花王、ライオンに届けたい『ススメ!石けん生活』
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■『ススメ!石けん生活』 監修:森田光徳 著者:ススメ!石けん生活製作委員会 まんが:山田かおり 価格:¥1,000(税込) 発行:幻冬舎メディアコンサルティング(2006年) |
その森田社長監修による『ススメ!石けん生活』(幻冬舎メディアコンサルティング)が9月に出版された。
◇朝日新聞がくれる花王アタックを愛用
東京・新橋の第一ホテルでお目にかかったのは10年前になる。
シャボン玉石けんに出会うまでのわたしは、朝日新聞がサービスで持ってきてくれる花王「アタック」をありがたく使っていた。タダほど高いものはなかったわけだが、合成洗剤の問題にも正直いって関心がなかった。
いや、知ろうとしなかった。
あれだけ「真っ白になります」と日々、CMが流れてくると、それを使うように洗脳されてくる。スーパーに行くと、何も考えず、アタックを手にしていた。また、おばが石けん運動をやっていたが、それがどうも古くさいイメージだと感じをしていた。だから、石けんなんてダサイとず~っと思っていたのだ。
夏はそうでもなかったが、冬になると決まって指の皮がむけ、ささくれだって痛い思いを毎年していた。これも、「きっと冬で寒いから」「水が冷たいから」と思っていた。
それが、シャボン玉石けんと出会ったことで、洗剤に対する認識が変わってしまった。
まず、石けんに変えたら、その指の皮がむけなくなったのだ。同時期に石けんシャンプーに変えたら、コシが出てきて髪も元気になってきた。
ヒフ表層の脂質を流失させ、たんぱく質を変性させてしまう合成界面活性剤は、大事なヒフのバリアをも壊してしまう物質だ。
◇シャンプー、歯磨き剤・・・身の回りには合成洗剤がいっぱい
身の回りにあるシャンプーもコンディショナーも、色とにおいがついた合成洗剤だとわかった。
歯みがき剤も合成洗剤だと知って驚いた。歯みがき後に食事をすると味が変わるといった違和感もふつうのことだと感じていたが、それが石けん歯みがきに変えたら味が変わるといったことは一切なくなった。合成界面活性剤が舌の味覚を感じさせる細胞を一時的に破壊するからだ。
【水+合成界面活性剤=台所用合成洗剤】
【化粧水+合成界面活性剤=クレンジングローション】
【クリーム+合成界面活性剤=クレンジングクリーム】
【水+油+合成界面活性剤+酸化防止剤=乳液、クリーム】
合成界面活性剤はなんでも、つくりあげていく。
そして、わたしの身の回りから合成洗剤が消えていった。
◇花王もライオンもいらない!
森田社長にインタビューした記事は、「花王もライオンもいらない! 合成洗剤をやめてせっけんを使おう」(『週刊金曜日』1996.12.20)で掲載した。
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画:貝原浩![]() |
このイラスト、自宅の洗濯機の上に飾っていて、毎日見ている。「花王もライオンもいらない!」は生活者として思い出深い企画であり、記念にこのイラストをいただいた。天皇イラストなどタブーを描いてきた貝原さんは2005年に亡くなられた。このイラストはさらに記念の作品になってしまった。
『買ってはいけない』もこの号からスタートした。記念すべき第1回は避妊フィルム『マイルーラ』、これも合成洗剤だ。
森田社長にインタビューしたときのタイトルは、「日本石鹸洗剤工業会の“いじめ”とマスコミのタブー」。
森田さんは、日本石鹸洗剤工業会のいじめにもあった。工業会の会長は、ライオン、花王の社長がやっている(現在の会長は、ライオンの社長)。新聞広告を出そうとすると、それすらストップさせようとした。シャボン玉石けんは、赤字でも全面広告を毎年出稿し続けた。数年後、新聞で広告賞をもらっている。けっきょくは、合成洗剤メーカーはやましいところがあるからそういうことをするのだ。いじめは、子どもの世界だけではない。
