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喜田村弁護士が依頼者の“債務保証” 弁護士職務基本規定に違反、懲戒請求で失職も

情報提供
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喜田村洋一弁護士とパチスロ機メーカー・藤興(株)に対する訴状
 小沢一郎代議士や「読売VS清武裁判」における読売側の代理人も務める喜田村洋一弁護士が、深刻な倫理違反によって失職する可能性があることが分かった。喜田村弁護士が債務を保証する形で行われたパチスロ機メーカー・藤興(株)に対する30代男性からの1億円融資をめぐり、融資が踏み倒されたことから今年1月、怒った男性が喜田村弁護士と藤興を被告として、提訴に踏み切ったのだ。男性は、立会人の喜田村弁護士が作成して捺印した書類を、貸付金が返済されない場合の「保証書」と解釈して融資に応じた。これは「依頼者の債務について保証をしてはならない」などと第25条で定めた「弁護士職務基本規定」に違反した疑いが強く、業務停止や除名の懲戒処分もありうる重い行為だ。実際に1億円の大半が回収不能となっていることから、詐欺の片棒を担いだ格好にもなっている。
Digest
  • フィクションを前提に提訴の前歴
  • 「喜田村先生」を信じて1億円融資
  • 「出資者」とは誰を指しているのか?
  • 喜田村弁護士の答弁書
  • 弁護士倫理
  • 弁護士の処分例、虚偽報告で退会に

去る3月21日、自由人権協会代表理事で弁護士の喜田村洋一氏らを被告とする裁判が始まった。舞台は、名古屋地裁岡崎支部。愛知県内に住む30代の男性が原告となって起した裁判である。(訴状は末尾よりPDFダウンロード可)

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日弁連が編集した『解説・弁護士職務基本規程』。弁護士活動の目的やガイドラインが明記されている。

喜田村弁護士は、最近では小沢一郎氏や「読売VS清武裁判」における読売側の代理人を務めている。文藝春秋社の顧問弁護士でもある。NHKの「番組改変」訴訟では、NHK側の代理人にも就任していた。

さらに時代をさかのぼれば、ロス疑惑事件の三浦和義被告や薬害エイズ事件の安部英被告を無罪にして、その「人権派」ぶりを発揮した。

今回の裁判は、喜田村弁護士が立会人となって行われた、藤興(株)というパチスロ機メーカーへの1億円融資が焦げ付いたことが発端になっている。

原告の服部(仮名)さんは、知人の仲介で、藤興(株)に2009年5月、1億円の融資を行った。

その際、喜田村弁護士が立会人としての業務に就き、「被告喜田村先生が被告藤興の原告に対する貸金返還債務を保証する旨を言っていたため、明確にするために書面をお願いした」(訴状より)。

実際にミネルバ法律事務所と喜田村弁護士名による捺印付きの文書(甲第4号証参照)を得た服部さんは、喜田村氏が著名な「弁護士先生」ということで信用して、融資に応じた。だが、その後、わずか200万円が返済されただけで、約束の期限になっても、残金は返済されていない。

そこで今年1月、藤興と喜田村弁護士の二者に対して、残金の返済を求める訴訟を起こしたのである。この裁判から明らかになったのが、喜田村弁護士が「依頼者の債務について保証をしてはならない」と定めた「弁護士職務基本規定」に違反した疑惑である。

フィクションを前提に提訴の前歴

喜田村弁護士の職務基本規定違反の疑惑は、これがはじめてではない。

わたしがこの事件に興味を持ったのは、ある個人的な事情から弁護士倫理について関心を寄せてきたからだ。わたしはこれまで喜田村弁護士と5件の係争を交えてきた。(4件は現在も係争中)

読売新聞社(渡邉恒雄主筆)は2008年から1年半の間に、わたしが書いた記事に対してさまざまな理由を上段に掲げて次々と3件の裁判を起こした。請求された賠償額は約8000万円。これらの裁判の読売側代理人が喜田村弁護士だった。

