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機能不全の公取委 歴代委員長が電通はじめ「寡占企業」に堂々と天下り
顔写真は、電通、NTT、大日本印刷などに天下りした公正取引委員会の元委員長・根来泰周氏。写真のビルは、東京都港区にある電通本社。

 テレビのプライムタイム(19~23時)で番組CMの49%(取扱い秒数シェア)を占める電通。CM枠への新規参入が極めて難しいことが、公正取引委員会などの調査で判明している。ところが公取委は、広告業界の寡占にメスを入れない。背景を探ると、2002年まで公取委員長を務めた根来泰周氏が、電通に恥ずかしげもなく天下っていた(就任期間2003~2010年)。根来氏は同時に、大日本印刷や三菱ウェルファーマといった公取委の職務権限が及ぶ巨大企業の役員に渡るなどして荒稼ぎしている。その他歴代公取委員長も、資生堂や旧新日本石油などに再就職していた。電通を例に、公取委が本来の仕事を放棄し、市場の寡占化を放置する機能不全の背景に迫った。(2010年9月『広告業界の取引実態報告書』はPDFダウンロード可)

【Digest】
◇電通から大日本印刷まで
◇みずほや新日本石油も
◇根来氏、新聞再販で著名人に
◇プライムタイムCM、約5割が電通
◇困難を極めるCM枠への新規参入
◇新聞広告の電通シェアは約20%
◇メディアを読む鍵は隠蔽された情報
◇電通問題と独禁法

 よく知られているように、電通という会社は、人脈重視の経営戦略をとっている。カレル・ヴァン・ウォルフレンは著書『日本・権力構造の謎』の中で、次のように指摘している。

 電通が、これほど無敵の存在になれたのはその人脈のおかげである。同社の社員採用方針でつねに目指してきたのは、テレビ界や出版界のトップ・クラスの管理者や幹部役員、および特別な広告主、プロの黒幕などの息子たちや近親者からなる人材プールを維持拡充することであった。このような人脈人事がクライアントや政府機関、放送会社や出版社との非公式なつながりを強化するのに、いかに有益だと会社が考えているかが判る。
 さまざまな団体と「非公式なつながりを強化する」戦略を前提に人員採用の方針が打ち出されているというのだ。この本が出版されたのは1989年。最近の電通の実態を「非公式なつながり」という観点から、調べた。

カレル・ヴァン・ウォルフレンの 『日本・権力構造の謎』 (ハヤカワ文庫)。電通についての厳しい批判もある。
◇電通から大日本印刷まで
 公職にあったものが、退任後、民間企業の幹部に就任することを「天下り」と言う。天下りの受け入れは、ウォルフレンも指摘するように「非公式なつながりを強化する」ことが目的である場合が多い。

 電通について言えば、同社は公取委委員長を6年にわたって務めた人物を、つい最近まで監査役として在籍させていた。1996年から02年まで公取委委員長を務め、その後、03年から10年ごろまで電通の監査役の座にいた根来泰周氏である。

 (根来氏の名前は、2010年3月期の有価証券報告書を最後に消えており、それ以降に退職したと思われる)

 根来氏が天下った企業は、電通一社だけではない。次のような団体や企業が、再就職先として明らかになっている。()内は、公取委委員長の就任期間である。

■根來泰周(1996年8月28日-2002年7月30日)

 日本野球機構コミッショナー
 NTT
 電通
 大日本印刷
 三菱ウェルファーマ(現・田辺三菱製薬工場株式会社)

 このうちNTTが、東電なみの寡占企業であることは周知の事実である。
 また、大日本印刷は、印刷業界では凸版印刷と並ぶ業界最大手である。これら2社の売り上げは、業界全体の約8割にもなる。

 三菱ウェルファーマは、同社が田辺製薬と合併する際に、公取委が独禁法の第15条(会社合併の制限等)適用を検討したが、結局は「問題なし」と結論づけた。

◇みずほや新日本石油も
 参考までに、根来氏以外の歴代委員長の天下り先も紹介しておく。公取委と「非公式なつながり」を築くことで企業が得るメリットとは何かを考えるうえで参考になるからだ。

■小粥正巳(1992年9月24日-1996年8月27日)

 日本開発銀行総裁
 日本政策投資銀行総裁
 日本経済研究所会長
 資生堂

■梅澤節男 (1987年9月24日-1992年9月23日)

 みずほコーポレート銀行
 旧新日本石油(現・JX日鉱日石エネルギー )

 小粥氏が再就職した資生堂は、化粧品業界では言わずと知れたトップ企業である。梅澤氏の天下り先である2社も、それぞれの業界のトップ企業だ。たとえばJX日鉱日石エネルギーの売り上げは、業界で第1位である。

 つまり、元公取委委員長らは、独禁法を常に意識しなければならない企業に受け入れられている。その最も典型的な例のひとつが、根来氏が天下った広告業界の巨塔、評論家から政治家までひれ伏す電通なのである。

 電通は日本の広告市場で圧倒的なシェアを持つ。広告業界はかねてから電通による寡占化を問題視してきた。そこで公取委は、2005年と2010年に広告業界の取引実態に関する調査を実施している。その結果、電通の寡占ぶりがデータで明らかになった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



再販堅持の運動で「活躍し」た後、総理の座に就いた小渕恵三議員。
テレビ広告費に占める上位3位(電通、博報堂DY,ADK)のシェア。20年間の推移。

 

プライムタイムにおける有力な広告会社による番組CM枠の取り扱い状況。17年間の推移。
新聞広告費に占める上位3社(電通、博報堂DY,ADK)のシェア。20年間の推移。

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