◇合成洗剤メーカーから石けんメーカーへ
『ススメ!石けん生活』は、石けん生活10カ月になるマサエさん(結婚6年目/主婦/31歳、5歳の長女、10カ月の長男、35歳の夫)」の身の回りの話から石けん、合成洗剤を考える構成だ。マンガで見せていくので、気軽に、楽しく読める1冊となっている。
その中で、「ススメ石けん社長劇場」と題して、森田社長の石けん人生について描かれている。
1931年生まれの森田さんは、もともと合成洗剤をつくっていたメーカーの社長だった。それが夏になると、謎の湿疹に悩まされた。病院でも温泉でもぜんぜんよくならない。これも、生まれつきかとあきらめていた。
1971年、旧国鉄から「合成洗剤で洗うと機関車がサビちゃって・・・。なので無添加の粉石けんを作ってもらえませんか?」と依頼があった。
石けんの試作をしていくと、湿疹に悩まされていた手がキレイになっていた。・・・そして、その原因が自分が作っていた合成洗剤だと気づき、愕然とする。
「今後わが社の商品は人にも環境にも優しい石けんに切り替える」
時代は合成洗剤全盛期。経営も順調だったが、石けん専業を決意。ところが、周囲は大反対。売り上げはガタ落ち、社員たちも去っていった。
途方に暮れていたところ、食品添加物、合成洗剤などの危険性を指摘した有吉佐和子著「複合汚染」を見て、この連載小説の横に「もう安心です」という広告を載せた。すると、1カ月後売り上げ3000万円突破。ところが、小説連載終了後は半分になってしまった。
1970年後半には各地で「合成洗剤反対!」の運動も起きた。
しかし、「熱しやすい冷めやすい日本人」の中での浮き沈み、日本石鹸洗剤工業会からのいじめを受けても、森田社長は「安全、安心」の意志を通し続けた。そして、いまや石けんメーカーのトップ企業である。
◇「輝く白さ」の正体は蛍光増白剤による「人工的な白さ」
「安心・安全な洗剤の見分け方の巻」では成分表の見方、「CMマジックに騙されるな!の巻」では、「輝く白さ」の正体は蛍光増白剤で染め上げた「人工的な白さ」であり、汚れ落ちの悪さをごまかしていること、「植物性」「天然系」という合成洗剤のことなど、わかりやすく構成されている。
「消費者がイメージに左右されない商品を選ぶ目を養う必要はあるよね」とあるが、その通り。
マサエさんの夫の抜け毛の悩みも、「合成シャンプーって、台所用洗剤よりも皮フに対する刺激が強いのよ・・・」と言い、石けん洗髪がなぜ、いいかも書かれている。薄毛が気になる人は、愛用商品が合成シャンプーだったらそれからまず見直すとよい。
日々使っている洗剤のことから、CMを通じたメディアリテラシー、また環境問題にも目を向けるきっかけにしてほしい1冊である。
◇消費者は最大の力「買わない」「選ばない」という力
日本は、合成洗剤の単位面積あたり使用量世界一を誇る国だという。
森田社長は最後に言っている。
「安全なものを選んで使うことがどんなに大切か--この本があなたにとって、商品選びに疑問を持つきっかけとなれば幸いです。」
花王、ライオンに一番に届けたい言葉だ。
わたしたち消費者は最大の力「買わない」「選ばない」という力が持っている。そして、逆に「買う」「選ぶ」ことでよりよい生活を手に入れられるのだ。
■シャボン玉石けん(株)
〒808-0195北九州市若松区南二島2-23-1
TEL093-701-3181 FAX093-791-7250

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読者コメント
でもソルビトール入ってるやん
界面活性剤は恐ろしいですね。
食器洗いもお掃除も合成洗剤ではキレイにすすいだつもりでも残留した界面活性剤の恐怖が残ります。
皆さま重曹と水をちょっと煮てアルカリ電解水作ってみたらいかが?
