Baa 優良企業予備軍
【終身サラリーマン型】
(仕事4.0、生活4.0、対価3.0)
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2010年1月に発表された『就職先人気企業ランキング2010』(ダイヤモンド・ビッグ&リード社調べ)で、東芝が理系・男子部門で、2位のパナソニック、3位のソニーを抑え、1位になった。不況で学生の大手安定志向が強まるなか、米原子力大手ウエスチングハウス(WH)の買収指揮をとった佐々木則夫氏が社長に就任、エネルギーやエコといった戦略の方向性が明確になった攻めのイメージがウケているようだ。「WH買収が原因でしょうね。日立は年寄り(川村隆氏、70歳)の社長復帰(結局、1年で63歳の中西氏に交替)で印象悪かったですし」(中堅社員)。社員に現場の実態を聞いた。
【Digest】
◇定年退職者の儀式
◇社員が派遣の仕事を肩代わり
◇人に優しい=派遣仕事をやる
◇副参事の年俸60万×12ヶ月+賞与
◇カンパニーごとにボーナス水準が決まる
◇バリバリ働けないユルさ
◇5年目ではじめて実物を見た女性
◇アニメ好き、オタク系が多い
◇新卒から配属予約制
◇中途採用、重点分野で活発に
◇定年退職者の儀式
「先週の金曜日も3人、定年退職の人が見送られていきました」(中堅社員)。
東芝では、定年退職の最終出社日に、ハイヤーを呼んで自宅まで送ってくれる儀式がある。関係者が集まり、経歴を紹介して、一言挨拶して、みんなで拍手。そして花束を贈呈し、皆でハイヤーを見送る。
それを見て、自分も30数年後はハイヤーで見送られるのだ…と安心したいのが、最近の就活生の意識なのかもしれない。だが、よい話ばかりではない。雇用維持の代償にも目を向けたほうがいい。
退職者は約3千万円の退職金を満額受け取って余生に入るわけだが、これは「自己都合」退職の場合では、勤続15年以下なら0.25倍、勤続35年でも0.77倍の乗率がかかって激減となる。つまり、定年退職しなければ満額貰えないという極めてリスキーな金融商品なのだ。40年近くも辞めずに忍耐強く勤め上げられるかなど誰にも分からないし、会社が今の形のまま存続しているかも分からない。
ある部署では、中途採用の社員が、入社2ヶ月で辞めていった。理由は「意味のない仕事をやらなきゃいけないから」。CDロムを1枚ずつ再生して、過去20年分の出荷データを明日までに用意しろ、といった雑巾がけレベルの仕事が多かったのだという。だが、サラリーマンはそれに耐えるのが重要な仕事の1つだ。
「同期から聞いた話ですが、とりあえず仕事がないから草むしりを命じられた社員がいるというんです」(若手社員)
草むしりも、雇用保障の代償だ。なぜ、それなりに高い給与を支払う正社員に、こうした単純とも言える仕事をさせるのかというと、東芝は、ソニーのようには正社員をリストラしない会社だからである。
2001年前後に大手電機メーカーが一斉に希望退職募集によるリストラをした際、東芝では「会社が認めた人だけ」といった制限を設けなかったため、優秀な人材が流出してしまった。それ以来、東芝は雇用に手をつけるリストラはしていない。
「当時の技師長(部長よりクラスが上の技術者)が、希望退職に応募して多額の割増し退職金を貰ってソニーへ転職していったり、外資のCADメーカーに行ったりしました。ソニーと違ってウチがリストラをやらなくなったのは、2001年のときに優秀な人が辞めてしまった教訓があるからだそうです」(中堅社員)
◇社員が派遣の仕事を肩代わり
正社員を切らないということは、2008年~2009年の半導体事業のように不況期になった場合にどうやってコストカットをするのかといえば、派遣社員など非正規社員を切るしかない。すると、それまで派遣社員がやっていた仕事を、正社員が肩代わりするはめになる。
半導体部門では、派遣切りで、工場のクリーンルームなどで働く人がいなくなってしまったため、去年(2009年)9月ごろには新入社員が50人以上、大分工場に「応援」の名目で異動となり、派遣の代わりの仕事をしていた。
5年ほど前からは、「プロセス技術」(量産のための製造技術)を担当する部署の社員が、10人単位で大分など地方の工場へ次々と異動していった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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東芝・中堅社員「主務」の給与明細 |
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2009年冬のボーナスカンパニー別支給額一覧 |
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キャリアパスと報酬 |
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