◇鉄道駅で３８１人が死亡　自殺が最多　０８年度
　開示されたのは、鉄道各社が国交省に提出した事故報告のリスト。２００８年度に全国の鉄道の駅で起きた人身事故や輸送障害７９２件について、発生日時、路線名、駅名、事故内容、死傷者数、運休本数や遅延時間などが、１件ごとに記録されている。

　０８年度は、鉄道の駅で乗客・利用者が関わった事故や輸送障害は全国で７９２件が発生、３８１人が死亡し、２８６人が負傷した。原因別では自殺が３５５件ともっとも多く、ホーム上での接触１６２件、線路内立入り９７件、ホームから転落５３件、妨害３１件、線路内支障１１件、構内通路直前横断２件、その他８１件となっている。

　原因別に死傷者数を見ると、死亡したケースでは、自殺は２７８人でトップ、線路内立入りで６５人、ホームから転落して轢かれた２３人が死亡していた。負傷者数ではホーム上で接触が１６７と最多。自殺したケースでは７７人が負傷している。リストには負傷の程度は記されていない。

　事業者別では、ＪＲ東日本２６３件、ＪＲ西日本１３６件、ＪＲ貨物３６件とＪＲグループが上位３社を独占。４位以下は東武３０件、東急２９件、東京地下鉄２８件など。貨物を含むＪＲ７社だけで計４９４件あった。

　都道府県別では、半数近い３６６件が東京、千葉、埼玉、神奈川の１都３県で発生していた。東京だけで２１２件あり、大阪、京都、兵庫の３府県を合わせた１６７件よりも多かった。

死亡者の多かった路線　１〜３位

人が死ぬ路線ワースト10。噂どおり中央線が多い。

首都圏では、山手線と、山手線に連絡する３７路線を加えた計３８路線で１４２人が死亡していた。

【１位：ＪＲ中央線】死亡者数トップは中央線の２１人。０８年度は東京と高尾を結ぶ３２駅のうち１５駅で死亡者が出ており、とくに高円寺から豊田の間に集中している。この区間には１５駅あるが、三鷹、武蔵小金井、日野の３駅を除く１２駅で計１６人が死んでいる。複数の死亡があったのは御茶ノ水（３人）、荻窪（３人）、西荻窪（２人）、武蔵境（２人）の４駅。死因別では、自殺２０人、転落１人だった。

原因別、事業者別、路線別の内訳（首都圏３８路線の死亡ケース）

　転落があったのは御茶ノ水駅。１月２７日午後１０時３４分ごろ、５０代の男性が酒に酔ってホームから転落、搬送先の病院で死亡したようだ。概要には次のように記されている。

　「今日、中央線で死亡者が出る確率」は５．７５％だった。

【２位：ＪＲ京浜東北線】大宮から横浜までの３５駅で１８人が死亡した。１７人が自殺、１人がホームから転落した後に轢かれた。転落があったのは鶴見駅で、３月５日午前８時１８分ごろ、ホーム端で携帯電話を操作していた人が落ちて轢かれた。

　駅別では、赤羽で３人が死亡したほか、蕨、浜松町、大井町で各２人、川口、西川口、東京、新橋などの各駅でも１人が死亡し、計１３駅で死亡者が出ている。

　「今日、京浜東北線で死亡者が出る確率」は４．９３％だった。

【３位：ＪＲ山手線】山手線では池袋（３人）、東京（２人）、巣鴨（１人）、駒込（１人）、田端（１人）など９駅で１２人が死亡した。すべて自殺による死亡者だった。

　山手線の概要欄には自殺者の年齢について「２０代女性」のように記載がある。内訳は