油汚れもたちまちスッキリ!私は電解水とアクリルたわしで合成洗剤の呪縛から解放されました。
毎日、安心してお料理できますよ。
えーと。一応言っておくけど、石けんも合成洗剤ですよ。加水分解反応と中和反応使っているので。ちなみに石けんが目に入ると、市販のシャンプー成分より、ずっと重篤な症状に陥る可能性があります。アルカリ性が強いのでね。石けんが悪いとは言わないけど、洗浄力が低いから、結局大量に使うことになる、ということにも気を配るべき。
○訂正 生理食塩→生理食塩水
生理食塩は、1000ccの水に9gの塩を溶かしたものです。洗濯機に70リットルの水を入れた場合生理食塩にしようとすると630gもの塩が必要となります。しかし、実際洗濯に使っている塩は水70リットルに対し、たった約15gです。どれだけ真水に近いかわかると思います。100ccの水に換算するとたった0.02グラムを混ぜたぐらいの濃度です。石鹸や重曹、塩…いろいろと試してみてください。
環境のためと、もし洗剤を使っている人が全員塩を洗濯に使ったら…下水処理場の微生物たちは生きていられるのだろうか?放流水の入った河川水の塩分濃度は上がったりしないだろうか?下流域の動植物は死滅するでしょうね。ま、ありえないことですが…
子供がアトピーで家庭の中にある合成洗剤をすべて追放しました。体を洗うのは純せっけんをつかっています。そして、洗濯には塩を使っています。塩は殺菌力もありますし、塩水は中性なのでどんな素材でもあらえます。重曹よりソフトな洗い上がりです。健康と環境のために一度お試しください。
ハンドソープで今大手で出している泡の出るやつあるけど,ひょっとしたらこれはサラヤというメーカーのをパクッタのでは?私は昔サウナに行った時,カモミールの入ったシャンプーに衝撃を受け,はじめてサラヤというメーカーがあるのを知りました。興味深い会社ですよ。洗剤に興味がある方は調べてみては?
石鹸て、油をとり過ぎるので、注意が必要かも。
石油から作られたものは危険、ヤシ油などの植物性原料から作られたものは安心、という考え方がありますが、本当にそうでしょうか?ヤシ油から作られたという台所用洗剤の成分を見てみると、「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」とか「アルキルアミドプロピルベタイン」とか「脂肪酸アルカノールアミド」とか書いてあります。
「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」は、化学式で書くとR-O(CH2CH2O)nSO3Naというものです。はじめの「R」は「アルキル基」といって、ヤシ油由来のものです(石油からも同じものを作ることができます)が、その後ろの「-O(CH2CH2O)nSO3」は石油由来のものです。
。「100%植物性」どころか、植物由来の部分は、多く見積もってもせいぜい30%程度。植物性という言い方自体、心もとないということが分かります。
そして、何より大事なことは、安全かどうかを決めるのは、原料が何かということではなくて、その物質そのものが何であるかということです。石油から作ろうとヤシ油から作ろうと、「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」であることに変わりありません。石けんに比べて生分解は遅く、魚に対する毒性は強いのです。
素朴な疑問なんだが、皮脂を洗い流せないもので「動物性油脂」が洗浄できるんですか? いやぁどこぞの「言葉を理解する水」と一緒で、石鹸には「人間の皮脂とそれ以外の動物の油脂とを見分ける能力」があるんでしょうか…… それはすごいことだと思うけど…… はて?
http://www.emec.co.jp/mori/ortho03/ortho03_01.html上記より引用 『経皮吸収とは、皮膚に貼付された有効成分が皮膚に浸潤・拡散していく現象で、皮膚が有効成分を吸収するのではなく、製剤の粘着面と皮膚面の濃度差によって有効成分が皮膚に浸み込まれる受動拡散によるとされています』というわけで、経皮毒は間違いだと思います。
ニューウェイズはマルチ商法です。問題のある商法の宣伝をしないでいただきたい。
まだそんな古い情報に惑わされているんですね。合成洗剤の毒性に関しては1980年代にほとんどの資料が出揃っていると大矢勝氏のページにかかれてますよ。催奇性があると1969年に発表した三重大学の三上氏も他との合同追試で1976年には公式に否定してます。
湿布は一定時間貼るものですし、皮膚の役目は外部からの侵入を防ぐことです。そう簡単になんでもかんでも吸収するものではありません。
「経費吸収による複合汚染」の著者である山城先生は潟xストエコロジーの誤記入でした。何であんなに高いのですか?という質問には安全を買うと考えれば色々な価値観があると思います。なので、食の安全をグリーンコープで買う人がいるのと同じだと思います。無理に買わせる話ではないですから・・
合成洗剤の中にも蛍光増白剤無配合の物もあります。黒や濃色系が白々しくなってしまうのを防ぐ為でもあります。アルカリの強い洗濯石鹸を使うと、退色が進みますよ。(生地も痛むし)ウールやシルクにも使えません(縮む)し、本来の目的は洗浄ですよね?合成洗剤は用途別で使い分けて洗えば、ほとんどの衣類の洗濯を可能にします。
認識が間違ってますよ。綿やウールの天然の色は黄ばんだ白(きなり)で、漂白と染色を行って蛍光の白になります。洗濯を重ねると、アルカリと日光、汗、水道水の塩素で退色するので洗濯中に均染処理されるように配合してあるのです。一度、染色工場を見学させてもらうと良いですよ。
経皮毒については、この本のレビューを見てみましょう。http://www.amazon.co.jp/gp/product/customer-reviews/4528013975/ref=cm_cr_dp_2_1/503-3988909-4700739?ie=UTF8&customer-reviews.sort%5Fby=-SubmissionDate&n=465392
一ニューウェイズは、何であんなに高いのですか?気軽に街で買えないのですか?
