってこれほど巨額の赤字を出しておきながら、URは、どの地区のニュータウンで損失を出したのかすら明らかにしていない。ニュータウン事業の損失の内訳を情報公開請求したところ、「内部文書に付き取扱厳重注」と書かれた黒塗りで真っ黒の文書が送られてくるだけだった。

私腹を肥やす職員や関連企業

驚くべきことに、URの事業の失敗の責任は、誰1人取っていない。それどころか、4,188人いるUR職員の給与は異常に高い。職員の平均年収は858万円(2006年度時点)と、公務員の平均と比べても147万円も高い。50歳の平均年収は1,000万円を優に超え、退職金も職員1人平均2,649万円に上る(2006年度時点)。

さらに、URが出資している天下りのファミリー企業が37社(職員数は計約4,400人)もあり、URとの取引でぼろ儲けしている。たとえば、UR賃貸住宅の維持管理をしている日本総合住生活(株)の昨年度の売り上げは1,610億円、剰余金は251億円に上るといった具合だ。これはまさに道路公団と同じ構図である。

最も責任が重いのは小野邦久・元次官(現UR理事長)

ニュータウン事業の失敗などで14兆7,111億円もの負債をつくった責任は多岐に渡るが、中でも最も責任が重いのは、実質的な権限を握っていた国交省(旧建設省)の歴代の事務次官だ。

特にURの理事長のイスは、事務次官の天下り先の指定席になっており、今現在も、国交省の元次官の小野邦久氏が理事長に居座っている。ムダな事業は、現在進行形で進んでおり、現理事長の小野氏は、真っ先に責任を取らねばならない。歴代理事長も同様に退職金の返還など責任を明確にすべきだろう

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千葉ニュータウン沿線の「印西牧の原駅」に新たに建設する鉄橋。ガラガラにもかかわらず、13億円かけて建設する。

「印西牧の原駅」北口に広がる、売れ残った、さら地。

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読者コメント

tarou2008/09/17 23:34
yoshiro2008/09/17 09:57
冬柴大臣は抵抗勢力2008/02/01 02:51
そもそも2008/02/01 02:51
URER2008/02/01 02:51
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