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総務省とみずほの広告代理店としての“宝くじ報道”

情報提供
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見るからに胡散臭い宝くじのページ(みずほ銀行HPより)
 5月16日、「ドリームジャンボ宝くじ」が全国で一斉に発売となった。人気のある宝くじ売り場には、550人近い行列ができたり、徹夜組までいたという。これは、みずほ銀行と総務省の利益のために寄付をしているようなもので、その広告代理店として新聞が全国に向けてPRをしているのである。

他にも「年末ジャンボ宝くじ」など、大型宝くじが発売になるといつも似たような報道(?)が繰り返されている気がするが、このニュースになにか意味があるのだろうか。

もちろん、早く買うほど当せん確率が上がる、というのなら話は別だが、そういうことは全くないので(あったら大変だ)、長い行列に並ぶことも、徹夜をして最初の宝くじを買うことも自己満足以上の意味は持たない。よく当たりが出る売り場というのも、確率の問題として考えれば、その売り場で宝くじが多く売れたから、という以外の理由はない。全国に何ヵ所か「名所」として知られる宝くじ売り場があるが、これはハズレくじの山(とその購入者)が作り出した名声だと考えたほうがいいだろう。

では、肝心の「ドリームジャンボ宝くじ」の当せん確率はどれくらいなのか。じつは宝くじ発売開始を報じる新聞記事から、それを推しはかることはできない。以下、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の記事を例に上げてみる。

「1等、前後賞合わせて3億円が当たる『ドリームジャンボ宝くじ』が16日、全国で売り出された。東京・有楽町の売り場には、午前8時半の発売開始を前に約550人が列を作った。1等賞金2億円が37本、2等賞金1億円と1等の前後賞5000万円がそれぞれ74本。前日の午前6時から並んだという横浜市の男性(49)は400枚購入し、『これから神社でおはらいしてもらう。当たったら家を買いたい』。販売は6月3日まで。抽選は同14日。」(asahi.comより)

 「1等・前後賞合わせ3億円が当たる『ドリームジャンボ宝くじ』(第490回全国自治宝くじ)が16日、全国一斉に発売された。
 東京・銀座の西銀座デパートチャンスセンターでは、午前8時半の発売開始前に約550人が列を作った。埼玉県川口市の会社役員の女性(63)は『宝くじに一昨年、当たってフランス旅行に行った。今度、当たったら(インドネシアの)バリへ行きたい』と笑顔で話した。

当選本数は、1等(2億円)37本、2等(1億円)74本、3等(1000万円)111本など。1110億円の売り上げを見込んでいる。発売は6月3日まで。抽選は同14日。」(毎日新聞HP)

 「1等、前後賞合わせて3億円が当たる『ドリームジャンボ宝くじ』の発売が16日、全国で一斉に始まった。発売は6月3日までで、抽選は同月14日。
 1等が出る“名所”として知られる東京・銀座の『西銀座デパートチャンスセンター』では、発売時刻の午前8時30分には、早くも約550人の宝くじファンが、億万長者の夢を求めて長い列を作った。

前日の午前6時に1番乗りし、400枚を買い込んだ横浜市の50代男性は『後は運任せ。当たったら家を買いたい。(御利益があるという)佐賀県の宝当神社へお参りに行きます』と話していた。」(YOMIURI ONLINE)

3紙とも、同じ売り場で取材したのだろう。朝日新聞と読売新聞は取り上げている人まで同じだ。通信社の配信記事かと思ってしまった。

 記事に書かれていることといえば、1等前後賞あわせて3億円。2等1億円の当たりくじが74本。1等の前後賞だけでも5000万円etc。すごいすごい。ここは貯金をはたいて一攫千金を狙ってみようか…、と思わせるように人を煽っているのではないか、これは。売り手にとって都合の良い数字しか使っていないから、これだけの情報では当せん確率も分からない。