日用品に有害な石油化学物質が含まれていてそれが皮膚から吸収されていく経費毒というものがあることを知りました。「買ってはいけない」や「複合汚染」も読みました。今ニューウェイズのディストリビューターですが製品は一流だと思います。潟xストエコロジーの山城眞先生が書かれた「経皮吸収による複合汚染」の本もすごくわかりやすくてお勧めです。
洗剤の方が合成石鹸よりも皮脂を落とす力が強いので、ダメな人もいるでしょう。要は自分に合ったものを使えばいいのです。合成石鹸の欠点は、不溶性の金属石鹸ができると、途端に環境負荷が高くなる事でしょう。マンションの排水パイプが詰まると致命的です。
イオン歯ブラシに替えれば石鹸も合成洗剤も要りません。電気の力なので磨いている最中は味覚が変化しますが、すすげば石鹸よりも無害です。
医療機関や食品業界の世話にならないという事につながりますが。純石鹸じゃ殺菌力に問題があるので、上記の業界では使われなくなったのが現実です。かといって野放しに排出されている訳でもなく、PRTR法によって排出量規制があるので、環境負荷の低い製品が使われてますよ。
石けんがいいのか合成洗剤がいいのかは、髪を両方で洗ってみて比べればよいのではないでしょうか。石けんは無添加100%のもの、合成シャンプーだとシリコンなど強力なワックスが入っているので食器洗い用の合成洗剤で洗ってみる。でも、比較するまでもないか・・・。
数年前まで何の興味も無く過ごしていましたが結婚して考えるようになってから純せっけんを使っています。純せっけんも合成洗剤も結局汚れを落とすものだから安全ではないのかも知れませんが少なくとも純せっけんのほうが体の調子も良く、排水は合成洗剤より分解され環境に優しい。合成洗剤は便利かもしれないが私は石けんを選びます。
私は石けんを使っていますけど、シャボン玉石けんは、EM商品を出しているので応援できないな。
でもこんなに批判コメントが多いってことは、もしかすると手作り石鹸より、合成シャンプーの方が身体にあってる方々もいるのかも知れませんね。人体は不可思議な部分も多いですから。。。
毎冬、腹部の皮膚がかさかさになってました。しかも痒かったので、掻いてるうちにその部分が黒く変色し、しまいには痛みもでてきました。東京の空気や水のせいだろうと思ってましたが、まったく偶然のきっかけで、市販のボディーシャンプーから手作り石鹸に換えたら、ウソのように治ってしまいました。色々科学的なウンチクも大事でしょうが、私は自分の身体で実証済みです。
ちなみに逆性石鹸でも複数の基剤をベースにしないと、広範囲の殺菌は出来ません。http://allabout.co.jp/health/familymedicine/closeup/CU20020916/index.htm?NL000338-29%3CBR
殺菌を考えれば合成洗剤が優れているし、石鹸カスで毛穴が詰まって皮膚病になる人もいます。原料の苛性ソーダや苛性カリの副産物も環境に良いとは言えませんし、過酸化脂質の多い手作り石鹸も有害です。石鹸カスに生えるカビの中にも有害な物があるのを知ってますか?
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