読売に対抗してわたしが起した反訴裁判でも、喜田村氏が読売の代理人として登場したのである。

さらにわたしは2011年1月、弁護士倫理を問うために喜田村弁護士に対する懲戒請求を弁護士会へ申し立てた。理由は複数あるが、その中で中心的な位置を占めているのは、対読売の最初の裁判で、喜田村氏らが虚偽の事実を前提にわたしを提訴していたことが発覚した事である。

発端は、読売の江崎徹志法務室長がわたし宛てにメールで送りつけてきた怪文書とも受け取れる文書(催告書)だった。わたしはその文書を自分のウエブサイトで公開した。「こんな怪文書が読売の法務室長から来ましたよ」というつもりで公開したのである。

これに対して江崎法務室長は、ウエブサイトから文書を削除するように求めて著作権裁判を起こした。自分が執筆した「著作物」であるから、わたしに公表権がないという主張である。

ところが裁判の中でわたしの弁護団の追及により、争点となった問題文書の執筆者は、江崎氏ではない疑惑が浮上した。江崎氏は文書が自らの「著作物」であるという点を提訴の根拠としておきながら、その文書の執筆者が江崎氏ではない可能性が出てきたのだ。

2009年3月、東京地裁の判決は読売側を敗訴させた。争点になった問題文書を執筆したのが喜田村弁護士である可能性を認定したのである。

つまり喜田村氏と読売は、真っ赤な嘘を前提にして、わたしを裁判にかけていたことが分かったのだ。

知的財産高裁も原審を支持し、最高裁でわたしの勝訴判決が確定した。

弁護士職務基本規定75条には、次のような条文がある。

第75条:弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

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喜田村弁護士が黒薮から懲戒請求されたことを伝える『週刊新潮』の記事。

喜田村弁護士らは嘘(フィクション)に基づいた訴状を提出したわけだから、明らかに第75条に違反している。そこでわたしは最高裁で判決が確定するのを待って、弁護士懲戒請求を申し立てたのである。(この件は現在も進行中)

これを機としてわたしは弁護士倫理について考えるようになった。その意味で、弁護士が一市民から訴えられた名古屋地裁・岡崎支部の事件には興味があった。

「喜田村先生」を信じて1億円融資

訴状に基づいて服部さんの主張を紹介しよう。

2009年4月21日、当時、酒造会社の取締役だった服部さんは、知人の知人を仲介者として藤興に1億円の融資をする話を持ちかけられた。

「堅い融資の話がある。ただ、早急な話なので聞いてもらえるなら、直ぐに奈良県から愛知県刈谷まで車で行く」(訴状)

その日の午後9時ごろに服部さんは喫茶店で仲介者から融資話の詳細を聞いた。それによると「金1億円の融資で報酬として5000万円が支払われる」(訴状)という。融資の返済能力については、藤興が加盟している日本電動式遊技機工業協同組合へ同社が出資している金の払戻金(脱退時に返済。額は約1億6000万円)があると言われた。「万が一、被告藤興からお金が戻らない事態が起こったとしても弁護士の先生が契約書等もしっかりしてくれているから100%お金は戻ってくる」(訴状)と説明されたという。

その後も服部さんは繰り返し、藤興には融資を返済する能力があることを強調された。

融資の話が持ちかけられてから10日後の4月30日、関係者は喜田村弁護士のミネルバ法律事務所(東京・紀尾井町)で話し合いの機会を持った。その時の様子を訴訟は次のように記している。

 その際、被告喜田村先生からは、「協会は公の機関であるからしっかりしているし、不測の事態、万が一の事態が起これば、自分が責任をもって退会の手続きをして、融資したお金がしっかり戻るように保証する。」などと言われました。原告としては、当然、弁護士の立場である者が保証するとまで言ったため、被告藤興に不測の事態が起きたとしても、必ずお金は返済されると考えた。

貸借契約(金銭消費貸借契約)はこの日のうちに交わされた

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甲第4号証:争点になるとみられる喜田村場弁護士が作成した書面。

『弁護士職務基本規程』に記された「詐欺的取得」などについての解説。

喜田村弁護士に対する取材の申し入れ書。取材には応じなかった。

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