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トヨタエスティマの危険な燃料漏れ、リコール隠しの疑い ユーザ訴えに国交省・マスコミ動かず

情報提供
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「燃料漏れエスティマ」で斉藤さんが自宅の敷地内で再現実験した際の写真。エンジンをかけて約1時間後に軽油が大量に漏れ出し、火を点けてみると燃え上がった
 アイドリング中に大量の燃料漏れを起こしたトヨタのエスティマを、部品加工業のユーザーが再現実験を行い燃料漏れを確認、トヨタに調査を依頼し原因を尋ねると、なぜか無料で修理するという。別の販売店に確かめると燃料漏れの内部情報が出されていることが分かり、いわゆる「闇修理」の疑いが強まった。燃料部分という命に関わる故障が公表されず、リコールにもならないのはなぜか。関連資料を国交省やマスコミに送ったが、闇に葬られたままだ。ユーザーに経緯を聞いた。

 被害を受けたのは、三重県在住で部品製造業を営む斉藤公義さん(仮名・55歳)。30年以上のキャリアの中で、何億個もの金属部品を加工してきたノウハウを持つ。

 度重なる故障が起きた車種は、斉藤さんが中古で購入したトヨタの「エスティマ エミーナ」1993(平成5)年型。四輪駆動のディーゼル車だ。

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■ワイパー故障関連

高速走行中に破損したワイパーの写真(上)。厚みの薄い部分がまずちぎれて、その部分がぶらぶらになった後折れたのだという。トヨタからは破損の原因に関する手書きの説明書を受け取ったが納得できなかった。見積書(中)の金額をいったんは支払ったが、トヨタからの手書き説明書(下)にもあるとおり、トヨタからの修理代返金願いを受け入れた。
◇ワイパー故障でのトヨタの不審な対応
 斉藤さんの車に最初に不審な故障が起きたのは、ワイパーの接合部分だった。

 1999(平成11)年1月頃、高速道路を走行中にワイパーの動きが悪くなり、うまくフロントガラスを拭けなくなって、前がよく見えない状態に陥ったという。

 「雨か雪が降っていました。ワイパーの接合部分がちぎれてしまったので、拭くには拭いていたが、ワイパーの動きはもうがたがたでした。どしゃぶりではなかったので、自宅までなんとかたどり着けましたが」

 エスティマを購入した三重トヨタに修理を依頼した斉藤さんは、破損したワイパーを持ち帰って写真を撮った。金属加工の専門家として、故障箇所に不審を覚えたからだ。

 「ここでちぎれて、ここで折れている。ここでちぎれたことによって、ぶらぶらになって、その結果折れたのだと思います。厚みが薄いから、ひきちぎられた。片方のパイプの厚みは約1.2ミリ、もう一方は約2ミリだったと思う。厚みの違う部品を溶接した場合は、0.8ミリも厚みが違ったら、同じ強度でないとこちらが勝ってしまうと思います。普通の人にはわからないが、私はプレス加工をしている経験からそう思います」

 2月24日に三重トヨタからワイパーリンクフレーム取替えの見積書が出て、代金10,500円を支払った斉藤さんだが、故障箇所とその原因が納得できないため、三重トヨタに調査を依頼した。

 「そうしたら、無償でけっこうです、と言ってきました。通常なら、故障で修理した場合には修理代を払うのは当然なのに、今になってなぜ、無償でいい、となるのか。納得できないので、説明に来てくれ、と三重トヨタに伝えました」

 斉藤さんの要求を受け、3月5日に三重トヨタの営業所の社員が斉藤さん宅に来て、手書きの説明書を持参しながら説明した。その要点は以下のとおりだった。

*ワイパーは実際に折れているので、何か理由はあるかもしれないが、同じような故障が一杯出ている事はない。

*93年(平成5年)8月の設計変更時に、コストダウンの目的で溶接方法を変更したが、その結果生じた異音を解消するため、今回交換した部品のように前側に溶接を追加した。折れるから変更したのではなく、異音の対応のために溶接追加した。

*預けていただいた部品はメーカーへ送り今後の参考とさせていただくので、修理代金は返金したい。

 「返金をさせてくれ、と言われたが、自分とこが悪くないのならそんな必要はないだろう、と言ってやりました。

 その後で、今度は所長が修理代金を返金させてくれ、と頭を下げてきました。しかし、最初に修理代金を受け取ったのに、自分のところが悪くなかったら後から返金する必要はないはずです。

 向こうが引き取った部品も返せと要求したのですが、所長に、ワシの顔に免じて勘弁してくれ、と言われて、こちらも、今後も車を見てもらわないと困るので、修理代の返金を受けることを了解しました。部品を返してもらうことはしませんでした」

