20代会社選びは「仕事」ありき 「働きやすい高収入企業」の落とし穴
プレジデント編集部作成の、働きやすい高収入企業トップ30。「低離職・短残業・有給消化・長勤続年数が長い」という各指標から。 |
- Digest
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- 「仕事」の視点がボトルネックになる
- 人生のステージ設計が必要な時代に
- 1stステージでは、全て基準が逆になる
- ステージごとに会社選びの基準軸を明確に
【Digest】
◇「仕事」の視点がボトルネックになる
◇人生のステージ設計が必要な時代に
◇1stステージでは、全て基準が逆になる
◇ステージごとに会社選びの基準軸を明確に
30社のランキングは、東洋経済新報社のデータをもとに、平均年収、平均勤続年数、平均残業時間、有給休暇取得実績、3年後離職率の偏差値を、40:15:15:15:15のウエイト付けをして平均したものを、高い順に並べたものだという。
平均年収は、有価証券報告書や社債発行時に公表を義務づけられているデータなので、ばらつき(総合職と一般職など)はともかく、嘘をつくと大問題になりかねないから、そこそこ信用できる。だがそれ以外については、要するに東洋経済が各社にアンケートを配って回収したものだ。
もちろん、残業時間にはサービス残業が当然入っていないし、有休休暇も「取得したことにして出勤する」ことがよくあるし、離職率にしても私が実際に聞いた話とは大いにギャップがあるデータがある。つまり大本営発表に過ぎない訳だが、編集部もそれは承知のうえで、参考データとして作成したのである。
上位100社まで。東洋経済新報社のデータをもとに、平均年収、平均勤続年数、平均残業時間、有給休暇取得実績、3年後離職率の偏差値を、40:15:15:15:15のウエイト付けをして平均。データ提供元の東洋経済自身は、平均年収1243万円、3年後離職率はなんと非公表(-)となっている。 |
右記が上位100社である。それはそれで参考になるので、自分が勤める会社、同じ業界の会社、志望する会社がどのような位置づけなのか、確認してみるとよい。「こんなはずはない」というデータもあるだろうが、これは大本営発表の限界である。
「仕事」の視点がボトルネックになる
数字で分かりやすいために、とかく給料にばかり目が行きがちだが、私は「仕事」「生活」「対価」という3つの枠組みから会社を評価して選ぶことを提唱し、ニュースサイトで企業評価を連載している(5冊の本にもなっている)。
たとえば、給与偏差値が高くランキング1位になっている三井物産について言えば、昨年から事実上の全寮制が復活し、新入社員の同期112人中、9割超が、半強制的に指定の独身寮に入った。若手社員によれば、会社側からは「薄まってきたタテヨコのつながりの強化」が狙いだと説明されているという。
これは「生活」という視点から見ると、見過ごせない。オンもオフも常に同じ時間を過ごし、休日も寮のイベントに強制参加することにストレスを感じなかったり、そういうノリが好きな人も確かにいるから、こういう会社があってもよいが、一方で「住む場所も選べないんじゃ奴隷じゃないか」と思う人もいる。(三井物産でかつて「独身寮の新人に酒を飲ませて長距離走をさせる」という慣習があり、90年代半ば、レース中に死人が出た事件はその延長だ)
また、このランキングでは「仕事」の視点が出てこないが、むしろ、若い時点では、<やりがい><キャリア>といった「仕事」の切り口で企業を選ぶことが最重要と言ってよい。なぜなら、これからの時代は、まず「仕事」を高められない人は、それがボトルネックとなって、「生活」も「対価」も着いてこないからだ。
人生のステージ設計が必要な時代に
なぜ仕事視点が重要なのか。
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『PRESIDENT』4/14発売号『給料格差新・図鑑』原文。
Work,Life,Moneyの3点のバランスが重要である
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読者コメント
なるほど、日本崩壊が叫ばれるがこれで崩壊しないほうがおかしい、というのも納得。
日本企業の弱体化が進むのは当然です。
国際競争の激化や少子高齢化といった外部要因だけが理由ではないですね。国が滅びる時は内部から崩壊します。
その時に頼って詫びても救いはもたらされないでしょう。必要自体ありません。
自分の為には他人の権利や迷惑なんて気にも掛けずに違法行為でも何でもやりますよ。歯止めが掛からないのは、上から腐っているからでしょう。
それでも誤魔化して組織を持続させることは可能ですが、マイナスであることは確かなのでそれを誤魔化し続けられるかどうかですね。
むろん、企業はトリックめいた手法を使って衆目を騙そうとします。それを見破れない人が多いですね。
社内は不正が蔓延り、中間管理職や役員の一部は自己保身しか考えておらず、"部下の手柄は自分のもの、失敗の責任は部下のせい"とする理想とは正反対のタイプが困ったことに多いみたいです。またこの手のタイプが悪事に手を染め、ヨイショが上手くて出世したりするものだから、社内のモラルは壊滅状態だったりします。
元来、日本は昔から指導者層の出来が悪いと外国から指摘される国民性ですが、灘中高の中でも出来る連中は学生時代から教師の出来が悪ければ追い出すといった芸当をやってのけるそうです。
株主の方々には、経営や不正に対する監視や積極的な口出しをお願いしたいものです。
立ち去る問題に関しては、以下の記事がうまく分析をして個別企業の対応策を紹介しています。
主には、人事制度やその仕組みに掛かっていると思います。
優秀な技術者が集うのは?
本当は楽しいIT業界――すてきなテクノロジ・ベンチャーの作り方
www.atmarkit.co.jp/news
/200803/07/tech.html
学力面における国際ランキングでは、無駄な競争を排して各生徒の得意分野を伸ばす教育を施した北欧国(フィンランド?)がトップに立ったと聞きます。
また、企業や上司らのご都合主義に行き過ぎた面があるのも原因でしょうが、東京一極集中などの社会的な問題も背景にある場合が多いのではないかと思います。
残念ながら、長らく日本の企業は業績維持に苦慮して社員に負荷を押し付けるばかりで、企業も上司らも社員を育成する努力もせずに権利を主張するばかり。働き易さや満足度の高さとは程遠い職場が多いのではないでしょうか。
企業組織は軍隊を模倣して作られましたが、果たして上手く行っていると言えるのでしょうか。
必要十分にしてコンパクトにまとまった就職指南書やその添付書類(業界や企業の分析資料等)を見たことがありません。
一般に販売されている書籍や大学側の提供する資料では十分とは言えません。高校や予備校が提供する大学進学資料の方が余程しっかりしているのには問題があります。
問題解決に向けて頑張って挑戦して下さい。
プレジデントの読者には企業経営者クラスが多いとすれば、左記の企画記事の趣旨は高収入企業の中でも働きやすさを実現しているランキング上位の会社を読者に紹介して参考として貰うことに恐らくあるのでしょう。
コラム執筆を求められたのは、それに対する若手の意見を聞きたかったり、給与以外の多角的な視点で会社選びをして欲しいといったメッセージや希望があったからではないでしょうか?
人によって嗜好性や経歴等が異なるのですから、ケースバイケースで一概に言い難い面があるのは言うまでもないでしょうね。
就社ではなく就職を、といった意見もよく聞かれますが、まともに遵守すれば、何度も転職する羽目になりがちでしょう。結局、生涯賃金は下がってしまうはずです。
色々な注意点を知った上で後は自分で判断するしかない問題ではありますね。
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