「弟はヤマダ電機に使い捨てられた」遺族が語る、過労死後の無責任極まりない対応
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ヤマダ電機本社も入る「LABI高崎」の巨大なビル。写真のすぐ左側にJR高崎駅の入口がある。 |
「協力する気がないということですね。結局使い捨てですよ」。
そう話すのは、家電量販トップ「ヤマダ電機」の新任フロア長だった弟を、2007年に過労自殺で亡くした兄(33)だ。
弟の清司さん(当時23、姓は匿名)は契約社員からフロア長に抜擢されたが、約1か月後の07年9月中旬、新潟県柏崎市の新店「テックランド柏崎店」の開店準備中に精神障害を発症し、オープン2日前に社宅で死亡した。
労災認定した柏崎労働基準監督署の調べによると、清司さんは死亡前、自分が何をすればいいか分からなくなり、フロア長としての職責を果たせなくなっていたという。
兄が憤るのは、国が労災認定したにもかかわらず、ヤマダ電機がまったく責任を認めないからだ。謝罪もないという。
「社長名での献花はありましたが、謝罪はないですね。地域の統括責任者のような人から、店舗事務所のテーブルに頭を下げて一言二言ありました。しかし、その人も会社に使われている立場ですからね」
家族を代表してヤマダ電機との交渉を担ってきた兄によると、「あの勤務時間は異常としか思えない」「過労自殺にあたるのではないか」として調査を求めると、ヤマダ電機は死亡3か月後の段階で、「業務との因果関係は乏しい」として、労災ではないとする考えを伝えてきたという。
さらに、昨年12月に遺族が損害賠償などの支払いを求めてヤマダ電機を提訴すると、同社は裁判というおおやけの場で、労災認定そのものを「事実誤認」による「誤った結論」と批判し始め、現在、前橋地裁高崎支部で全面的な争いとなっている。
兄は、「ヤマダ電機のCMは見ると腹が立つ」と話す。
「見ようと思っていなくても、テレビをつけていれば突然出てきますからね。そのたびに『潰れればいい』と思っていますよ」
ヤマダ電機は遺族に何を言って来たのか。清司さんの死後、8年近くにわたり兄が見てきた「社員死後の世界」を報告する。
死亡までの経緯は前回記事で報告した。 |
◇「おめでとう」から1か月後に死亡 正社員登用の祝福から一転
兄のもとに第一報が伝わったのは、祖母からの電話だった。
「仕事中に祖母から電話があり、『病院に運ばれた。死んだみたいだ』と言われた。何を言っているんだと思った。夕方、『本人確認がとれた』と父から連絡があり、新潟の実家に帰りました」
07年9月19日夜、兄が実家に帰ると清司さんが横たわっていた
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ヤマダ電機本社のエントランス。
兄とヤマダ電機のメールのやりとり。兄が説明と情報提供を求めると、返事が来なくなったという。
ヤマダ電機からの回答書。
ヤマダ電機が裁判所に提出した準備書面の冒頭部分。主張の要点がまとめられている。
長岡労基署に調査を求める兄の手紙。
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