本当に新聞記事を書いているのは誰?
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"Yahoo! News"の記事(2004/11/30) |
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一字一句、全く同じ内容の、日本経済新聞の記事(2004/12/1夕刊)![]() |
11月30日の夜、元モーニング娘の安倍なつみが盗作を行っていたというニュースを、“Yahoo! News"で見た。そして、翌日(12月1日)の日本経済新聞の夕刊にも同じ内容が載っていた。
ここまではよくある話だが、よくよく見ると、文体や言い回しも含め、一言一句、同じなのである。日経は“Yahoo! News"に記事を配信していない。逆に日経がyahooの記事を盗作しているのか?
事実関係を確かめるため、日本経済新聞社・読者応答センターに問い合わせてみた。
--“Yahoo! News"に出ていた安倍なつみが盗作という記事は、日経に出ていた記事と全く同じなのですが、なぜでしょうか?
「恐らく、共同通信社の配信記事だと思います。」
--通信社の記事を使っているということはどこを見れば分かるのでしょう?
「国際ニュースの場合には、記事の冒頭に通信社の名前が書いてあります。」
--国内ニュースの場合は、なぜ断り書きをしないのですか?
「詳しいことは分かりませんが、大きなニュースについては通信社のニュースを使っていないということではないでしょうか。」
--ほとんどの読者は、日経の記者が書いていると思い込んでいると思うのですが。私もずっとそう思っていました。どの分野の記事が多いのですか?
「国際ニュースが最も多く、社会面のうち地方の事件記事については、共同通信の記事を使うことが多いです。大きな事件では記者が現場に行くが、小さな事件の場合には支社は支局で追いきれないためです。」
--紙面における通信社の記事はどの程度の比率なのでしょうか?
「数値化はしていませんが、だいたい1~2割程度だと思います。」
--なぜ通信社の記事を使用していることを紙面で明示しないのでしょうか?
「詳しい経緯は分かりませんが、国内ニュースは『原則匿名』という慣習が残っています。新聞に載せる場合は一次使用なので、通信社の名前を載せる必要はありませんが、ネットは二次利用なので契約上通信社の名前を載せる義務が発生します。」
--通信社の記事の出所を明らかにする予定はありますか?
「今のところ予定はありません。」
次に、記事の供給元である共同通信社・ニュースセンターに問い合わせてみた。
--新聞社が通信社の記事を載せる場合に、通信社名を明記する必要はないと聞きましたが、本当ですか?
「社団法人共同通信社定款の施行細則第10条によれば、共同通信者が配信した記事を社員(共同通信社は社団法人であるので、社員とは日経などの加盟社を指す)が新聞、有線・無線を通じて供給する場合には、『共同通信』のクレジットをつけないといけません。」
--しかし、実際にはほとんどの新聞でクレジットをつけていませんが、依頼はしないのですか。
「お願いといっても、本当はクレジットをつけるという決まりになっていますので…。かつて産経新聞では共同通信からの配信記事には『共同通信』のクレジット入りで記事を掲載していました。現在では行っていません。」
簡単に言えば、こういうことになる。共同通信社や時事通信社といった通信社が各新聞社に配信した記事が、全くそのままの形で紙面に載ることがある。新聞記事は、必ずしも自社の新聞記者が書いているわけではない。
しかも、共同通信社の定款によれば、通信社の配信記事については、クレジットを入れなければいけないはずだが、日経をはじめとする新聞社は、規則に反して、通信社の名前を明示していない。
したがって、読者がどんなに頑張ってみても、どれが新聞記者が書いた記事で、どれが通信社から配信された記事か、を区別することはできない。紙面のどこにも、説明書きすらない。
業界の人はもちろん知っているだろうが、一般読者は知る由もない。新聞が、いかに読者のほうを向いていないか、がよく分かる。新聞の顧客は、いったい誰なのだろうか?
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「共同通信社の定款によれば、通信社の配信記事については、クレジットを入れなければいけないはずだが、日経をはじめとする新聞社は、規則に反して、通信社の名前を明示していない」おいおい
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読者コメント
面白いのよ。特定事件について、何十件もヒットする。そんで地方紙が、てんこ盛り。中身皆一緒。どうせ共同配信なんだから、共同通信クレジットのを読もうと思ったら無い。グーグルにメールしたら、共同通信とは契約してないだってさ。でも、地方紙で何十件と数稼いで、そりゃ検索直後のインパクトはあるよ、凄い沢山記事有る!って。でも虚しいっす。
は、基本的に共同通信社の配信である。生活欄の連載コラムまで配信している。隣の県の地方紙に同じのが出てる。ぶっちゃけ、フジ製作の垂れ流しを「東海テレビのドラマを宜しく」とか言うのと似てるが、ドラマは最後に、製作フジと出る訳で…。
この記者が言いたいのはむしろニュース元のクレジットが入れられていないのはなんでだろうという疑問なのだろう。ほかにも新聞社や記事によって記者の名前が入っていたり入っていなかったり…。責任は掲載新聞社が丸抱えでネタ元が分からないというのは,情報の受け手からしてみれば記事の吟味がしづらくなる難もある。この投稿記事は,何が言いたいのかをもっとしっかり強調して書いてもらいたかった。
複数のマスメディア等が協力して通信社を立ち上げ(「会社」ではなく「社団法人」となっているところに注意),そこの配信した記事を使う。当然ながら,メディア各社と通信社の間の契約に基づいて配信されている。
新聞記者って、お高いですよね。どこでも、我が物顔でいばっているというか。。。何様?
普通のことです。同じような記事になるの共通ニュースは、むしろ通信社から買う記事に任せており、新聞社の記者はその時間を特ダネ狙いに充てているのです。その方が資産の無駄遣いにならないのです。買った記事は原則として買った者のモノです。海外電は事実と推測する手段が限られるので、通信社電であることを明示し、リスク回避します。
確かロイターも「切り売り型」の新聞社だったかと思います
ほとんどの読者は知らないし、ぼくも入社するまで知らなかったです。読者にアンケートとったら9割以上知らないんじゃないかな。記者の質も社ごと個人ごとで全然違うんだから本来知らせるべき。
社としての責任の元に紙面に記事を載せてるわけだから、自前の記者が書こうと通信社や親会社の転電だろうが関係ないと思うけどね。どうせなら記事のことではなくて「論説資料」のことについて書けば良かったのに。
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