日立とNECを比べると、若干、NECのほうが成果主義的であり、日立は年功序列色が濃い。同列のポジションを比べると、たとえば同じ新任課長クラスで、NECが900万、日立が1000万と、多少、日立のほうが給料は高めではあるが、50歩100歩の世界だ。(本稿は渡邉が書いた『プレジデント』4/14発売号『ライバル対決!「年収と出世の階段」全図解』元原稿の第2弾です)
【Digest】
◇NEC vs 日立
◇事業部別のボーナス差「運だけ」?
◇野村證券 vs ゴールドマンサックス
◇30歳だと野村の3倍は普通のゴールドマン
◇NEC vs 日立
NECの給与水準は、決して高くない。30代前半の主任では、裁量労働制のため残業は20時間分でほぼ固定化され、月収は30万円代半ば。年収600万円程度と、普通である。
早い人で35歳くらいから管理職の課長となるが、管理職は全員が7段階の「グレード制」のなかに位置づけられ、課長はグレード(G)6からスタート。グレードごとに月収は全く同じで、G6はある年で55万円だった。差はボーナスで付けられるが、平均すれば、年収900万円程度からのスタートとなる。
通常は40歳くらいで課長に昇格するため、要するに大卒なら40歳で900万円が普通だと考えてよい。その後は、仕事上の成果をあげてGをあげないとほとんど給料は変わらないので、NECで年収1千万円を貰うのは、少々難儀である。G5が部長。G4は事業部長代理と統括部長で、事業部長はG3かG2。
|
日立製作所の出世の仕組みと報酬水準の図解
|
|
一方、日立でも、2004年に成果主義が一部導入され、給料を決める最大の要因は、年をとることではなく、早く昇格して「級」を上げることに変わった。
まず、院卒5年目(大卒7年目)に6級に上がるのが一般的で、30歳では、ほとんどの人が6級。社員によると、平均的な年収は、月収が本給27万円、裁量勤務手当てが15万円で、計42万円ほど。ボーナスが年間およそ130万円で、年収は630万円程度になるという。
次が、組合員の一番上となる5級。主任のなかから、最短で院卒8年目に昇級する。これで年収が750万円ほどになる。次の4級から管理職扱いとなり、1,000万円を超える。肩書きは課のトップではなくとも「課長」だ。早い人で35歳、最短で33歳という例もあるようだが、通常は40歳くらいで、同期でも大きく差がつくところだ。
次の3級が部長で、業績によるが、1,200万円くらいから。トップ昇進組は40歳前での昇格もアリである。2級が本部長相当で、ベテランの課長より若いケースもある。主任までは年功序列が守られており年齢の逆転現象はほとんどないが、管理職以上になると、年下の上司はよくあるという。
◇事業部別のボーナス差「運だけ」?
なお年収は、所属する事業部(ビジネスユニット)の業績にも左右されるのが電機業界の特徴。NECも日立も、総合電機メーカーとして様々な事業を行っていることから、社員が所属する事業部の業績によってボーナスに差をつけている。30歳程度だと、年間で数十万円の差がつく。
例えばNECでは、連結営業利益でボーナスの原資が決まり、ビジネスユニット単位でプラスマイナス10%の差をつけ、さらに事業部単位で、A~Fまでランクして差をつける。30代前半の主任の場合、約100万円強のボーナスのうち、約40万円が所属する組織の業績で変動する.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
野村證券の出世の仕組みと報酬水準の図解
|
|
|
ゴールドマンサックス證券の出世の仕組みと報酬水準の図解
|
|