 その後も、修理したエスティマを使用していた斉藤さんだが、ワイパーの故障から4年が過ぎた2003年(平成15)1月20日に、より重大な故障が起きた。

◇大量の燃料漏れ発生、トヨタ調査結果に納得できず
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<上から7つ目までの画像>
■1回目の燃料漏れ
大量の燃料漏れを起こした部品をすぐに取替え、修理代金を支払ったが、6月5日の写真付きのトヨタ側の説明にも、6月10日の再説明にも納得がいかなかった斉藤さんは、他の販売店で燃料漏れに関する情報を聞き出し、関連資料一式を国土交通省に送り調査を依頼した。しかし、国土交通省は調査を行わず、資料を送り返してきた。

画像上から、修理代の領収書、カバーガスケット回収調査結果、三重トヨタサービス部部長から、お客様関連部大田氏手書き報告書、お客様関連部大田氏再回答、トヨタ納品請求書、国土交通省自動車交通局技術案全部審査課リコール対策室から戻ってきた書類。

<一番下の画像>
■2回目の燃料漏れ
 2年後に二度目の燃料漏れを起こしたが、一度目の修理を担当した三重トヨタが点検修理を拒否したため、他の販売店に見積もり(一番下の画像)を依頼。高額のため修理を断念し、廃車にした。


 電車に乗るため、前の晩からサービスエリアに車を停めて、車内で眠っていた斉藤さんは、寒かったのでエンジンをかけて暖房をつけていたが、夜中にひどく燃料臭くなったので、ふとメーターを見ると、満タンにしていたはずなのに、目盛りが半分になっていたという。

 「外に出て見てみたら、燃料がぽたぽた垂れている。こりゃえらいこっちゃ、ということでエンジンを止めました。冬の最中に暖房も効かないので寒くて寝られず、朝まで車の中で一睡もしないで家に帰り、トヨタに電話しました」

 トヨタからは、すぐに取りに来るとの答えがあったが、以前のワイパーの件もあり、その答えを聞いて逆に不審に思った斉藤さんは、修理に出すのを少し先に延ばして、自宅の敷地内で自ら再現実験をしてみた。

 1時間ほどエンジンをかけただけで、油がぽたぽた漏れ出して、熊の姿みたいな形に軽油が溜まりました。

 今までこの車で、北海道に行ったりフェリーに乗ったりしていたし、燃料漏れのすぐ前にも大阪に行って、名阪の交通量の多いトンネルも通っていました。その時に燃料漏れになって火がついたら、たいへんなことになっていたかもしれません」

 その後、修理をしてもらった。修理代自体は3,290円という小額ではあったが、燃料漏れという現象は、前回の故障にも増して命に関わる問題だ。トンネル内で車両火災が起きれば、以前にあった東名高速での車両火災事故のようになる可能性もある。

 しかも、燃料漏れの数ヶ月前にはこのエスティマを三重トヨタに車検に出していた。そこで斉藤さんはすぐに三重トヨタに調査を依頼した。

 その依頼に対し、6月5日にトヨタ本社から「ガバナカバーガスケット回収調査結果」という写真付きの報告書が提出され、トヨタ自動車お客様関連部の太田氏が菓子折りを持って説明に訪れた。

 内容は、長期間の使用によりガバナカバーガスケットが熱硬化、へたり等、経年変化したことによりシール機能が低下したため、との回答だった。その報告書を見ても斉藤さんは納得がいかず、再度の説明を求めた。

 「菓子折りは、もらう必要がないから持って帰ってもらいました」

 6月10日になって再度、トヨタ自動車お客様関連部の太田氏が説明に訪れた。

 「部品がこんなにねじれているのはなぜか、と聞いたら、膨潤による変形です、と答えました。長年の使用により油が浸み込んで変形した、と。そんなことになるはずがない、そういういい加減な説明をお客さんにするな、と言ってやった。

 その説明が正しいのなら、この場で書いてくれ、と手書きの説明書を書いてもらいました」

 斉藤さんの疑問に答え切れなかった太田氏は、いったん営業所に戻り、所内で検討した上で、その日のうちに再度の回答書を持参して斉藤さん宅を再訪したという。

 その回答書は以下のような内容だった

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■マスコミの対応関連資料一式をマスコミに送ったが、新聞社も雑誌社もトヨタへの取材を行わず、資料を送り返してきたという。一度目の燃料漏れに関する取材依頼に対しての読売新聞の返答と、二度目の燃料漏れ後に斉藤さんが朝日新聞に送った手紙と、それに対する返答。講談社にも二度にわたり送ったが取材に至らなかった。画像上から、読売新聞、読売新聞大阪本社読者センター、朝日広報室、朝日新聞広報部長、講談社フライデーから。

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