この宝くじの販売は、みずほ銀行が代行している。そのHPを見てみる。

「平成17年の『ドリームジャンボ宝くじ』(第490回全国自治宝くじ)が、5月16日(月)から全国一斉に発売されます。

今年の『ドリームジャンボ宝くじ』は、1等賞金が2億円、前後賞が各5,000万円で、仮に連番で買って1等に当せんした場合、1等・前後賞合わせて3億円があたる超大型賞金が魅力の宝くじです。当せん本数は、1等が37本(37ユニットの場合、以下同じ)、前後賞が74本となっています。さらに2等賞金も1億円と豪華で、当せん本数は74本。1等の37本と合わせると、111人もの億万長者が誕生することになります。また、3等1,000万円も111本と、『ドリームジャンボ』の名にふさわしく、夢がふくらむ賞金体系の宝くじです。  以下、4等100万円が7,400本、5等3万円が111,000本と続き、多くの皆様に当せんの実感を味わっていただける宝くじとなっています。

発売予定額は、1,110億円(37ユニット)。1枚の価格は300円、3億7,000万枚の発売です。発売期間は、平成17年5月16日(月)から6月3日(金)までとなっています。」

これを要約すると前出の新聞記事がほぼ出来上がる。つまり、みずほ銀のプレスリリースがそのまま新聞紙面に載っている…というのは言い過ぎか。今回マスコミが見落とした(無視した?)「『ジャンボ宝くじ』の概要」(みずほ銀行HP)には、もう少し細かい数字が上げられている。

当せんは1等2億円(37本。※37のユニット毎に1本づつの当たりくじ。以下も37ユニットの合計を表記。)から7等300円(3,700万本)まで。1枚300円のくじを3億7000万本販売し、1110億円の売上げを見込む。この売上げのうち、当せん賞金として使われるのは529億630万円。売上の半分以下だ。元締めの取り分がこれほど良いギャンブルが他にあるのだろうか。これはやめられません。

では当たりくじの本数はというと、1万1359本。これは10万円以上の当たりくじの総数だ。7等(300円)まで含めるとこの数は一気に増えるが、この際無視する。3億7000万本の中でこの当たりくじを手にできる確率0.0000307。およそ10万分の3。3万円以上の当せんを加えるとこれが約1万分の3になる。

「前日の午前6時に並んで400枚買った」と新聞記事で取り上げられていた男性が3万円以上を手に入れる可能性は約10分の1。けっこう高い確率のようだが、そのための投資は12万円である。他に使い道はないのかな。

 当せん金額ばかりを強調して当せん確率には全く触れず、宝くじ売り場に行列する人たちを「報道」することで、まるで早い者勝ちのような印象を煽るマスコミの姿勢は、たぶんこれからも変わらないだろう。おもしろければ、それでいいのである。これからも宝くじの広告代理店として、お上と大銀行と手を取り合って頑張ってもらいたい。

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支配者にこびるな2008/02/01 02:50
2008/02/01 02:49
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記者からの追加情報

 財団法人日本宝くじ協会の小林実理事長は、総務省(旧自治省)出身の天下り官僚。毎日新聞(2000/12/25)によれば、宝くじ関連財団に5年間で67人が天下っているという。

 日本は民間では賭博が禁じられ、賭博罪で逮捕されてしまうが、公営賭博は各省庁が既得権(財源と天下り先確保)として持っている。

 以下、『世間のウソ』(日垣隆、新潮新書)より。
 宝くじ……………総務省(当せん金付証票法)
 競馬………………農林水産省と地方自治体(競馬法)
 パチンコ…………警察庁(風営法)
 競輪………………経済産業省(自転車競技法)
 競艇………………国土交通省(モーターボート競走法)
 サッカーくじ……文部科学省(スポーツ振興投票実施法)
 オートレース……経済産業省(小型自動車競走法)

 みずほ銀行と総務省の利益のために寄付をしているようなもので、その広告代理店として新聞が全国に向けてPRをする。宝くじを買う人というのは、本当にオメデタイ人たちなのである。(編集・渡邉)