My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

キヤノン 厳しさ増す昇格スクリーニング、若い人ほど狭き門に

情報提供
ReportsIMG_I1156540071787.gif
A 優良企業
(仕事4.5、生活4.0、対価4.2)
 ほとんどの大手電機メーカーが人件費増に耐えられず終身雇用を放棄、「雇用」も「報酬」も成果主義へと移行した。だがキヤノンは、終身雇用を維持しつつ成果主義との両立を宣言。そんな都合のよい話が、なぜ成り立つのか。「若い人ほど、昇格が厳しくなっているんです。若い主任はスゴい人ばかりだが、年配者の主任はバラツキがある。主任の1つ下のグレード(G3)になるにも、昨年の役割給導入で、試験に受かっただけでは昇格できなくなりました」(中堅社員)。
Digest
  • 「一生、今のポジションかもしれない」
  • 役割給導入でさらにハードル高く
  • ライン職と専門職でキャリアパスが分かれる
  • 「評価を受ける側」の研修も
  • 詳細に定義された役割
  • 次のヒット商品のタネが育っていない
  • 社内外の異動が活発
  • 入社1年目の終りに論文発表
  • ハード系のほうが、出世が早め
  • 特許戦略に特徴
  • 松下の石油温風器問題を議論
  • 派遣社員が帰ってから手渡しされる「お祝い金」
  • 自由が丘、中目黒、蒲田で飲む
  • 「完全ノー残業デー」と、普通の「ノー残業デー」
  • 会社方針は、2ちゃんねるのほうが早い
  • 必ずとれる代休
  • 朝がタイヘン! 下丸子の本社勤務 開発者の1日

「一生、今のポジションかもしれない」

つまり、今の基準なら主任になれないはずの人も、一昔前まではなれていて、一度なった人は、よほどのことがない限り、降格はされない。一方、今の若い人のなかには、一生、主任になれない人もいる。そこにカラクリがあるという訳である。

いわゆる成果主義が、世代間格差の犠牲のうえに成り立っていることは、どの大企業も似たり寄ったり。ただ、50代の「担当部課長」クラスを中心に余剰人員をリストラしたソニーや松下に比べれば、もともと一カメラメーカーに過ぎないキヤノンは高齢者人口が少ない事情もあり、リストラをしなかった。人件費が高い高齢者をリストラしない以上、そのしわ寄せが若い世代にやってくるのは避けられない。

厳しく成果が問われるはずの管理職はどうなのかといえば、2005年は「数十人が降給になった」(2005/10/10『日経産業新聞』)という。4千人以上いる管理職のうち数十人だけ。つまり、若い人は昇格しづらくなる一方、既に昇格済みの中高年管理職は、ほとんど降格なしという、明らかな世代間不平等が存在するのだ。

「年々、狭き門になってきています。昇格試験の会場に行ったら、ものすごい人数がいて、驚きました。隣のおっちゃんを見ていると、『この年まで受からなかったらどうしよう、自分は一生、今のポジションかもしれない』と思いました」(前出の中堅社員)。

ReportsIMG_H1156540062655.jpg
キヤノンのキャリアパス

この昇格試験とは、G2→G3へ上がる際に受ける試験を指すが、順を追って説明する。

終身雇用と成果主義の両立を内外に宣言しているキヤノンは、95年に就任した現CEOの御手洗氏の方針で、納得性、公平性を重視しつつ、実力主義の制度は徐々に進められてきた。現在の社内選抜試験は、実に厳しいものだ。

2001年から段階的に導入された現行の評価・報酬の仕組みでは、社員の報酬はグレード(G)で管理されている。院卒で入社すると、9ヶ月のトレイニー期間を経てG1となり、すぐにG2へ昇格するための試験を受けられる。米国経験が長い御手洗会長の影響か、社内では昇格を「プロモーション」と呼ぶ。

入社2年目、まだ社会人生活に慣れたばかりという時期に、いきなり選抜試験が行われる会社は珍しい。試験の内容は、SPIに似た基礎的な能力を試すペーパー試験(国語と数学)と、A4で3枚程度の論文(「課の中核的存在になるために」といった内容で具体的な記述を求められる)、そして通常業務における上司(課長)からの評価、の3本柱だ。

この試験は横並び・形式的なものではなく、3年連続で落ちるケースもあるという。「自分が把握している4大卒文系のなかで言えば、初年度で5割しか受からない厳しい試験です」(若手社員)。受かると「G2」へ昇格。学卒では最速4年目にG2に昇格できる。これで年収は700万円ほどとなり、26~27歳・メーカーの給与としてはトップクラスだ。

役割給導入でさらにハードル高く

「G2」を2年経験すると、「G3」に昇格するための試験を受けられる。これは論文+面談で、毎年10月に試験が行われる。論文はA4で3枚程度を、3時間で回答。内容は、経営的な視点が求められ、課題に対する解決策を記述する。論文は、自分のことを直接知らない、普段の業務とは関係がない部署の部長が採点するため、客観的ではあるが、部長の個性も影響するという。

これに受かると、2004年までは自動的にG3に上がれた。だが2005年からは「役割給」が導入され、実際の仕事内容において規定の役割をこなしていない限り、昇格試験に受かっていても、そのままG3に上がれなくなった。つまり、「G3になる資格」が与えられるだけになった。晴れてG3に昇格できると、年収は、さらに

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り10,745字/全文12,545字

キヤノンの組織

意思決定カルチャーなど

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

うだうだ2015/03/16 08:19
ふう2014/08/30 01:48
新藤徹2012/10/25 21:37
新藤徹2012/10/25 21:37
新藤徹2012/10/25 21:36
2010/07/20 23:20
2010/06/06 22:13会員
キャノン↓2008/03/26 18:14
役割2008/02/01 02:51
CMJ2008/02/01 02:51
2008/02/01 02:51
2008/02/01 02:51
2008/02/01 02:51
そんなに甘くない2008/02/01 02:50
そういう仕様です2008/02/01 02:50
ななし2008/02/01 02:50
ななし2008/02/01 02:50
ガーラ2008/02/01 02:50
2008/02/01 02:50
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約12900字のうち約11000字が
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい

企画「ココで働け!」トップ頁へ
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい
サンプル記事をご覧になりたい方は、こちらへ
■社員を紹介していただいた方、取材を受けていただいた方には、
会員IDおよび薄謝進呈いたします。ご協力のお申し出をお待ちしております。
ご連絡先E-mail:info@mynewsjapan.com